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頻子
2023-06-28 01:42:00
3682文字
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KODR二次
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名誉寝かしつけかかり(KODR)
ベーケス2世×ニュート(恋人)
甘ったれニュート
*ニュートがフランコールにこっそり膝枕をねだっている節があるけど付き合ってないけどねだってるってことにしてください
フランコールは裏切れない
新魔界での遠征のさなかでのことだ。
ベーケス2世は野営地で適当につかんだ寝袋を引きずっていた。次の呼び出しまで、適当にその辺に転がっておくつもりだった。次期吸血鬼の長の立場に似つかわしくない待遇だが、とりあえず用を満たせればいい。
……
それに、どう取り繕っても結局は棺桶の中で、せいぜい、見苦しくないということくらいしか嬉しくない。
ベーケス2世にとっては、どこで見る夢も変わらないのである。
(何だ。うるさいな
……
)
数えて羊13匹ぶんくらいのころで、言い争っているような声がした。どうやら、スケルナイトとウルハムだ。何やら揉めているのだった。
きわめてどうでもよかったので、ベーケス2世は引き続き寝袋にもぐりこんでいた。が、ニュートの名前が耳に飛び込んできたので、寝返りをうち、慎重に聞き耳を立てることにした。
「とにかく。ニュート様に何かあっては困るからね。ウルハム。きみは通せないよ」
「いや、僕そんな
……
そういうつもりじゃないんですけど
……
」
(なんだ、なにか持ってるな
……
)
「別にニュート様にトクベツお呼ばれしてるってわけではないんだろう? 落し物は俺が預かっておくから。フランコールにでも渡しておくよ。それか明日、朝、自分で渡したらいいだろう? 今すぐ寝所に入らなくてもいいじゃないか」
「ええと。そりゃあ、呼ばれてないですけど。でも、いてもいいって言いますよ、たぶん
……
。だって前も、別に嫌がってなかったし」
(ああ?)
ベーケス2世は思わず身体を起こした。
次期魔界王ニュートは、ベーケス2世の恋人なのだ。少なくともはっきりと好意を告げられた。だから今や自称(!)婚約者ではないし、聞く義務がある。
「それは、君がお昼寝してたニュート様の傍に勝手に寝っ転がってただけだろう?」
「うーん、まあ、でも、一緒に。いや、
……
はい」
「まあ、気にしないニュート様もたいがいだけどね。次期魔界王が裏庭のベンチでお昼寝だなんて、無防備が過ぎる」
(なんだ、ベンチで寝てただけか
……
)
察するに、そこにウルハムがやってきて、勝手に足元に丸まってでもいたのだろう。それは注意してやらねばだが疑惑が晴れたのでいい。
時間の無駄だ、寝るかと思って身を横たえたが、会話はそこで終わらなかった。
「だいたい、この前はきみの部屋からニュート様が大慌てで飛び出してきたっていうじゃないか。満月の夜に何をしていたんだい?」
(
……
は?)
「
……
ええっとぉ」
「いや、俺は別に何とも思ってはいないけれどね。君と何かあったとも思えないし。でもまあ、あまり目立つと、魔界王の怒りに触れるんじゃないかい?」
他人の口から知らない事実が次々と明かされていくと、静かな怒りが湧き上がってくる。
(ニュートの、ニュートの浮気者
……
っ!)
「あら、そこにいらっしゃったんですね。少々よろしいかしら」
と、ベーケス2世が拳を震わせていると、フランコールがベーケス2世を呼んだのだった。
「どうした?」
「ニュート様が、どうしても一人では心細いから、ベーケス2世にいっしょに来てほしいそうですわ。どうしてもベーケス2世がいいと
……
」
スケルナイトとウルハムが一斉にベーケス2世を見る。
……
勝った。
「ふ、ふははははは! じゃあな、俺はニュートに呼ばれたから、行くぞ」
先程まで怒っていたのも忘れ、ベーケス2世が急激な勝利の余韻に酔いしれかけたときだった。
「
……
まあ、ベーケス2世はいいとして」
スケルナイトはどこ吹く風で、ベーケス2世を見向きもしない。
相変わらずウルハムを牽制しているスケルナイトに、ベーケス2世は眉間をひきつらせることになった。
ウルハムが恨めしそうなような、それでいて顔色をうかがうような微妙な表情でベーケス2世を見ていたことは、ベーケス2世は知らない。
ベーケス2世もベーケス2世で、関心のないものには目もくれず、見向きもしないのが性分だった。
***
「
……
どいつもこいつも俺を寝かしつけ係だと思いやがって
……
」
次期魔界王のものだけあって、ニュートのテントは豪華だった。魔物らしからぬ無種族のためにしっかりと敷物が敷かれ、ランプが辺りを照らしている。ニュートに呼ばれたのは嬉しかったのだが、じわじわと悔しさがこみあげてくる。
誰もかれもベーケス2世を気にとめないのだった。晴れてニュートから愛を伝えられ、正式に恋人になったと大っぴらに喧伝してもそうだった。虚像の自分だったら危険はないと思われているに違いない。
……
実際、そうであって、噛みつくことはおろか指先一本、触れられやしないのだった。
「ああ? なんだって? ちゃんと一緒にいろって? はいはい
……
」
ベーケス2世をどこか軽く見ているのは、ニュートも例外ではない。
こうやって呼びつけるくらいには全く警戒していない。
それはまあ、いいにしても、ニュートは恋人になってから、なるべく近くにいろとか、お布団をぽんぽんしろとかやりたい放題で、歌えとか、オヤスミのキスをしてくれないとちゃんと眠れないとか、要求は尽きない。二人きりだと悪化している気がする。
「だから、魔界に帰ってきたらしてやるって言ってるだろ。
……
帰ってきてから、な!」
ニュートは不貞腐れていやだ、と言ってぎゅっとベーケス2世のマントをつかむ。実際につかんではいないわけだが、つかまれて動けないというていにする。ニュートは恋人なのだから、自分の傍にいるのが当然だ、というような態度である。
それでよかった。ベーケス2世もできればそうしてやりたかった。
ただし、歌わず、適当な話で相槌を打っていると、だんだんとニュートの返事がおぼつかなくなってきて、次第に胸が上下し始める。
「ニュートのうそつき」
オヤスミのキスがないと眠れない、絶対に眠れない、と言い張っていた割にはあっさり寝てしまうのだった。頬をつつく真似だけして深くため息を吐いた。
ニュートの手の平はベーケス2世のマントをつかんだままではあったが、するりと身じろぎするだけで、離れることができてしまうのだった。
「
……
おやすみ、ニュート」
毛布をかけなおしてやって、改めて自分も隣に寝っ転がる。上等な敷物が敷かれているが、それを味わうすべはない。ベーケス2世にとっては、どこで見る夢も変わらない。けれども一人分横によけているスペースが自分のための空きスペースだと思うと、少しは心地よくもなるのだった。
……
これで添い寝と言えるのだろうか。
ニュートの頬に手を滑らせ、感触を思い描いてみた。
飽きっぽいニュートが、ちゃんと一緒に寝てくれないなら別の人でいいや、なんて言い出したらどうしてくれようか。
「はぁ~
……
」
いろんな意味で眠れない夜だ。と言いながらも、ちょっとうとうとしていたりはした。
「
……
え? ちゃんと眠れたか、だって? 俺を寝かしつけてるつもりだったのか? あのなニュート、俺は護衛だから、サボってるわけじゃないんだぞ
……
」
***
「フランコール、ニュートはきみにも甘えてるのか?」
「あら、どういう意味ですか?」
ベーケス2世が束になった花をよこすと、フランコールは丁寧に茎を切って花瓶に入れた。それはニュートの部屋に飾るためのもので、前からもしばしば、恋人になってからは毎日、ベーケス2世は律儀に花を贈っているのだった。
「ほら、一本きみにもやるから」
あきらかな賄賂に、フランコールは閉口した。
「
……
お世話係としては、ニュート様の名誉のためにも、ぺらぺら話すわけにはいきませんわ」
「俺はニュートの
……
」ベーケス2世は言いかけてちょっと迷ったようである。「恋人だぞ。正当な恋人だ」
「そうですわねえ
……
」
「別に、そう難しい話じゃない。オヤスミのキスがないと寝れないとかなんとか、あいつ、言うだろ?」
「まあ、ニュート様ったら。あなたにそんなことおっしゃってますの」
「
……
きみには言ってないのか?」
「そんなことはありませんよ。わたくしにはもう立派な大人だって言って、一生懸命ですから。たまに膝枕をねだって、甘えてくるくらいかしら」
「そうか」
露骨にベーケス2世の機嫌がよくなった。フランコールはいなくなるベーケス2世を見送った
……
かと思えばすぐに戻ってきた。浮かれて一度流したはいいが、膝枕が引っかかったらしい。
「フランコール。よいか。あまりニュートを甘やかさなくていいからな。ニュートももう立派な若者だし、それは俺たち一族のやり方じゃない」
「ニュート様をとられたくないだけではなくって?」
「じゃあな。ニュートによろしく」
図星だったのかよく分からないが、ベーケス2世は繕った笑みを浮かべて引っ込んでいった。
「ニュート、あんまりフランコールに情けない頼みをするんじゃないぞ。俺が帰ってきたら膝枕もしてやるから。え? 何? 俺の膝は固そうだからいいって?
……
」
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