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せみず
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リョ三
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お題「わるいこと」
リョ三+アンナちゃんの仲良しお買い物帰りです。
雪見だいふくが冬限定だったころの話です。大まか過ぎたかもなので、本に入れるときは、もう少し、雪見のさびしさのくだりにたぶん追記します。
ご反応いただけたら嬉しいです^^
https://wavebox.me/wave/f2ozrofzaiub9jru/
寒さに鼻先を赤くしながら、宮城、三井、アンナの三人は家路を急ぐ。
寒波が来ているとやらで、むき出しになっている皮膚の表面すべてが切れそうに痛む。
アンナの頼みで、部活後に家の最寄り駅で待ち合わせて買い物の荷物持ちとなっている宮城だが、なぜか三井もついてきた。人手が多いほうがいいだろと三井は言うが、部活後の三井に体力の期待はしづらいところだ。
米だの料理酒だの洗剤だのとまとめて買い込んで、主に宮城が分担した。重い荷物を持って歩けば、寒風吹きすさぶ中でも多少は身体が温まるかと思ったが、まったくそんなことはなかった。
「凍る、寒すぎて凍る」
「冷凍食品の割引は明日なんだよ。今日だったらよかったのにね」
「寒ぃ中、冷凍食品持つとかムリだろ」
鼻をマフラーに埋めてもごもご言う三井に、宮城とアンナが声をあげて笑う。身体は寒くてたまらないが、そうして笑っている間、宮城は寒さを忘れた。
アンナとふたりの帰路であっても、このにぎやかな妹のおかげで喋りつづけだったろうけれど、三井がいるのは特別だった。なにしろ、日用品を買って一緒に帰るだなんて、同棲を疑似体験してしまっているようなものだ。にやけそうになる口許を、三井にならってマフラーに埋めて隠した。
吐く息がマフラーの隙間から白くもれる。ウィンターカップも半月後に迫っている今、風邪など引くのはごめんなので、一刻も早くストーブに当たりたかった。
だというのに。
「リョーちゃん、アイス買ってー」
鼻も頬も寒さで赤くしたアンナが、行く手にあるコンビニの明かりを指した。
「はあ!? アンナおまえ、ここは真冬の湘南だからな、ハワイじゃねーぞ!?」
「リョーちゃん知らないの? 雪見だいふくは冬限定なんだよー」
「だからって、この寒い中、アイス食いたいとか言い出さねーだろ!」
「家で食べるんだもん」
つん、と横を向いてアンナが唇を尖らせる。
「おまえなあ!」
両手に買い物袋を抱えた宮城が肩を怒らせて一歩踏み出せば、三井が隣で吹き出した。
「何すか、三井サン」
「おまえとアンナ、拗ねたときにおんなじ顔すんのな」
「俺、あんな顔してないやし!」
宮城が訂正しても、三井はまったく取りあわなかった。宮城に比べて身軽な現状をいいことに、数歩先を跳ねていたアンナに並ぶ。
三井が味方についてくれると判断したアンナが、あご先に指をあてて、小首を傾げた。
「リョーちゃん、あたし雪見だいふく食べたいー」
かわいいおねだりのポーズを取られ、宮城は天をあおいだ。気を取り直し、ダメなものはダメ、と言いかけて、言葉を失った。
アンナの隣に並んだ三井が、アンナと同じようにあご先に指をあてて、首を傾げてみせたのだ。しかも、少し腰を折って、宮城と目線の高さをほぼそろえた上目遣いをして。
「宮城ぃ、俺も雪見だいふく食いてえ」
ぐっと唇を引き結び目を閉じて、宮城は天をあおいだ。買い物袋を取り落としそうになり、持ち手をめいっぱいの力で握りしめる。
アンナと三井が「キャー、三井サンやさしー!」「おう、俺は優しい男だぜ」なんて茶番をくり広げていたが、そちらには見向きもしなかった。
こんな悪いマネをふたりから突きつけられしまっては、敵うわけがない。
それはそれとして、今目にした光景を、脳裏に焼きつけるのに全神経を注いでいた。
天を仰いだままでいると、両サイドにぴたりと張りつかれる気配がしたので、目を開ける。右腕はアンナ、左腕は三井がそれぞれ腕をからめていた。
「それじゃあ、コンビニ行くよー!」
アンナの号令で、宮城が左右から連行される状態でコンビニに向けて歩き始める。
「お、おい! 転ぶって!」
アンナは跳ねるし、三井は腕をからめる位置が高いしで、危なっかしくて仕方がない。けれどピッタリくっつかれているから、いくらか暖かい。目指すコンビニの明かりは、寒さからのいっときの避難場処にふさわしく見えてくる。
不器用な三人四脚のようにもつれあいながらコンビニを目指す。
雪見だいふくの二個入りパックをふたつ買おう、と宮城は決める。三人家族だと、雪見だいふくの二個入りパックを買うのは少しばかりさびしい。だけれど今日は、三井が夕食を食べていくだろうし、ダイニングテーブルの椅子は四脚すべて埋まるはずだ。二個入りパックふたつが最適解だ。
「ねー三井サン、」
腕を引っぱられながら宮城が呼べば、「なんだ?」と言いながら三井が視線を寄こしてくれる。
両手ともに自由にならないので、宮城は首だけ傾げてみせた。
「三井サーン、俺、肉まん食いてえな」
一瞬止まった三井が、長く長くため息をついて、天を仰いだ。
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