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tokeyukumikan
2024-02-07 03:10:52
7521文字
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ヒスムル
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すったもんだ⛈🌇
酔っ払ってうっかり一線超えた囚人ヒスムルがなんやかんやする話。致してないですがそこそこ下品な話なので注意
チョロい⛈と誑し🌇
ふっと目が覚めた瞬間にぐわんと頭を揺さぶるような頭痛に襲われて呻いた。ガンガンとぶん殴られた後のように脈打つ痛みに思わず上げた腕が妙に重怠い。暗闇に慣れた目で壁にぶら下がった古びた時計に視線をやると、まだ起床時間には少し早かった。鼓膜を劈くクソでかいアラームが鳴り響いたわけでもないのに目が覚めてしまったことと主張の激しい頭痛に若干の苛立ちを覚え、しかし未だ足先が浸かったままの眠気に引きずられるがまま二度寝でもするかと何気なく寝返りをうち、ヒースクリフは文字通り飛び起きた。
跳ね起きた反動で簡素なベッドのスプリングが耳障りに鳴き、顳顬を疼かせる頭痛が酷くなったがそんなことは気にしていられなかった。ばくばく騒がしい胸を押さえ呆然と凝視したその視線の先、寝乱れたシーツの上に横たわった大きな白い体。いつもひっつめた前髪が下りて目元を隠していたってわかる見慣れた同僚の仏頂面を呆然と見て、はたと自分と相手を間抜けに見比べる。
服を着ていない。下着も。全裸だ。眠る男の下半身はシーツの下になって見えないが、少なくとも見えてる上半身はまごうことなき裸だった。全裸と上裸(仮)の男が二人、同じベッドで夜を明かしたことになる。何故?何のために?混乱を極めたヒースクリフは頭痛も忘れて必死に昨夜の記憶を浚ったが、羽振りの良い依頼主の奢りだからとアホみたいに飲み食いした挙句、何でかグレゴールがテーブルの上に乗り上げて熱唱し始めたところまでしか思い出せなかった。いや本当に何でだ。何でそんなことは覚えてんだ殺すぞクソが。両手で顔を覆って呻きながらオッサンの無駄に哀愁漂う歌声を黙れと脳内から叩き出し、ヒースクリフはそっと視線を眠る男へと戻す。
隣で悶絶するヒースクリフに気がつかないほど深く寝入る男の白い肌には、見えている範囲だけでも噛み痕や鬱血痕がちょっとどうかと思うほど散らばっていた。背中に爪痕は見当たらない。しかし、自分の両腕はなんか怠いしよく見たら上腕辺りに指の痕っぽいものがあるし、認めたくないが腰にも少し違和感がある。酔いを引きずる頭痛とは別の種類の痛みに襲われながらヒースクリフは両手で髪を掻き回した。
認めよう。同僚、ムルソーと寝たらしい。問題はどっちが尻を差し出したかだ。ーー何だこれ地獄か?昨日の自分を殴り殺したい。
今日何度目かのヒースクリフの怨嗟の声に、寝息一つ聞こえやしなかった巨躯が身じろいだのに思わずたじろぐ。息を呑んで挙動を見守るヒースクリフの視線を受けながら眉間に深く皺を刻んだムルソーの白い瞼がゆっくりと開き、昏い緑の眼球が覗いた。何度か眠たげに瞬きを繰り返した後、ぐっと上体を起こしてシーツがずり下がったために垣間見えた下半身は、わかってはいたが何も着てない。こいつの内股の白さとか知りたくなかった。爆速で最低値が更新されていく最悪の状況に最早変な笑いが出そうなヒースクリフとは違い、ポヤポヤと寝起きそのものといった半目でしばらく無言のまま虚空を見つめていたムルソーだったが、気怠そうに首の後ろに手を当て深く吐息を落とすと唐突にヒースクリフの方に顔を向ける。目尻がほんのり赤く染まってはいるがいつもと何ら変わりない真っ直ぐな視線に少し狼狽えたヒースクリフが口を開くより先に、掠れた低い声が静かに言葉を紡いだ。
「
……
あなたはもう少し、加減を覚えた方がいい」
主の動揺を示すように、沈黙が下りた部屋に雷鳴が一つ轟いた。
もしかしなくてもあれは「加減しろ下手くそ」という意味だったのではないか?と思い立ったのは、バスに食わせるための餌(チンピラ)の頭をバッドでかち割る作業の真っ最中だった。込み上げた苛立ちに鋭く舌を打ったヒースクリフは、奇声を上げて向かってきたチンピラの顔面目掛けて思いっきりバッドを振り抜き、サッカーボールみたいに綺麗に吹っ飛んだその首は死体回収をしていたイシュメールの背中にぶつかって地面に転がる。「ちょっと!!」と怒りを露わにするイシュメールだったが、すぐに自分の大声で増幅した頭痛に耐えるように額を押さえた。前日の馬鹿騒ぎがどいつもこいつも尾を引いており、囚人たちの有り様はさながらゾンビのようだった。飲食が物理的に不可能な管理人、酒に耐性のあるロージャ、そもそも酒盛りに参加しなかった運転手と案内人を除くほぼ全ての囚人たちの顔色が土気色で、数人が路地の隅っこで吐き散らしていても日々の業務は変わらない。ヒースクリフ自身も胃の底がぐるぐると落ち着きがなく、顳顬を疼かせる頭痛は治っていなかったが、それよりも沸々と湧き上がる怒りの方に意識を持っていかれていたために他の面子よりは動くことが出来ていた。
その怒りの原因である男は、ヒースクリフから少し離れた場所でチンピラの死体を抱え上げている。いつもより心なしか白く見える顔は、若干眉間の皺が深くなっているかもしれないという程度でほとんどいつも通りに見えた。すっと伸びた背中も陰鬱な眼差しもいつも通り、ただ与えられた仕事を淡々とこなす機械のように動いている。その昏い眼球がこちらを一瞥もしないことに苛立ち、ついその背中を追ってしまう自分にもっと腹が立って、ドンキホーテに腹をぶち抜かれて呻いていたチンピラの頭を完全に八つ当たりで蹴飛ばした。
下手くそ(意訳)と淡々と宣ったムルソーは、言葉の意味を咀嚼しかねて呆けたヒースクリフを置き去りに、ベッドの下に散乱した自分の服をさっさと身につけると何事もなかったかのように部屋を出て行った。嘘だろ?と正気に戻ったヒースクリフは思った。この状況の、この惨状の説明も釈明も一つもなく、ただ自分だけで納得して去って行った男が信じられなくて頭が爆発するかと思った。口ぶりからしてムルソーの方は昨夜の記憶がバッチリ残っているようだが、それなら尚更、無かったことにするにしてもそうじゃないにしても、何かもっと話さなきゃいけないことがあるだろと、放置された衝撃は時間が経つにつれ怒りを伴ってヒースクリフを苛んでいる。ヒースクリフの中では、今朝のことも昨夜のことも何一つ解決していないのに、何も気にしていないどころか勝手に無かったことにしていそうなムルソーの態度が気に食わなかった。自分だけが未だ地獄を味わっている。そんなのは許せない。
睨むように広い背中を追っているうちに、アルコールに沈んだ記憶を断片的に思い出せるようになっていた。それに伴い、どうやら自分の尻は無事だったらしいこともわかった。痛みがなかったことで大体の察しはついていたものの、その事実は安堵だけではなく別の地獄を連れてきて死にたくなる。あの、自分よりも図体のでかい無愛想などっからどう見たって大の男に、記憶を飛ばすほど酔っていたからって欲情した事実に頭がどうにかなりそうだった。何でよりにもよってあいつなんだという怒りと、でも他の囚人だとしたらマジで尻が無事では済まなかったかもしれないという安堵が混じり合い、クソが、と吐き捨てた言葉は拾われることもなく地面に落ちる。
管理人に次の指示を仰ぐ白い横顔を見て、耳まで赤くして身悶える姿が脳裏に浮かんで咄嗟にバスの側面に頭を打ちつけたヒースクリフに、「ひ、ヒースクリフさん
…
?」と怯えた声でシンクレアが気遣ってくるがそれどころではなかった。今朝頭から火が出るほど思い出そうとしていた時は欠片も出てこなかった昨夜の記憶は、どうしてか今頃になって次々と湧き出てヒースクリフの脳を焼いている。
いっそ酒に浸かったまま腐り落ちて一生出てこなければこちらだって忘れることも出来たのに、ちらちらとムルソーの姿が視界に入る度に脳内にぽんっと湧き出る記憶は、忘却するには質量がデカすぎた。野郎の肌に噛みついた時の弾力だとか、縋った掌の温度とか、小さな上ずる声とか、掴んだ腰の肉付きだとかそんなものならまだいい。急所を締め付けた肉の感触を思い出した辺りで駄目だった。最悪すぎた。本当に最悪でしかなかったので、ヒースクリフは何としてでもムルソーをこの地獄に道連れにしないと気が済まなかった。何より下手くそ呼ばわりされたままで黙っているのもムカつくし。
そもそも男相手なんて上手いわけがねぇだろうがよ、と思い立ったところではた、とヒースクリフは気がついた。バスに頭を打ちつけ始めたかと思えば虚空を見つめて動かなくなったヒースクリフを見ていた他の囚人たちが「おかしくなっちゃった」「珍しい二日酔いですねぇ」「グレッグの歌が悪かったんじゃない?」「やめてやめて!!」などと好き勝手言うのに顳顬を疼かせながら、脳裏をぐるぐる巡る男の痴態に、降って湧いた疑問は確信に変わる。唇が歪に吊り上がり、凶悪な顔をした自覚があった。あのスカした面をどうにか出来る算段のついたヒースクリフは、「笑ってるぞ」「ファウストさん呼びましょうか?」「一回殺した方が早いですよ」などと宣う囚人たちをとりあえずぶん殴るためにバッドを握りなおし、ぎゃあぎゃあといつまでもバスの外で騒ぎ散らかしてキレた案内人に諸共殺された。そんなヒースクリフたちを、ムルソーは興味の薄そうな平らな眼差しで眺めていた。
「今朝言ったやつ、取り消せ」
業務の終了の音頭を受けてぞろぞろと部屋に引き返す囚人の列の最後尾にいた男を、他の囚人たちが自分の部屋に戻ったのを確認してから自室に引き摺り込んだ。さしたる抵抗も見せず大人しく部屋の中に引き込まれたムルソーが何か言い出すより先に冒頭の言葉を投げつけると、一瞬怪訝そうに眉間に皺を寄せた男はすぐに何のことかを察したようだった。平坦な目をすっと細めたムルソーは小さく首を横に傾げて口を開く。
「一日中そのことを考えて私を見ていたのか?」
「見てねぇわ!!人のこと変態みたいに言うんじゃねぇよぶっ殺すぞ!?」
誰がお前のこと好き好んで見つめるかよボケカス!と瞬時に怒りを噴出させたヒースクリフに胸ぐらを掴まれ、若干鬱陶しそうにしながらも振り払うことなくムルソーは淡々と続けた。
「今朝の発言の撤回を求める意味は?」
「事実じゃねぇからだ」
「根拠は」
「思い出したから。昨日の夜、テメェがどんな面して、どんな反応返したか」
昏い緑色がほんの少しだけ見開かれるのをヒースクリフは満足げに見返す。ムルソーの目尻は今朝と変わらず赤みを帯び、掠れた声は記憶の中の痴態を呼び起こして腹の底が疼いた。
そう、「痴態」だ。普段の無表情が崩れた男の、全身を赤く染め上げ身悶える体を押さえ込んで好き勝手に揺さぶった時の声も顔も肉の内側の反応も、全てムルソーが快感を得ている反応だったとヒースクリフは気がついたのだ。目尻が赤らむほどに泣いて、声が掠れるほどに鳴いたくせに「下手くそ」なんぞ言われる筋合いはない。まだ断片的にしか思い出せないヒースクリフより、その優秀な脳みそはもっと鮮明に昨夜の記憶を覚えているのだろうから言い逃れはさせないと凶悪に笑うのをじっと見つめたムルソーは、期待したような動揺を見せることなくやはり淡々と答えを返した。
「貴方が昨夜の情事の記憶を思い出したことと、今朝の私の発言を撤回しなければならない理由に何の関係があるのか理解出来ないのだが」
「あ゛ぁ!?てっめこの野郎あんだけひんひん鳴いといてまだしらばっくれるつもりか!?泣くほどよがってたくせにどの口が下手くそだの抜かしてんだコラァ!!」
「言ってない」
「あ゛!?」
「一言も貴方のことを『下手くそ』と言ったことはない。加減を覚えた方がいい、と言った」
「
……
」
ヒースクリフは黙り込んだ。ムルソーの言う通り、彼は直接「下手くそ」と発言したわけではない。そのように揶揄された、とヒースクリフが勝手に解釈しただけだ。いやでもあの言い方はなんかちょっと不満げだったし心なしか呆れた感じだったじゃねぇかよ、と口元をもにょつかせ先程までの勢いを萎ませるヒースクリフに、恥じらいなどどこかに投げ捨ててきたのかというあけすけさでムルソーが言う。
「明け方まで開かされた股関節は未だに痛み、血が出るほど噛んだ痕が服に擦れて集中が削がれる時間があった。喉の違和感はそう支障はないが、散々出し入れした場所はまだ貴方が入っているような感覚が残っていて「あ゛あ゛あ゛あ゛やめろばか信じらんねぇこいつ!!」何がだ」
まだ言いたいことが残っている、と言わんばかりにムッとする男にヒースクリフはどうにかなりそうだった。おかしい。こんなはずじゃなかったのに。自身を苛む地獄のような感情をお前も味わえばいいと掘り起こした諸々に、どうしてかヒースクリフだけがダメージを負う羽目になっている。何でこいつこんなに平然としていられるんだ?羞恥心を売りに出したのか?というかしれっとした顔で一日中そんな感じだったのかよマジかよそりゃあれだけやったらそうなるか、と考え出したところで思考を断ち切るためにムルソーの無駄にデカい胸部に顔をぶつけた。そこそこ柔らかかった。ちょっといい匂いもする。ふざけるな。
胸に顔を埋めて震えながら呻き出したヒースクリフを路傍の虫でも見るような目で見下ろしたムルソーは、ふー、と細くため息を落とし、何ため息なんぞ吐いてんだこの野郎と完全に逆ギレ状態で顔を上げたヒースクリフの顎を指先でクッと持ち上げた。何すんだ、と言いかけた言葉は、どろりと色を濃くした昏い眼差しに見つめられて喉奥に引っ込む。
「私自身は貴方のやり方に不満はなかった。痛みもあったが、最終的に快感を得られたので問題はない。体の些細な不調も明日になれば快復するだろう」
するり、顎に触れていた指先が喉仏を辿って鎖骨に下り、ヒースクリフの少し緩んだネクタイを軽く引く。
「しかし酔っていて箍が外れていたことを鑑みても、昨夜の貴方の行為は異性を相手にするには少々荒々しいと判断した。今回はたまたま相手が私だったが、別の誰かが同じように触れられて無事でいられる保証はない。今朝の発言はそういう意図を持ったもので、貴方の技量を貶すものではなかった」
白い指は胸元のベルトに爪先を引っ掛け、服の上から腹筋を辿り、するすると滑らかに下方へと移動していく。ヒースクリフはいつの間にか呼吸を忘れてその挙動に見入っていた。心臓の音がうるさい。
「ーー私に、上手い、と思われたかったのか?」
耳のすぐそばで囁かれた声にカッと顔が熱くなる。反射で睨み上げたその先、緩やかに細まった緑色とまともに目が合って動けなくなった。昨夜ベッドに引き倒して散々揺さぶってる時に、同じような目をしていたことを思い出す。食ってるのはこちらのはずなのに、腹を満たしているのはこいつのような、ゾワゾワと背筋を走った衝動が、悪寒なのか快感なのかの区別がつかない。ごくり、と唾を飲み込んだ音がやけに大きく聞こえた気がした。二日酔いの不快感に満たされていた腹の底から、得体の知れない飢餓が湧き出て喉を掻きむしる。
数秒の沈黙。先に口を開いたのはムルソーだった。
「ーーまだ酔っているのか?」
「
……
ぁ?」
「勃っている」
その声は心底不思議そうで、どこか子供のような響きを持っていたが、理解が遅れて呆けたヒースクリフの膨らんだ下腹部を撫で上げた指先と平坦な眼差しは、ヒースクリフの視界を真っ赤に染め上げるのに充分な威力を持っていた。
ーー気がつけば男を床に引き倒して、その体の上に乗り上げていた。変わらず平らな視線を向けてくるムルソーのゆったり上下する胸の上に手をつき、怒りに程近い興奮に茹ったまま唸るようにヒースクリフは言う。
「ーーまた、思い出した」
「
……
何を」
「酔って、テメェを部屋に引き摺り込んで、押し倒したのはオレだ」
「そうだな」
「その後胸ぐら掴んで口に噛みついてきたのはテメェだった」
ムルソーは答えなかったが否定もしなかった。ただヒースクリフの煮詰まった目を覗き込むように見上げ、薄っすら目を細めている。ヒースクリフは歯を剥くように嗤い、胸の上の掌で男に爪を立てた。ぶちり、と生地かボタンか皮膚かが裂けた音がしても二人は気にも留めない。アルコールの一滴も存在しない空間で、酒に浸かっていた時の狂乱を再現し始めているヒースクリフは、今も昨夜も恐らく「正気」だっただろう男に、半ば答えのわかっている問いかけを投げる。
「ーー何で?」
ムルソーの答えは澱みない。
「キス一つで正気に戻っても、戻らなくても、私にとってはどちらでも構わなかったから。
ーー前者は酔っ払いの相手をせず休息を得られ、後者は上手くいけば快楽を得られる」
貴方があまりに酔っていたために私が受け身になった、あの時間から吐瀉物の掃除をするのはごめんだったから。そう、何の後ろぐらさもなく淡々と言い切ったムルソーに、ヒースクリフは声を上げて笑った。やっぱり最悪じゃねぇかクソッタレ、と吐き捨て、爪を立てたままの掌で組み敷いた男のシャツを引き裂いた。流石に不快そうに眉間に皺を寄せたムルソーを見て少しだけ溜飲が下がる。白い胸にまだ生々しく残った噛み痕を引っ掻き、痛みに顔を歪めた男の顎を掴んで至近距離から覗き込んだ。揺らぐことのない昏い眼球に映る、獣のような顔をした男を睨みつけてヒースクリフは嗤う。
「人のこと勝手に棒扱いしやがって」
「そもそも貴方から始めたことだ」
「酔っ払い利用してオナったのはテメェだろ」
「忘れたかったのではないのか。酒という逃げ道も今はないが」
「忘れてぇし今すぐテメェもオレもぶっ殺してぇよ。最悪だマジでふざけんな」
ならば何故?と小さく首を傾げて可愛こぶる性悪の唇に噛みつきながら、ヒースクリフは小さく嗤った後吐き捨てるように答えた。
「やられっぱなしは性に合わねぇ」
「待て」
「んだよ今更怖気ついたってやめねぇからな」
「何故当然のように私が下なのか」
「は?」
「貴方は今は素面で吐きもどす危険性は低い」
「は??」
「なので私が無条件に受け入れる側になる道理はない。再考を提案する」
「却下だボケクソ面の皮厚いにもほどがあんだろ心臓に剣山でも生えとんかどんな神経してんだ死ね!!!!!!!!」
揉めに揉めて結局その日はセックスしないまま朝になったし、二日酔いと寝不足のダブルパンチでヒースクリフは業務中三回死んだ。ムルソーはピンピンしてた。
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