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八上
2024-01-21 19:01:45
814文字
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霞とクロサワの小話 片頭痛
misskeyから転載
――
嫌な夢から、目が覚めた。
瞼を開けると、部屋の天井が見えた。見覚えがあるけど、どこだっけ
……
?
「霞」
呼びかけられて、よろよろと首を動かして顔を向けた。頭が痛くて仕方がなかった。吐き気と不快感もある。
傍に座っている赤い瞳の男が、横になっている霞を見下ろしている。手にはペットボトルを持っていた。
「寝てちょっとはマシになったか」
「
……
あたまいたい
……
」
「ダメか」
差し出されたペットボトルが額にあてられた。ひんやりして冷たい。
「とりあえず薬飲め」
「飲んでも効かないよぉ
……
」
「効くって信じて飲め」
じゃないと病院連れてくからな、と箱から薬を取り出している彼を、霞はぼんやり見ていた。
差し出された薬の錠を受け取って、ペットボトルの水で飲み込んだ。大して味がしないのは錠剤タイプの鎮痛剤のいいところだ。
す、と彼の手が額にあてられた。男性にしても大きい手だと思う。彼は背が高いからその分かもしれない。触れられると不思議と、身体の不快感が少し和らいだ気がした。
「熱はないんだがな。やっぱり片頭痛か」
「
……
きもちわるい」
「吐き気か?」
小さく頷くと、彼は「流石に吐き気止めは手元にないな」と、もう片方の手で自分のこめかみを触った。
買いに行くか、と立ち上がろうとした彼の手を掴んだ。
「
……
ジェームズ
……
」
「ん」
「
……
」
――
喉まで出かかっていた言葉を、飲み込んでしまった。もう自分が何を言いたかったのかすら、よく分からなくなっていた。
それを見ていた彼はふう、と息を吐いて椅子に座り直した。その赤い目に呆れなどの悪感情はなかった。
「分かった」
まあ頭痛の方が収まれば吐き気も収まるだろう、と自分の手を掴んでいる細い手を包み込むように握った。
「もう一眠りしろ。ここにいるから」
その低い声がとても心地良くて、ゆっくりと意識が遠のいていく。この感覚は嫌ではなかった。
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