ゲラアル。1899年の夏のひとこま。とてもイチャイチャしている。Twitterにあげたのを少しだけ手直ししました。これくらいイチャイチャしていても許されるのでは?許されたい。
魔法の力が満ちた美しく小さな花が咲き乱れる花畑。そこは、アルバスが家にいる時間を有効活用して裏庭に作った小さな楽園だった。アリアナの具合がいいとき、彼女が外の新鮮な空気を吸うことができるようにと誂えた場所で、その一帯には強力な保護魔法がかけてある。
その秘密の花園へ、最近知り合った自分よりふたつ年下の魔法使いを案内した。彼は透けるようなブロンドに青い目を持つ絵に描いたように美しい少年だった。
「驚いたな、外からはただの荒れた庭にしか見えなかったのに」
「目くらましの呪文がかけてあるんだ」
「それは大層だな。ここには秘密の宝物でも隠されているのか?誰にも見つからないように、厳重に隠しているようだな」
花畑を覆うようにかけられた複雑で強固な呪文を感じ取って、ゲラートは不思議そうに問う。
アルバスの妹のアリアナは、魔法を使ったところをマグルの少年に見られたことが原因で、理不尽な暴行を受けた。その事件のせいで、アリアナは自分の魔法力を封じ込め、人目を避けて部屋に籠ることが多くなった。そんなアリアナが少しでも安心して外に出られるように、外からは中の様子が見えない保護呪文を張り巡らせてある。
アルバスはアリアナのことを話すのを躊躇い一瞬口ごもった。母から口を酸っぱくしてアリアナの事情を隠すように言われていたからだ。だがもうその母も亡くなってしまった。それでも、母の言葉は今もアルバスを縛る。ダンブルドア家の秘密を知られないように。アリアナの症状が知られたら、聖マンゴ魔法疾患障害病院に送られ、もう外で自由に生活できなくなるかもしれない。アリアナの自由を奪われない為には、秘密を守り通すしか無かった。
「僕には妹がいて、病弱であまり外へ出歩けないんだ。だから、たまに外に出られるときは、綺麗な景色を見せてあげたくて」
アルバスは妹の複雑な事情を当たり障りのないようにぼかして伝えた。
「……ふぅん」
ゲラートが妹についてそれ以上の詮索をしてこなかったので、アルバスは正直ほっとした。
「それで、ここの花は魔法で作った花なのか?」
「違うよ、全て本物の花だ。少しだけ魔法で成長を助けているけれどね。とても綺麗だろう?」
「あぁ、でも……」
ゲラートはしゃがみ込んで足下の白い花を手折った。
「ほら、とても似合っている。君も同じくらい綺麗だよ」
アルバスの髪に花を添えてゲラートが微笑みを浮かべる。
「……なっ?!」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。頬が熱い。花畑を背に笑顔を見せるゲラートは天使のように眩い光を放っているかのようだ。
「君って……誰にでもそんなことを言うの?」
「君だけさ」
ゲラートの意味ありげな表情にアルバスは戸惑いを隠せない。しばらくの間金縛りの呪文にでもかけられたように動けなかった。自分の心臓が勝手に意志を持ったようにトクトクと跳ねてうるさくて仕方ない。
「それなら……」
このままやられっぱなしではいけないと気を持ち直したアルバスは、杖で空中にすっと弧を描いた。花畑に咲いた美しい花々がひとりでに浮き上がって杖の周りに集まり、色とりどりに咲く花を散りばめた花冠が形作られた。仕上げに花冠がふわりとゲラートの頭上に載せられる。まるで天使の光輪のようで、背中に羽が生えていないのが不思議なくらいだった。
「ふっ、君のほうが似合ってる」
ゲラートは花冠を戴いたまま、弾けるように笑い出す。
「花が似合うなんて面と向かって言われたのは初めてだ。思ったより恥ずかしいな」
「本当にそう思っただけだよ。それに、君から言い出したんだよ?」
「そうだったな!ははっ、こんなに大笑いしたのは久しぶりだ」
「僕もだ」
ふたりは顔を見合わせて心の底から笑い合った。ひっそりと咲いた花々だけが、ふたりの幸せな思い出を今も覚えている。
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