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いまち
2022-09-22 21:23:57
2415文字
Public
のえぴよ
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後輩(たち)とキャンプをするっておはなし
「マレウスさん、ノエルさん、よろしくお願いします!」
運動着姿で笑顔を見せるティナちゃんを私と会長で迎え入れた。
なんの間違いか文化部で行われることになったバルガス・キャンプ。会長と私の二人しかいないガーゴイル研究会は人数が少ないからということで、サイエンス部からティナちゃんをお迎えすることになった。
本当はもう1~2人入れたいところだったけれど、クローバー先輩と副寮長はサイエンス部員たちが「二人がいないと困る」と泣きつき、なら他の人を、となれば会長を怖がる部員ばかりで話にならず、結果会長がティナちゃんを指名して連れてきたという運びになったのだ。
……
だからかな、サイエンス部からの視線が非常に痛い。けれど、当の会長はその視線に気付いてかいないでか、私たちを見て穏やかな笑顔を浮かべている。
「ブランシェールもキースリンクといる方がいいだろう?」
「まぁ、そうですね」
本音を言えばアズールくんも
……
とは思ったけれど、ボードゲーム部は人手はあれど、他の部活と比べてその人手は頼りない。ワガママを言ってボードゲーム部員が全員転部となってしまえば、部活動を楽しむアズールくんを悲しませてしまうことになってしまう。そんな悲しいことは私の望むところではない。悲しいけれど、本当に悲しいけれど私は額に汗してアウトドアに勤しむアズールくんを遠くから眺めていることにした。
……
それにしても、深海に住む人魚が山奥でキャンプをするなんて、実にエモーショナル。バルガス先生もたまにはいいことを提案してくれるじゃないか。
そんな、アズールくんの麗しい姿を眺めているうちに説明と課題が発表された。まずはテントの設営らしい。
「寝床などその辺の岩山を掘ればいいだろう?」
「そうですよ、ここならそのまま野宿でも大丈夫じゃないですか?」
なとど言ってのける天然集団ディアソムニア生二人を説得して、テント選びに向かうことになった。
ちなみに、二人がそんなことを言ったのは、会長は非常時のためと野営の手ほどきを受けていて、ティナちゃんは元の世界では材料採取のために野宿をすることがままあったから慣れているということだった。
会長は強いし、会長を害そうなんて不届きものはいないだろうから大丈夫かもしれないけど、ティナちゃんがそこいらで無防備に寝ていたら問題でしかない。なんなら、1人用のテントで寝かせるのも不安なくらいだ。
……
いっそ2人用のテントを借りて、会長と休んでもらった方が安全なのかもしれない。でもそれだと(二人にその気がないとはいえ)スキャンダルになるからダメかな? 本当は私と一緒のテントにすればいいのだろうけど、なんせ私は男装して通っている身、また不純異性交遊などと噂されてはたまらない。
そんなことを考えていたら、会長がネイビーの包みを一つ、私に見せてきた。
「ブランシェールのテントはこれでいいな?」
「あ、はい」
「それじゃあ、テントを張る場所を決めましょっか」
場所を選ぶ二人の後をついて歩いた。うんうん考え事をしていたせいで、二人にテントを運ばせていたのに気付いたのは設営を始めてからだった。トホホ
……
。
「ここなら地面も堅くないですし、ちょっと上手にあるので川が氾濫しても避難する余裕はあると思います」
「ふむ、ならここでいいな」
あっという間に設営場所も決めて、二人はさっそくテントの設営を始めた。私もやろうと思ったけれど、悲しいかな私では二人の腕力に敵わず、まるで役に立てなかった。おかしいな、こんなはずでは
……
。
二人の手によってあれよという間にテントが三張出来上がった。緑色の少し大きめの、ベージュの小さ目の、ネイビーの大きいの。あれ、会長が私に選んだテントってこの一番大きいやつだよね? なんで会長のより大きいの? 不思議に思って眺めていると、ティナちゃんが横から覗き込んできた。
「ノエルさんのは2人用のちょっと大きいやつなんです」
「え? でも大きいのこそ会長が使うべきじゃないの?」
「いいんですよ。その代わり、お話合いをする時はノエルさんのテントを使わせてもらいますね」
「それはまぁ、いいけど
……
でも」
本当にいいのかな? 会長のであろう緑のテントは大きさは十分だろうけど、会長には狭いような気がする。魔法も使えないし、大丈夫なのかな? そう思いながら会長のテントを眺めていると、ティナちゃんは私の考えていることに気付いてか「大丈夫ですよ」とほほ笑んだ。
「マレウスさんもちゃんと大きさを見て選んでましたし」
「それに」とティナちゃんは小声で付け足した。
「私のテントは用意しましたけど、夜はノエルさんと一緒に寝るように言われてるので、大きいのじゃないと狭いんです」
「ええっ!?」
聞いてないんだけど! いや、でもその方が安全ではあるよね、お互いに。そっかぁ、ティナちゃんと一緒に寝るのか。なんだかお泊り会みたいでちょっとワクワクしてきたぞ。思わず頬が緩んでいると、ティナちゃんも嬉しそうににっこり笑った。
「リリアさんにそうしなさいって言われてたんです。もちろん、ノエルさんがイヤならいいですけど」
「いや! イヤではないから。えぇとそれじゃあ、よろしくね」
「はい!」
思わぬ嬉しい話にちょっとばかり心が弾む。そっか、夜はティナちゃんと一緒か。これは楽しくなりそうだ。
でも、こうなったことは隠しておかないといけないよね。もしバレたら今度はどんな噂を立てられるか分からないし。うんうん、気を付けよう。
……
お泊り会かぁ。
「話は済んだか」
「はい!」
ヴァンルージュ先輩の提案ってことは会長も知ってるよね? 念のため、こっそり確認すると会長は「僕もその場にいたから知っている」と少しばかりむつけたような目をした。
……
これは、ちょっと拗ねてるんだろうなぁ。
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