金曜の夜は、彼が俺の部屋に来る。飲んで、たいてい土曜は休みで、泊まっていく。
仕事疲れたーと羽織っていたコートを脱ぎ、「久々の連休よ、なんと三連休
……」と言い、くつろいで、酒とつまみをねだる。
食事は作ってある。やって来る彼のために自炊しているところはある。
食べたあと、彼に所望されたカクテルを「度数が高いから、一杯だけだぞ」と言って用意する。
すると、笑って「そーだな。
……あんまり、飲むと、な」とからかうみたいに、誘うみたいに俺の髪を梳く。
酔ってくると、くったりやわらかく、こちらの身体に猫みたいに絡んでくる。
「酒、飲まないくせに
……なーんでおまえの作るつまみはこんなに
美味いの」
文句を言う。
上半身にべったりとくっついていたのが、暑そうにいちど離れ、カーディガンを脱ぐ。
ちょっと目をそらした俺に、いたずらっぽく笑った気配がして、またしな垂れかかってきた。
「連休だからもう一杯だけ~」と頼まれると、作ってしまう。
度数の高い、甘いカクテルを飲んだ彼と深くキスをすると、濃くアルコールの味がする。
俺はほとんど飲まないから、彼とのキスで酒を味わうことになる。
口のなかから伝わって、酔いがまわるようだ。
唇を離して、そう言うと、彼はちょっと困ったような
表情をした。戸惑ったような空気で、それをごまかすように笑い、俺から少し身体が離れる。
それからしばらくして、「もう酒を飲むときはおまえとキスしない」と言い始める。なぜそんなことを言うのか、よくわからなくて、俺は彼の横顔を見つめた。
黙って、顔をパタパタと手であおぐ彼は、こちらを横目でジロ、と睨み「おまえが変なこと言うから
……」とつぶやいた。
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