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HAZURE_Mapo
2024-02-02 20:29:44
2163文字
Public
SO2文章 物語を彩るモノたち
物語を彩るモノたち【郷愁の魚】
SO2に出てくるモノ視点の話。登場キャラはクロード・レナ・レオン。※魚が喋ってます ※捏造設定が多めです
私は永く生きてきた。この成長することを放棄した造り物の人工惑星の歴史のほうがよほど永いが、もうどのくらい生きたか自分でもわからない。途方もない時間を過ごしてきたのだ、時間の感覚など最早無い。5mほどある現在の体の大きさになったのも、ざっと見積もって数千年どころか一億年以上前だ。数十年ほどしかない人類の寿命では、それがどれだけの時間の長さか想像もつかないだろう。そんな私は妖怪と称されてもおかしくない生き物だ。事実、同類である魚からは恐れられ、世間話をしたくとも近づくだけで相手は逃げてしまう。人類からは「ネーデのヌシ」なんぞと呼ばれるようになってしまった。言っておくが、私は好きでヌシになった訳ではない。それだけ永く生命の維持が出来る種に生まれたのを少し恨みたくもなるが、神の思し召しと思い受け入れる他ない。
しかしこれだけ永く生きたせいか、最近よく過去を思い出す事が多くなった。
あれはいつだったろうか。この氷河浮かぶ寒冷地帯を住処にするはるか昔、私の体も1mかそれにも満たない頃のことだ。あの頃は温暖な気候の浅瀬で同じ体格の同類たちと過ごしていた。周辺の気候のせいか、穏やかな性格の同類が多かったように思う。天敵もそれほどいなかった。
そこが住処だった時によく人類の親子が来ていたのを覚えている。母娘で海面を覗き、私たちは観察されていた。幼い娘は藍色の髪の毛を両耳の上でそれぞれくくり、満月のような丸い髪飾りを留めていた。母親は娘より少し明るい青色の髪の色だったが、風貌は娘とよく似ていた。
しかし母娘は私たちを捕獲して何をしようとするつもりはなく、ただただ和やかに眺めていた。その私たちを眺めている雰囲気が暖かく感じられたのだ。決して海水温が高かっただけではない。その暖かい雰囲気を感じ取るのが私は好きだった。今思えば、あの時が私が生きてきた中で幸福の絶頂期だったのではないか。
……
これは思い出補正か?いや、そんなことはない。そんなこととは思いたくない。
どうでもいいことを思い出してしまった。まぁいつもの如く、永く生きた弊害だ。こんなことをあと何十回、何百回繰り返すんだろうか。
……
ん?あれは?
………
!!何故ここにいるのだ?もう数百年以上見かけなかったのに、何故今頃になって居るというのだ
……
あれと同じ仲間はよく見かけるが、彼奴はネーデ中の海を探してもいなかったのに!
あぁもっと、もっと近くで顔を見せてくれ
……
あぁ
……
ああ!!あの幸福の時を共に過ごした仲間、故郷知ラズ!!
……
ん?んんっ
……
な、何か口元に
……
違和感が
……
ぐわぁっ!
つ、釣られる
……
?だとぉぉお!?今まで人類の用意した罠は全て見切ってきたと言う、の、に
……
!
うぐ
……
うぐぐ
……
ぐぐぐ
……
!!
ぐわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
……
見たこともない景色が目の前に広がっている
……
ここが地上と言う場所なのか?そして私は、宙に、浮いて
……
いるの、か
……
?全てが、全てがゆっくりと動いている
……
…………
!
あれは、あそこにいるのは
……
あの時居た娘によく似ている
……
藍色の髪の毛、形は違うが月に似た髪飾り
……
しかしあれは途方もなく昔の話、数十年しか寿命がない人類が生きているわけなかろう
……
あぁ、そうか、これが死ぬ間際に見る走馬灯というものか
……
一番幸福だったからな、あの親子に見守られていた時が
……
神も、最期に、粋なことをしてくれた、ものだ、な
………………
◇
「はぁ、はぁ
……
やったぞ
……
遂にネーデのヌシを釣ったぞ!」
「やったわね、クロード!反動で転んじゃったけど大丈夫?」
「あぁレナ、ありがとう。あいたたたた
……
思いっきり腰打っちゃったよ」
「今回復魔法かけるわね。
……
これで大丈夫よ」
「やっぱりクロードお兄ちゃんは凄いや!こんなに大きい魚釣っちゃうなんて!ノースシティの図書館で読んだ図鑑では見たことあったけど、空想上の生物だと思ってたし、まさか本当にいるなんて
……
今は愛の場にしか生息していない故郷知ラズを見せると反応しやすいって図鑑に書いてあったけど、その通りだったね!」
「ははっ、レオンもありがとうな。そうだよなぁ、こんな大きい魚、現実にいると思わないもんな。図鑑で培った知識を教えてくれたレオンのおかげだよ」
「
……
あれ?この魚
……
」
「どうしたんだ?レナ」
「見たことある気がするの
……
本で見たわけじゃなくて、目の前で確かに
……
何だろう、見たら神護の森にいる時みたいな、それに近い感じがするの
……
何でだろう、不思議な感覚ね
……
」
「レナ
……
」
「レナお姉ちゃん
……
」
「あ、ごめんね、変なこと言っちゃって。見たことあるはずないのにね。小さい頃ネーデにいたみたいだけど、それだって七億年も前よ。記憶も曖昧、それに同じ魚が生きているわけないじゃない」
「
……
ぼくはレナの言うことを信じるよ。見たことがあるとレナが言うならそれは本当なんじゃないかな。例え似た魚だったとしても、神護の森にいる時と同じ感覚になったのなら、レナにとってそれは大事な記憶なんじゃないかな」
「
……
そう言ってくれてありがとう、クロード」
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