いを
2024-01-31 20:28:04
1068文字
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タグまとめ5

刀神・ブツメツフツマ。
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。

正解(ブツメツフツマ/無告)
 卒業式というものは年に一度はあるし、生徒たちにとってはその日はおそらく、大切な日なのだろうと思う。
 私も過去、ひととおり卒業式を体験した生徒であったし、そんな私たちを見送る教師もいた。その教師たちがどんな思いで私たちを見送ったのか、ほんの僅かでも私は知った。知れた、というのはきっと私にとっても大切なことなのだろう。
 非常勤講師は担任を持っていないから生徒たちに直接祝辞を述べることはないけれど、私を先生、と呼んでくれた子たちのことは忘れない。
 古びたサンダルをつっかけて、私は大家が大切にしている庭に出た。春ともなれば、芽吹く植物も多いだろう。梅はもう散ってしまっていて、代わりに桜のつぼみがふくらんでいた。
 ふとくちびるをゆるめる。
 卒業していった生徒たちのことをほんの少し、思う。倫理という授業は必須科目ではないし、生きていく上で絶対に必要というものではない。ただ、彼らの心に添うことができるものであれたらとは考えている。彼らがどう考えてどう思い、どう生きていくか。そのささやかな手伝いになれば。私はそう願っている。


アルジャーノン(刀神/菊司)

 迷うなら最初から選択しないほうがいい。そう思ってはいたけれど、「人生は選択の連続」という言葉はあながち嘘ではなく。今日着ていく服を選び、靴下を選び、朝食になにを食べるか悩み、選び、右足から出すか、左足から出すかを選び、ようやくドアノブを回して外に出ても、この後からの選択が多すぎるのだ。天照に行けば仕事をし、現場に出なければいけないような門が出現すれば「出るか」「否か」を選ぶ。その選択が自分の生死を左右することは菊司も知っている。そして悩めばかかる時間分、ひとが傷つくかもしれないし、一番悪ければ殺されるかもしれない。「そうしたら目覚めが悪い」と言い訳をして、妖刀を握る。オレンジ色の髪の彼が菊司をみとめた。「おじさん、行くんだ」と言った。菊司は「うん」と頷いた。気をつけて、と彼は言った。ありがとうと返して現場に走る。門から出た妖魔は多かったが、鯉朽隊がすべて制圧するのにそう時間はかからなかった。峰柄衆の一端は特に必要がなかったようだ。まあ、三匹ほど、斬ったが。選択すればするほど変化していく。それは間違いない。不変などというものはないように。眼帯で覆われた左目を持つ彼も、きっと変わっていくのだろう。これからどんな選択をするのだろう。なにを選び、なにを捨てるのだろう。
 ――ほんのすこし、菊司は隣で見てみたくなった。