いまち
2023-05-13 13:50:19
7930文字
Public ぴよねじ
 

トランプ兵のみるところ・Ⅲ


 荒れた庭の修復にリドルの通院、俺含め寮生たちが慌ただしく過ごすうちに、早いもので半月が経った。
 俺たちも、寮内もまだまだ元通りとは程遠い状態ではあるものの、「なんでもない日」のパーティーが開催された。これはリドルのオーバーブロット事件の原因であり、功労者の一人であるエースの希望だ。
 庭はまだまだ荒れていて、まだ経験の浅い一年生たちは準備のひとつもままならない。そんな中開催されたパーティーはそれまでのものと比べれば、拙さや荒ばかりが目立つものだった。
 けれど、かつてのリドルの頃とは違い、パーティー会場の空気は楽し気で、和やかなものだった。
 それもこれも、先日の件と今日のリドルの姿があってだろう。バラの塗り残しを咎めず、笑顔で塗り替えたことリドルの姿を見て、それまで叱責に怯えていた寮生たちの顔は嘘のように晴れた。そしてケイトのフォローもあり、ぎこちないながらも笑顔になった。
 リドル自身も慣れないながらも、パーティーを楽もうと意識しているようだった。隙あらば違反を咎めようとするも、それを堪え、バラの塗り直しの時のようにやんわりと妥協点を見つけようとしているようだった。
 そんな様子を見れば、これまで神経をすり減らしてきた身としては、ようやく肩の荷が下りた気分になった。この調子でいけば、ハーツラビュルの空気はずっとよくなるはずだ。そう考えると

「いやホント、オレ、ハーツラビュル生でよかったわー」

 どこからともなくそんな声が聞こえてきた。誰かと思って声のする方を見ると、エースとデュース、それと二人が連れて来た今日のゲストこと、オンボロ寮監督生とグリムが楽しそうに笑い合っていた。
 あんなことがあったにも関わらず、ウチの寮にこう言ってくれるとは。

「なんだ、ずい分と嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
「やー、だってトレイ先輩のケーキ、マジで美味いんですもん」

 少しばかり嬉しくなって声をかけると、エースは媚を隠さない様子で俺のケーキを美味いのなんのと褒めてきた。
 そんな態度にちゃっかりしていると思いつつ、けれど、愛嬌のある言葉を素直に受け取ってやると、気を良くしたのか、エースは含みのある顔をして言葉を重ねてきた。

「オレら、ディアソムニアにダチができたんすけど――

 エースが言うには、そのディアソムニアの友人とやらは、副寮長の料理を食べて気絶したことがあった、らしい。だから、同じ副寮長でも料理ができる俺がいて自慢できた。と、それはもう得意な顔をして話した。
 同席しているデュースも、オンボロ寮の二人も控え目ながら同調している素振りを見せた。

 なんなんだ、それは。

 ディアソムニアの副寮長といえばリリアのことだろう。
 たしかに、リリアは寮でよく料理をしているという話を本人から聞いている。けれど、リリアの料理が下手だ、なんて話は聞いたことがない。リリアは見た目のわりに適当なところがあるのは、まぁ、分からなくもない。
 だが、リリアはどの教科もそつなくこなし、常に上位の成績を修めている。魔法薬学や錬金術のような実技教科にも不可はない。そんなリリアが、そこまでひどい料理を作るのか?
 そう疑問に思うのと同時に、よその寮生に意味のないマウントをとったエースに引っ掛かった。その友人とやらがどんな人間かは知らないが、このままにしていいとは思い難い。

「そうか、可哀想な奴もいたもんだな」
「でしょー。いやーホント、ハーツラビュル生で良かったわー」
「なら、楽しいことはお友達とやらに分けてやらないとな?」
……へ?」
 
 得意げな顔から一転、きょとんとするエースに続けた。

「そいつを連れてくるんだ。それで、嫌味を言ったお詫びをしよう、な?」

 この学園では、些細な諍いが大問題に発展するのは珍しくない。なんなら、なにもなくても暴力沙汰が起きることさえある。
 エースが嫌味を言った友人とやらがどんな人間かは知らないが、うちの寮生が原因でディアソムニア寮と険悪になるのは避けたい。面倒の種は早めに刈るに限る。そのためにも、さっさと詫びた方がいいだろう。
 けど、エースはそう思わないでか、面白おかしく笑いながらかぶりを振った。

「やー、大丈夫っすよ。あいつ、そんなんじゃ怒らないと思うんで」
「分からないだろう?」
「平気ですって」

 一年生同士なら大ごとにはなり辛いかもしれない。けど、上級生にまで話がいって、こじれようものなら目も当てられない。来月には寮対抗マジフト大会も控えているのだから、寮同士のもめ事は本当に勘弁してほしい。

「あのな。もしまかり間違って、向こうの寮長を怒らせでもしたらどうするんだ?」

 なんせ、向こうにはマレウスがいる。世界屈指の魔法士で、茨の谷の次期領主。そんな人間を怒らせようものならどうなるか、わかったもんじゃない。
 マレウスが寮生同士の諍いに口を挟むのかと聞かれれば疑問ではある。しかし、マレウスは一度うちの薔薇を枯らし尽くしたことがあった。だから、万が一を考えておくに越したことはない。
 マレウスの存在を匂わせて、さすがのエースも事の重大さを理解したらしい。先までの得意げな様子はなりを潜めて、怯えた色を浮かべながら背中を丸めた。

「えーっと、じゃあ、声かけてミマス……
「エースお前、ダセーんだゾ」
「まぁ、ドラコニア先輩はな……

 すっかり萎縮してしまったエースとデュースに、グリムは呆れたように目を据わらせた。
 異世界人である監督生やグリムはマレウスのことは知らないらしく、きょとんとしていた。

「はは、そう言ってやるなよ」

 そうして、相手の子に都合を聞いてから詫びティーパーティーを開くことになった。
 つい仕事を増してしまったものの、パーティー自体は成功したからいいだろう。終始和やかなまま、この日の「なんでもない日」のパーティーは幕を閉じた。

 次は、件のディアソムニア生を迎えてのティーパーティーをどうするかだ。
 エースは早々に予定を聞いてくれたらしく、誰かの誕生日である今週土曜日の午後に、うちに来ることになった。その子と、うちの寮生二人、それとオンボロ寮の二人も仲がいいとのことで、ついでに誘うことになった。
 5人分となると、どれくらいの料理がいるんだろうか。その子の好みが分かればいいのだが、エースとデュースに聞いても「甘い物でもなんでも食うから、適当でいいんじゃないすか?」なんて適当な答えが返ってくるだけだった。

 甘い物が苦手でないのならそれに越したことはない。だが、これでは何を作ればいいのか迷ってしまう。

「なぁ、リリア。お前のところの寮生について、聞きたいことがあるんだが」
「おぉ、どうした?」
「噂で聞いたんだが、入学式の料理で倒れた奴がいるらしいじゃないか。どんな奴なんだ?」
「なんの話よ?」

 ならばとリリアに聞けば怪訝な顔をされてしまった。リリア曰く、ディアソムニア生で入学式の日に気絶した生徒はいないらしい。
 ということは、その子の話は誇張でも混ざっていたのだろうか? 不思議に思いながら重ねて聞いても、いないの一点張り。

「そもそも、そんな危険物を歓迎会に持ち込むわけがなかろうよ。わしを何だと思っとるんじゃ」
「そうだよな」

 考えてみればそれもそうだ。アレルギーでもないのに、料理を食べて人間が気絶するなんて、そんなマンガのような話はそうそうあるものじゃない。

「扉を通って具合を悪くする者はよくいるからのう。それと勘違いしたんじゃろ」
「なるほどな」

 せめてエースたちから、その子の名前でも聞いておけばよかったかもしれない。そうすればリリアから話を聞けただろうに。
 そうは思えど、意外に聞く機会は訪れなかった。そうして荒れた庭の手入れや、リドルの通院に付き添っているうちに、あっという間にその日は来てしまった。

 その日は朝から一年生たちの手を借りて、パーティー用の料理を用意した。クリームたっぷりのケーキにフルーツタルト、ナッツ入りのクッキーにマドレーヌにプリン、それと、ミートパイにほうれん草とベーコンのキッシュ。
 以前オンボロ寮に差し入れとして渡した時に、大層喜んでもらえたそうだから、今回も出すことにした。五人分であればこれだけあれば足りるだろう。余った時は土産として持たせてもいい。
 料理の準備を済ませ、昼食を摂ってから一年生二人はゲストの三人の迎えにと出かけていった。戻ってくる前に、パーティー会場の設営を済まさなければいけない。とはいえ、「なんでもない日」のパーティーでも、歓迎会でもない分、規則もなにもないので、さほど手はかからない。

 ただ一つ、薔薇の色をどうするかが悩みどころだった。

 寮内の催しであれば、ハートの女王の法律に則った色で塗ればいい。けれど、今回はただのお茶会だ。
 新たな寮生や友人を迎えるのであれば、ハートの女王の法律第469条「新しい仲間をパーティーに招く日は、赤と白の薔薇を交互に飾ること」に倣って塗ればいいのだが、エースたちの話では入学してすぐにできた友人だそうだから、「新たな」からは少し外れる。
 いっそ白いまま迎えるのでもいいのだろうが、それだと少し、面白みがない。せっかく他寮まで足を運んでもらうのだから、少しでも楽しく過ごしてもらいたいと思うものだ。

 ピンク、緑、青……赤。ディアソムニア生を招くのであれば、あそこの腕章のような緑にするべきか。しかしそれだと、生垣の色と馴染みがよすぎて沈んでしまう。悩みながら色変え魔法でバラの色をいじりながら考えた。

「どうしたものかな」
「あのぅ……

 いじり回していると、会場の門からいやに高い声が聞こえてきた。声のする方を見ると、制服を来た小柄な生徒が門から、半身を隠すように、こちらを覗いていた。
 その子は俺と、今しがた塗ったばかりの黒で縁取りした緑のバラを交互に見て、不思議そうに首を傾げた。

「え、と、何をされてるんですか?」
「見ての通り、バラを塗っているんだ」
「バラを……?」

 答えると、その子は困ったように眉尻を下げた。それもそうだろう。ハートの女王の法律を知らなければバラの花びらを塗るなんて奇行以外の何物でもない。
 というか、この子は誰だろう。少なくとも、うちの一年生ではないのは確かだ。一瞬、エースたちが連れて来た子かと思ったけれど、それなら他の四人もここにいるはずだ。なら、ここへ友人を訪ねにきた他寮生だろうか。

「ここではよくあることなんだよ。キミは?」
「あ、えと、ティナ・キースリンクです。そのぅ、お邪魔してすみません」

 慌てたようにその子は門から、こちらに寄ってきた。
 その子、キースリンクの動きに合わせ、この学園はめったに見る事のないスカートがひらりと揺れる。制服のジャケットとディアソムニアの腕章に合わせたのだと思われる、派手な色のプリーツスカートだ。
 その姿を見て、彼女がなにかと噂になっている異世界の女の子だと気が付いた。そんな彼女はぺこり、と俺に頭を下げると困ったような顔のまま続けた。

「その、トレイさん? えと、副寮長さんにご招待をいただいたので伺いました。それでその、どちらにいらっしゃるかご存じないですか?」

 と、いうことはエースの言っていた友人とは、この女の子のことだったらしい。それならそうと先に言ってほしかった。
 それはそれとして、こちらを見上げてくる彼女の姿に、かつてハートの女王と親交を深めたという、小さな女の子の話を思い出した。
 記録には女の子を迎え入れたのは、バラの色塗りをしていたクラブのトランプ兵だったと残されている。そして、偶然にも俺の顔に入っているスートはクラブだ。そんなものだから、今のシチュエーションと被さって、面白くて、思わず吹き出してしまった。

「えと……
「あぁ、悪い。俺がここの副寮長、トレイ・クローバーだ」
「へ!? えと、あ、はじめまして! えと、エースくんとデュースくんにはいつもお世話みゃ、なってます」

 俺が名乗ると、女の子は慌てふためいた様子で頭をぺこぺこ下げ始めた。
 異世界人のディアソムニア生なんて、どんな子だろうとは思っていたけれど、意外にも普通の女の子で少しだけ拍子抜けした。

「そんなに畏まらないでくれ。こちらこそ、うちの一年生たちが世話になってるらしいじゃないか」
「えぅ、そんなことないです。二人にはこの世界のこととか、色々教えてもらってて、とっても助かってます」

 えへへ、と笑う彼女を見て、いつだかにケイトが言っていたことを思い出した。なるほど確かに、この子はこの学園らしからぬいい子のようだった。
 そう思って、前に一度この子を見たことを思い出した。リドルの事件があった翌日に、ヴィルと廊下で話をしていた。
 なにがあったかは知らないけれど、嬉しそうにお礼を言っていて、ヴィルもまんざらじゃなさそうな顔をしていた覚えがある。あの時も「素直にお礼が言えるなんて珍しい子だな」なんて思ったりもした。
 なんて、そんなことを思い出してる場合じゃない。五人でくるはずのところを、どうして彼女一人で来ているのかを聞くのが先だろう。

「気遣ってくれてありがとうな。ところで、あいつらはどうしたんだ?」
「えと、ユウくんのお仕事のお手伝い? だそうです。終わったら行くから、先に行っててー、って」
「あいつら……

 だからといって女の子一人で他寮に向かわせることはないだろう。そう思って、もしかしたらとスマホを見てみるも、エースからもデュースからもなんの連絡もきていなかった。
 それならせめて連絡の一つでも寄越してくれれば、俺が迎えに行くくらいはできたのに。お詫びするためのパーティーなのに、気を使わせてどうするんだ。二人に呆れていると、当の本人は反応に困ったというような顔をしていた。

「まぁなんだ、こっちに来て掛けてくれ」
「えぅ、でも、その、お邪魔じゃないですか?」
「準備はもう済んでるんだよ。だから、気にしなくていい」
「そー、なんですか? えと、じゃあ、お邪魔します」

 おずおずと入って来たその子に椅子を引いてやると、そこに座り、落ち着かない様子で辺りを見回していた。

「えへへ……

 そしてこの場がお気に召したらしい。彼女は嬉しそうにはにかんだ。

「そんなに珍しいか?」
「えぅ、すみません……
「あぁ、咎めるつもりはないんだ。気に入ってくれたなら、手入れした甲斐もあるってものだ」

 そう言ってやると、彼女は安心したように息をついて、俺を見上げてきた。まっすぐ向けられた瞳は紫がかった青い色で、どことなくスミレの花を思わせた。

「えと、そのぅ、こんなにバラが咲いてるのって、初めて見たので」
「へぇ、異世界にはないのか?」
「えと、バラはありますけど、こんなおっきなのは見たことないです。それに、こんな立派なお庭も」

 そう言いながら楽しそうに庭を見回した。そんな姿を見せられると、それなら万全の状態で迎えたかった、とわずかに思う。
 植物学にも通じているヴィルやルークの知識を借りながら、毎日手入れをしているにも関わらず、庭の修復具合は芳しくない。時期が悪かったと言えばそうなのだろうけど。

「ほんと、キレイですねぇ」

 それでも喜んでもらえたのなら、手をかけた甲斐はあったのかもしれない。
 そう思い、楽しそうにバラを見ている横顔を見て思いついた。バラの色に悩むのならばいっそ、この子の好きな色で塗ってしまえばいいのではないか、と。

「ところで、キミは好きな色はあるかな?」
「色ですか?」
「あぁ」

 彼女は少し考えたような顔をすると、ピンクと黄色と答えた。

「その、かわいいので」
「なるほどな」

 女の子っぽいチョイスを微笑ましく思いつつ、色変え魔法で周囲のバラをその二色で交互に塗り替えた。
 幸いなことに、彼女の選んだ色はどちらもバラらしい色だ。いつもと違う色ながら、明るい色味に、場はふんわりと華やいだ。

「え? うえぇ!?」

 大きな目をさらに大きく見開いて、彼女は頓狂な声を上げた。リドルがいたら、マナー違反だと騒ぎそうな大声だ。

「キミのための席なんだ、好きな色の方が楽しめるだろう?」
「え? え? あの、なにしたんですか?」
「ただの色変え魔法だよ。キミもそのうち習うんじゃないか?」
「はぁ、そー、なんですね?」

 そうは言ってみるも、彼女の様子を見るに、あまり分かっていないようだった。彼女のいたという異世界にはこういう魔法はないのかもしれない。
 それから驚く彼女を宥めて、うちの一年生とオンボロ寮の二人が来るまで、クッキーとハーブティーを出して待ってもらうことになった。
 来た時はかわいそうなくらい緊張している様子だった彼女ではあるが、うちの寮生たちやリリアの話をしているうち、それも解けてきたようだ。
 邪気のない様子で話をする彼女はどこにでもいるような、本当にごく普通の女の子のように見えた。
 何も知らないで見れば、彼女が異世界から来た人間で、この学園でも特に優秀な生徒が集うディアソムニア寮の生徒だなんて思わなかったかもしれない。それだけ彼女の纏っている空気は普通で、穏やかなものだった。ケイトが「イイ子」なんて言っていたのも頷ける。

 そうして話をして、お茶のおかわりを淹れようかというタイミングで、残りの四人が俺たちの元へ駆けこんできた。

「遅れてすみません!」
「計算機を使っても計算が合わないデュースのせいで遅れましたー」
「なっ!? グリムがサボったからだろ!」
「子分がツナ缶を隠すからなんだゾ! エースだってサボってたじゃねーか!」
「すみません、招待してもらったのに」

 先までののんびりした空気は一転、騒がしくも賑やかなものに変わった。

「お前たち……
「あはは。お疲れ様」

 待たされたにもかかわらず、彼女はのほほんと笑い、彼らを労った。そんな気はしていたけれど、彼女はディアソムニア生の中でも、リリアやシルバーのような温厚なタイプらしい。
 そうして、詫びるべき相手を散々待たせて、ようやくお茶会が始まった。
 幸いなことに用意した料理はどれも喜んでもらえたようだった。彼女のいた異世界では牛乳は高価な品らしく、クリームたっぷりのケーキとタルトは大げさなまでに喜んでもらえた。
 他の料理も喜んでもらえて、作った甲斐があったというものだ。
 ただ、心残りがあるとすれば、腹を空かせた四人と彼女は想像以上に食べてくれて、どことなく物足りないような空気になったことだ。昼食は摂ってくるだろうからと控え目にしたのが悔やまれる。
 そしてエースの言っていた通り、彼女はエースの軽口のことはこれっぽっちも気にしていなかったらしい。
 庭のバラも料理も楽しんでもらえたまま、今度のお茶会もつつがなく幕を閉じた。

「今日はごちそうさまでした。どれもとってもおいしかったです!」

 最後に笑顔でそう言い残して、彼女はディアソムニア寮へ帰っていった。
 なんの問題も起きなくてよかったと思いつつ、一年生二人に手伝ってもらい後片付けを済ませた。