望月 鏡翠
2024-02-06 22:23:12
838文字
Public 日課
 

#1257 「雷雨」「校長」「図表」

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 遠くで雷が鳴った。ごろごろと猫の嬉しいときの腹の音になって聞こえてくる。
 ピカっと光るのが見えないくらい遠くだったが、暗雲はすぐに空を覆う場所まで迫ってきていた。雲が流れるのはとても早い。
 ほどなく、最初の一滴が空から落ちてきた。
 コンクリートが水玉になったかと思ったら、一瞬で水に濡れた暗灰色に塗りつぶされた。
 女子生徒が渡り廊下を行くときに、雨の激しさに悲鳴をあげた。濡れないように早足に体育館に走っていく。
 激しい雨は、梅雨よりも夏に降るもので、夏休みの雰囲気を高めていった。
 終業式に集まった人は全員ソワソワとしている。
 学校から帰るときのことを思わず心配してしまうような激しい雷雨が降っていた。夏休み直前の校長の話などそもそも誰も聞いていないものだが、聞こうとしたところで雨の音がうるさくて聞こえなかっただろう。
 向こうの声が聞こえないなら、こちらの声も聞こえていないとこそこそ友達とおしゃべりをしてやり過ごした。これが終わったらクラスで成績表を返してもらって、いよいよ夏休みだ。
 雨が止んでくれるだろうか。止んだところで地面はどろどろになっているだろう。今日は雨具も長靴も持ってきていないから、帰り道は慎重に歩かないといけない。
 スカートや靴下に、いつの間にか跳ねている泥のことを考えた。どうして靴の踵というのは知らない間に泥を跳ね上げてくるのだろう。
「校長の話、聞かなくてよくてラッキーだったね」
 話す内容を考えて持ってきてくれた校長にとっては不幸なことだが、いつも退屈を持て余している校長の話を結果的に聞かずに済んだのはラッキーだった。
 この後はもう授業がないホームルームで、教師からプリントを配られて成績表を受け取り、カバンに突っ込み帰るだけだ。
 休み明けのテストのことはどうでもいいけれど、成績表のことは少しだけ気に掛かる。もちろん、期待より良かったときのみだけど。
 うすーく開いて、図表だけチラリと確認してみた。