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頻子
2023-12-06 00:13:21
2242文字
Public
その他こまごました二次
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続・十二人の橋(DR)
ドラゴンラージャ二次
原作未登場キャラ視点、アフナイデル+ジェレイント+エクセルハンド
「ちぇっ、オークじゃないのか!」
俺を見た男の第一声がそれだった。そんなふうにがっかりされたのは初めてだ。俺の犬も、とくにオークではなかったので、申し訳なさそうに耳を伏せるだけだった。
「あ、すみません、あなたがオークでなくてよかったと思います」
隣にいた魔術師らしい男が慌てて陳謝する。俺は喋っている口が反対ではないかと、男たち二人の顔を代わる代わるに見た。片方は魔術師、片方は神官のように見えるが、片方は神官、片方は魔術師のように聞こえる。
「オーガでもよかったんだがな」
と、こんどはだいぶ下の方からの声。おお、荷物に隠れてもう一人いた。ドワーフだ。
俺はこんなところで、あんたらは何をやっているのかと尋ねた。
「ああ、人が揃うのを待ってるんだ」
誰かとここで待ち合わせでもしているのか、と思ったのだが、どうやらそうではないらしい。魔術師が微笑みを浮かべながら、ゆるゆると首を振った。
「我々は<十二人の橋>を渡りたいのです。ええ、ヒュダイン橋ではなく」
<十二人の橋>?
どうして、わざわざ?
<十二人の橋>。魔術師ハンドレイクが作ったという魔法のかけ橋は、およそ橋とは呼べない代物である。四角形のいかだをただスカスカの柵が囲んでいるだけのものだ。この橋は、十二人が揃うと、すうと動き出し、向こう岸に向かうのだという。
かつては、ヒュダイン峠にはこの橋しかなかったらしい。しかし、今は違う。新しく作られた立派な橋があって、そちらは行商人でにぎわっている。
「だって、何もないのに動くんだろう?」
テペリの神官が熱っぽく言った。
「私は絶対に見たい! 見ておきたいんだ!」
俺がちょっと驚いたのは、隣にいた魔術師も当然とばかりにかすかに頷いたことだ。
「フム。そう面白いもんでもないぞ」
と、ドワーフ。
「そりゃあ、一度渡ったエクセルハンド様にはつまらないものかもしれませんが
……
」
「あの時はエルフとオークがいてな」
「よし!」
神官が手を叩く。
「人間三人。ドワーフ一人。痩せっぽっちの犬、俺たちの馬が二だから七人、あと五人だ」
あれ? 待ってほしい。俺もその中に入っているのか。
どうしよう、と俺が犬を見ると、犬は困った顔で見返してきた。
俺は三人(ジェレイント、アフナイデル、エクセルハンド)が自己紹介をする間、ずっと自分の名前と犬の名前を考えていた。俺は犬泥棒で、素直に名乗るわけにはいかなかった。ひどい農園主のところでこき使われていて、ある日、耐えかねて着の身着のまま飛び出してきたのだが、おまけに犬がついてきた。
いや、いままでの給料の分、金目のものでも持ち出そうと台所に忍び込んだのだが、このアホ犬がちょうど隣の牛を噛み殺したのだ。薪を振り上げたおかみさんに、ぶん殴られているのを見て、俺はとっさに「来い」と言ってしまった。なぜだかとことこついてきて、俺の持ち物は犬だけになった
……
。
「この犬はフチというのか? フチと?」
とっさに浮かんだのは不敬ながら、英雄の名前だった。俺の名前のつもりだったのだが、犬の名前ととられてしまった。それがえらくウケたらしく、三人は腹を抱えて笑い出した。
この犬はずっと元気だったが、朝から無気力で、ぐったり動かない。いや、やはり先を急ぐほうがいいのでは
……
、と思ったが、テペリの杖が犬を拾い上げて撫で始めると、犬は耳をぱたぱたやっていて、機を逃した。
「馬も橋の人数に含まれるんだな」
「うむ」
「じゃあ、ノミはどうなんだろう?」
魔術師はなんだって問答の材料を見つけるらしく、考え出した。
「含まれないんじゃないか。わはは」
「死人は?」
「含まれないだろう」
ジェレイントはちらりと魔術師の持ち物を見た。まったく、何を持っているのだろうと俺は考える。
「吸血鬼は? アンデットは?」
「どうでしょうか。ハンドレイク様はどこで線引きをしたんでしょう」
テペリの権能も捨てたもんじゃないのか、そうこうしていると、モノ好きのホビットたちがやってきた。
「四人!」
ジェレイントが叫んだ。その瞬間、ぐぐ、と橋は動きだす。
「うわあ!」
「計算もできなくなったのか!? あほ神官め!」
「いえ、合ってます、あと一人いるはずです。あ! まさか、誰か身ごもっているんじゃ
……
」
論理的な魔術師は即座に論理的な結論に達した。問題は、生物学上、ここに女性はいないということだ。
「おい、わしじゃないぞ!」
「その犬は?」
「フチだろう? おい、フチ!」
またしても三人はゲラゲラ(一名は控えめに)笑った。
「待て、本当に、腹の中に何かいるんじゃないか」
俺は黙って、フチを見る。
「フチ、おまえ、何を食べたんだ!?」
神官がさかさまに犬を揺さぶる。げえ、という音とともに小さなカエルが出てきた。毒々しい模様をしている。
「あっ! ポイズン・フロッグを食べたんだな!」
いつの間に! どうりで具合が悪そうにしているわけだ。
「わぉ!」�
「〈ホールド・モンスター〉!
……
あ!」
ジェレイントがとっさに叫んだ。本当に咄嗟という感じだった。はっとしたようにアフナイデルが動き、カエルを捕まえた。
飛び出したカエルが投身自殺をする前に
……
。
「おお、テペリ! ああ、カエル君がお腹の中で死んでなくてよかったな。そうしたら
……
」
十一人は、ここで永遠に立ち往生したかもしれない。
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