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ガイベル
2024-02-10 12:58:23
2162文字
Public
お話
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眠れない人
寝つきの悪いサニバジ
pixivの同タイトルと同じ。
続きができそうなのでテストを兼ねて
「眠れないの?」
あたりがシンと静まり返り、植物たちも寝静まる深夜。
自分が動く物音で起こしてしまったのだろうか。
パジャマ姿のバジルがリビングにやってくる。
彼と一緒に住む事を決めた時に、
"お互いに最低限のプライバシーはあったほうがいいよね"という事で、彼とは寝室を分けている。
それでも、彼はサニーが眠れない気配を感じると起きてくるのだ。
昔ほど頻繁ではないけれども、今でも眠るまでに時間がかかったり、途中で起きたりするのは相変わらずで、長い夜をどう消費するかに苦慮する事もある。
バジルには起こしてしまう申し訳なさもあり、気付いても気にせず寝ていてと伝えてはいるが
「ぼくもあんまり寝つきが良くないから」
と言ってなんだかんだ付き合ってくれる。
…
それも嘘ではないんだろう。
ひとりぼっちではない夜は、どこか穏やかな心地になる。
幼い頃はバジルと家が離れていたこともあり、お隣さんのヒロとケル兄弟とは違って彼のパジャマ姿や寝巻きを見る事もなかったが、この深夜の集会によって今ではお互いすっかり見慣れた光景になってしまった。
もし今ヘッドスペースを夢歩きすることがあれば、彼の姿もヒロのようにパジャマ姿になっているかもしれない。
快適な睡眠のためにと用意してあるそれは、見た目にも触り心地が良さそうだ。
……
自分も同じ物の色違いなので、肌触りがどんな感じかなんていうのはわかりきっていることなのだけど。
「今日はね、カモミールティーはどうかなって。ハーブティーだから少しクセがあるかもしれないけど、安眠効果とかもあるから、よかったら飲んでみてね。」
バジルが慣れた手つきで2人分のカップを用意してくれる。
飲み物はホットミルクだったり、ココアだったり。その日によって変わるメニューが、意外と楽しみになってしまったりもしている。
眠るための集まりだから、バジルの口数もそこまで多くはない。
温かい飲み物を淹れて、2人でただぼんやりとしている。
飲み終わってひと心地ついたら片付けて、また寝る準備をしてお互いの寝室へと帰る。
それがいつもの流れになりつつある。
「
…
じゃあ、おやすみ。サニーくん。」
2度目のおやすみの挨拶。
彼はいつも、僕が自分の部屋に入るまで見守ろうとする。
今日も同じように僕に声をかけてきた彼の手を取った。
「バジル。
……
一緒に寝てもいいかな。」
この眠れない夜をどうしたものかと、ふたりぼっちでぼんやりしている時間の中で随分と考えてきた。
心地よい寝具も、暖かい飲み物も、優しい時間も、今の自分にとってどれも必要な事で、悪くはないと思う。
けれど、他の方法も考えてばかりでは意味がないし、言葉にしないと伝わらない。
身に染みてよくわかっている事だ。
……
多分、断られる事はない、と思う。
彼は僕の言葉を聞くと目を丸くして
「ダメではない
…
けど、サニーくんはそれで寝られそう?ぼく、もしかしたらうるさいかもしれないし
…
」
「大丈夫。」
僕からの思わぬ提案に、咄嗟に逃げてしまいそうな彼の目を見つめて間髪をいれずに答える。
……
僕はバジルが好きだし、彼もきっと同じように好意は持ってくれていると思う。
ただ、過去に僕が彼の言葉を、彼自身を拒絶し、大事なものもめちゃくちゃにして自分の世界に引きこもってからは、こちらに必要以上に干渉しようとする事をやめたように思う。
彼が差し伸べていた手を最初に振り払ったのは僕だ。
だからきっと、この最後の距離を詰めるには自分が手を伸ばさないといけない。
それに、自惚れと思われるかもしれないがこの提案に対する彼の心配事の大きな部分は、自分のせいで僕の睡眠を妨げる事なんだろうと思う。だから、自分が折れなければきっとこのお願いは通る。
……
暫しの沈黙の時間が流れた。
彼はじっと見つめている僕の視線に耐えかねるように少し視線を泳がせ、小さな声で返事をした。
「
…
わかった。あんまり快適じゃないと思うけど、それで良ければ。」
自分のベッドの方がいいと思ったら、気にせずいつでも戻っていいからね。あ、えっと別にサニーくんが嫌だからとか帰って欲しいって意味ではなくて
…
などとゴニョゴニョ言っているバジルと共に寝室に入る。
彼がベッドの奥の壁側に詰めるように入り、それに続いて自分も潜り込む。
寝心地の良さそうな少し広めのベッドが、細身といえど2人で若干定員オーバー気味の音を立てる。
…
さすがに少し狭いかもしれない。
僕が落ちるのではと、壁とベッドの境目に蜘蛛のようにピッタリくっついたバジルを剥がしてぬいぐるみのように抱き込む。
「おやすみ バジル」
まず僕が寝ないことには彼も眠れないのだからと、すぐに目を閉じた。
ヒロに『昔は1人で寝るのを嫌がっていただろ』
などと言われた事を思い出す。
ごちゃごちゃ考えていたが、つまりは今でもそういう事なのかもしれない。
バジルの気配と、体温。もう少し近くに感じたくて、腕に力を入れて深呼吸をした。
今日は夢を見ないですみそうだ。
──起きたら、寝室を一緒にする提案をしてみようかな。
明日以降の希望を胸に抱き、意識を手放した。
おわり。
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