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浦山野あずま
1056文字
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一次創作
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アーバンベアのゴローさん
巷で話題の、都会に出たクマの話です。
「俺もさ、都会に出たらなんとかなると思ってたんだよ」
そう語るのは、ヒグマのゴローさんである。
その名が示すとおり、ゴローさんは彼の母親にとって5番目の子熊であった。雪深い山で、母親の少々荒っぽいを愛を一身に受けてすくすく育ったゴローさんは、独り立ち後、少しばかり波乱万丈な日々が待ち受けていた。異常気象によるものか、山に食べるものがなくなった。人里に降りてはみたが、犬に吠えられ、爺は腰を抜かし、婆は鎌を振り回し、大した収穫はなかった。彼らを襲うことも、ゴローさんはしなかった。
「人間ってのはタヌキと同じ雑食だろ?俺、タヌキの味が好きじゃねぇんだよ」
しばらくは畑の収穫物を失敬していたが、それも時期に飽きた。野菜はたいして腹にたまらない。
そしてゴローさんは決意した。単身、海外へと飛んだのだ。アメリカ、スイス、ロシア、ルーマニア、様々な国でクマと出会った。彼らの話は、ゴローさんに衝撃を与えた。自分の生まれた山のなんと小さかったことか。広大なアラスカの大地、ルーマニアでのクマダンスフェスティバル、北海道の山が全てだったゴローさんにとって、それらは天地がひっくり返るほどの衝撃だった。
そして最後に、ゴローさんはイギリスに渡ることにした。
「確かに今、ロンドンにはクマがいねぇ。もともと群れる性分じゃあねぇが、流石に仲間がゼロってのは、最初は辛かったさ。でもな、この広い街にクマは俺しかいないんだ。俺こそがオンリーワンだ。なにかどデカいことができそうな気にもなるだろ」
そう語るゴローさんは、いまやロンドンが誇る大コメディベアだ。クリスマスにはサンタクロースの元へ、ゴローさんモデルのテディベアのリクエストが殺到し、あの100エーカーの森のクマや赤い帽子の子グマとの共演も果たした。巨大な体から繰り広げられるユーモアあふれるリアクションがゴローさんの持ち味とされている。
「昔、腰抜かした爺さんや鎌振り回す婆さんを宥めるのにしてた動きが、ここまで受けるとはなぁ」
ゴローさんは苦笑気味にそう語った。何事も、無駄な経験などないのだ。
そんなゴローさんが、この度、日本の映画に凱旋デビューする運びとなった。
今までの親しみやすいキャラクターとは一転して、主人公達に自然の厳しさを教えるシリアスな役どころが注目を集めている。舞台は北海道、故郷に錦を飾ることになる。
ゴローさんが出演するこの映画は、20xx年1月19日全国公開である。ぜひ映画館に足を運んでみてはいかがだろうか。
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