みみみ
2024-01-26 21:44:46
2183文字
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天獄へようこそ(サンプル)

不穏本に収録予定のラナ+ジンのボーラ被虐妄想パラレルです。
メカバレ表現ありますのでご注意ください。





 ワールドガバメント直轄重警備刑務所、通称『月都』
その最上階、月都の中で最高厳重警備が敷かれている厳正懲罰隔離房棟にボーラは収監されていた。
「ふぅむ……そろそろ喋っテしまうのが君ノ為だと思ウのだがネPD-0321WG」
「ハッ、寝言は寝て言え」
 格子牢の天井から吊るされている鎖で両腕を拘束された状態にも関わらず、ボーラは好戦的な瞳で看守デンタを睨みつける。
「しょうガない……後は頼んダよPT-1017WG、ZN-1001HM」
 そう言って看守デンタはふよふよと廊下の向こうへと消えていく。
それと入れ替わるように、冷たい廊下を闊歩する二人分の足音が響いた。

「ごきげんよう、囚人 ボーラさん」
 ピンヒールを高らかに鳴らし、ボーラの居る格子牢の前に立ち止まったラナは座り込んでいるボーラの目線に合わせるように膝を折ると、優雅に微笑みかけた。
……ハッ、随分と良いツラしてやがるなお前」
「フフお褒めに預かり光栄ですわ、何分こっちが本職ですもの」
 小首をかしげてそう答えるラナにボーラは小さく舌打ちをする。
「そのお上品なツラにまんまと一杯食わされたって訳か……大した役者だな」
「あら、見た目で判断するなんて貴方らしくないのではなくて?」
「月都の輝夜姫なんざ、大層な綽名だな」
 次の瞬間、ラナの口元から笑顔が消え残ったのはボーラを真っ直ぐに見据える冴え冴えとした冷たい月のような瞳だった。
……貴方とは、沢山お話ししたかったけど残念だわ」
「ラナ~ぼくもなにかお手伝いすることある~?」
「まだ大丈夫よジン、貴方はそこで見ていて頂戴」
「うん、わかった~」
 そう言って腰の鍵束の中から格子牢の鍵を取り出したラナは、薄暗い牢の中へと入って行く。
するりと取り出した乗馬鞭の先端についたフラップでボーラの頬に軽く触れたその瞬間だった
「ッ、□※薙/縺∽ッ──」
 ボーラの電子頭脳に強烈なノイズが走る。
「ちょっと凄いのよこれ、ワールドガバメント特製の対アンドロイド自白誘導補助器具でね、スイッチを入れると強烈な磁場を起こして電子頭脳に直接干渉して……ってあら、聞こえていないのかしら?」
 ラナが項垂れて小刻みに震えながらエラー音を吐き出すボーラの顎を鞭の先で掬うと、苦悶の表情を浮かべながらもボーラは奥歯を噛みしめてラナを睨みつけた。
「ああッ……堪らないわ、その表情」
 ヒュン、と空気を切り裂く鋭い音と共に振り下ろされた鞭がボーラの体を打ち据える。
その度にまるで高濃度のメロディ麻薬を大音量で聴かされたような不愉快なノイズがボーラの脳内を駆け巡った。
「ッ、糞……がッ」
「あらあら、これでも根を上げないなんて流石ボーラさんね」
「ラナ~、ぼくもてつだうよ~」
「そうねジン、お願いしてもいいかしら?」
「まっかせて~!!」
 まるで場にそぐわない柔和でのんびりとした口調のまま、ジンは牢の中に入って行く。
「ねぇ~ボーラ、はやくしゃべってくれると、ぼくたちとっても助かるんだあ~」
……寝言は寝て言え」
 頑なに口を割らないボーラの様子に、ジンはしょんぼりと眉尻を下げる。
……こう言う時は、どうするんだったかしらジン?」
「えっとねえ、こういうときは”おねがい”するんだあ」
 そう言ってジンは投げ出されたボーラの足を掴むと、関節を逆方向にへし曲げた。
「おいやめろッ!!」
 バキッ、ブチッ、とパーツのくだける音と配線の引きちぎれる音が響き渡る。
「ほら~はやくしないと壊れちゃうよ~」
 おっとりとした口調と裏腹に、ボーラの駆動を破壊する手を止めることはない。
損傷部位を告げる警告アラートがより一層強くなる。
「あ~あ、千切れちゃった」
 まるで壊れたおもちゃのようにボーラの膝から下のパーツを抱えながらジンは残念そうに呟いた。
「ねえ、ボーラさん」
……何だ」
 無残に破壊された脚からむき出しになった配線の断面を見ながらラナは微笑んだ。
「さっきのアレ、人工皮膚越しじゃなくて”此処”から直に味わってみたいと思わない?」
「テメェッ」
「ふふ、天国に連れていってあげる」

――パァンッッ

 切断面に思いきり鞭を打ち据えた次の瞬間、声にならない声を上げてボーラの電子回路は強制遮断される。

【caution:Unable to complete the operation. A fatal error has occurred.
caution:Unable to complete the operation. A fatal error has occurred.】

「あ~あ、ボーラ寝ちゃったの?」
……そうみたいね、帰りましょうかジン」
 けたたましく鳴り響くビープ音にうんざりとした溜息を吐いてラナはボーラに背を向けた。
「じゃあね~ばいば~い」
 ピクリとも動かないボーラにブンブンと手を振りながらジンは牢を後にする。
ラナはチラリとボーラの躯体を一瞥すると、牢に鍵をかけ悠々とその後を追いかける。
「月都の夜は長いんですもの、たっぷり可愛がって差し上げますわ囚人 ボーラさん」
 たおやかな微笑みと共にそう呟くと、ラナはヒールを鳴らして長い廊下を闊歩するのであった。