satoru_and_shun
2018-02-05 01:51:21
986文字
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星降る夜の約束


この日、深夜0時に、見晴の郷のいつもの場所で。
どこからか流星群の知らせを耳にした瞬が、珍しく興奮気味で誘ってきたので、二つ返事で約束を交わしたのがちょうど一週間前のことだった。
どうやら今回の流星群は何年かに一度の、大量に流れ星が見ることができる絶好の機会らしい。
勿論星を見るのは好きだが、僕は流れ星より綺麗に煌めいている瞬の瞳を見ている方がよっぽど楽しかった。けれど、こんなに浮かれた瞬もなかなか見られるものじゃないので、今日の日を密かな楽しみとしていた。
両親が寝床に入ったのを確認した後、予め用意しておいた夜食とありったけの毛布を鞄に詰め込んで、部屋の窓からこっそり抜け出した。大分厚着をしてきたつもりだが、今夜は一段と冷えるらしく、身を切るような寒さに歯を食いしばった。
寒さのせいなのだろうか、自然と足取りは早くなり、約束の時間よりも随分と早く着いてしまった。早く来たからといって早く会えるわけではないのに、心が逸ってしまって仕方がない。好きな人を待つ間の時間は、とても長く感じられる。けれど、その時間が僕は嫌いじゃなかった。その人のことだけで、頭がいっぱいになるのだから。それはとても、幸せなことだ。
肌を刺すような空風に手に持った松明の炎は揺れ、火の粉が粉雪のように空を舞った。
火の粉の行方を辿って夜空を見上げると、木々の隙間からたくさんの震える星が見えた。
早く瞬の顔が見たい。一体どんな顔をしてくるのだろう。瞬が来たら手を温めてもらおうと、あえて手袋はしてこなかった。僕の手に触れたらその冷たさに驚くだろうか。瞬はちゃんと着込んできているのだろうか。寒さで鼻は赤く染まっているに違いない。顔を合わせたら最初に何と声をかけようか。早くこの綺麗な夜空を寄り添って見上げたい。流れ星がたくさん見られたらどんなに喜ぶことだろう。星を見ながら、何を話そうか。いや、こんな夜には会話なんてない方がいいのかもしれない。
そんなことを頭の中で巡らせていると、浮き立った空気に満たされて苦しくなる。冷静になろうと深々と冷えた空気を吸い込み、大きく息を吐き出した。僕の思いは音もなく白い煙となって濃紺の闇へと溶けていった。あと何回この息を吐けば、瞬は現れるだろうか。静かに目を瞑ると、冬の独特の夜の匂いと音がする。
ああ、君を待つこの時間が、ただただ愛おしい。