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頻子
2022-12-02 22:20:06
2635文字
Public
KODR二次
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ここにジャンタン農場を建てよう未遂(KODR)
ジャンタン×ニュートほのぼの
ハッピークリスマス!
魔界の城のてっぺんが、ふるわれた粉砂糖のようなような雪で覆われる。
聖夜祭ももうすぐ
……
ということで、人間界は浮足立っていることだろうが、なぜだか魔界もにぎわっていた。あちこちにきらびやかな飾りつけが施されていて、商魂たくましい魔物たちは、めいめいに城下町に夜店を出していた。
魔界が荒廃しているあいだ、魔物たちは、いくつもある人間界に散っていた。あっちこっちから持ち寄った文化の寄せ集めは、それはもうカオスの一言だ。
「もー、これってなんのお祝いなんだか。これだと、なんか悪魔崇拝じゃない? あっ、この飾り、雪だるまじゃなくてもともとパンプキン
……
!」
来る日も来る日も地下工房でパンプキンを彫っていたジャンタンも、いまではすっかりニュートの背を追い越した若者だ。そして、魔界王の伴侶だった。
「つい先月、再建を祝ったばっかなのにさ。魔物のやつらもさ、テキトーだよね、ホント」
とか言いながら、ジャンタンは、傷だらけの手で、ほんの少しだけ名残惜しそうに吊るされたパンプキンを撫でた。もうパンプキンは一生見たくない、と言っていた割にはどことなく優しげだ。
お祝い事は多いほうがいいのではないだろうか。プレゼントをもらう機会はたくさんあるにこしたことはない。
ニュートは次から次へとやってくる少し気の早い贈り物を毎日楽しんでいるのだった。
「
……
。あのね、ニュート。タダより高いものはないんだよ。だいぶ権力に味を占めてるでしょ? いい、ゼータクしすぎたらロクなことにならないんだからね」
心配しなくてもいい。ジャンタンにもちゃんとプレゼントを用意してある。
「そういうことじゃないんだけど
……
」
ちょっと早いけど、と、ニュートは引き出しをあさり始める。
「
……
プレゼント? なにくれるの
……
? 絵?」
ニュートは筒状に丸めていた紙を広げて、見てごらん、とジャンタンに促した。
「何?
……
地図? ええと。
……
何も書いてないけど
……
何?」
ニュートは胸を張って、言った。
ここに『ジャンタン農場』を建てるのだ。
「ぜったいにいやだよ!?」
思っていた反応と違った。
ニュートは眉をひそめて、ジャンタンに尋ねる。
どうして、ジャンタン農場がいけないのか。こんなにかわいらしいお名前の、どこが不満なのか、と。
「いや、だって、わかるでしょ!? なんか
……
農場に僕の名前付いてたら、なんかさあ、僕がいばりちらしてるみたいじゃんか。やめてよ! いくらなんでもさ
……
え、
……
りんご園? 人間界の? 好物がいつでも食べられるように、って? それは、ちょっと、うれしいけど
……
!」
きっとジャンタンのお父さんだって、ジャンタンは歴史上に名を遺す男だと思っていたぞ、とか言って応援してくれるに違いない。それはない、たぶん、と否定したジャンタンも、いや、でも、りんごかあ、と考えていた。
「何年かかるんだろ。ちゃんと育つかな?
……
いや。でも、名前はヤだよ。そこは考え直しておいてよね
……
りんごはよし!」
それなら、ジャックのリンゴ農園とかはどうだろう
……
とか言い出すニュートはおそろしく政治のセンスがないとジャンタンは思った。
「何を考えたら、父さんの名前をつけようなどと思うのさ
……
。いや、でも、魔物ってそのへん気にしないのかな。僕、ニュート様と結婚できたし
……
」
それで、と、ニュートは期待を込めた目でジャンタンを見つめる。ジャンタンはなにをくれるのか。
こちらとしては、たくさん名前を付けてくれてもかまわない。市場にでも学院にでも
……
。
「
……
ないよ。だってどうせニュートはたくさんもらうでしょ! わざわざ僕があげることないよねっ」
といって、ぷいと顔を背ける。
もちろん
……
嘘に決まっている。
ニュートはじーっとジャンタンを見る。
ここのところ、フランコールが上機嫌で、ニコニコニコニコしていたのだ。これでなにもないわけがない。
「なんかあるんでしょ、って? あー、そうですよ。
……
そうだけど! ないわけないじゃん。だって、僕は、アンタの伴侶で
……
豪華な贈り物なんてのはないけど、魔物たちみんなより、いちばんニュートのことが好きだし! はい!」
と、言いながら、ジャンタンはラッピングされた包みをくれた。
なにやら、ふかふかしている。なんだろう?
「先に言っておくけど、宝石とかさ、
……
ほかの魔物たちがくれるようなすごさはないからね。期待しすぎないでね!」
包みを開けてみると、それは、素朴な洋服だった。ドレスみたいな派手さはない、何の変哲もないパジャマだった。
……
けれども、ニュートにとっては懐かしいものだった。なんたってこれは
……
。
「
……
そうですよ! アンタの服ですよ! ニュートったら、急にこっちに来ちゃったから、もとの人間界からもってこれたのこれだけなんでしょ? それで、ずーっとだいじにしてたんでしょ。もっと良いお洋服だってたくさんあるのに、それじゃないと寝れないって言ってさ。
……
もうボロボロで、それでも捨てられなかったんでしょ。フランから聞いたんだよ。しっかたないからさ! 似た布でできるだけ同じのを作ってみたんだ。わっ」
ジャンタン!!
ニュートはジャンタンに抱き着いた。
ほかの贈り物ぜんぶを合わせたよりも価値があるものだ。
「
……
人間界が懐かしい、なんて、魔物には言えないもんね。だから、僕が聞いてあげますっ。着てみてくれる?」
促されて、早速袖を通してみる。
似合うかな
……
とはにかむと、似合うけどそうではなくて
……
とジャンタンは言いにくそうにメジャーをとりだした。サイズをみたかったらしい。おおむねぴったりだけれども、すこし裾が余っている。ジャンタンは器用にまち針をくわえて、あっという間に裾をあげてくれた。
「あー、喜んでくれてよかったー
……
あ、直し終わったんだから、いったん脱いで。着るのは夜だよ夜! それでうろうろしちゃダメ、だからね!」
着替えなおすと、ちょうどるんるんとやってきたフランコールが、「それじゃあ一緒にしまっておきますわね!」と元気よく請け負った。
……
一緒?
「
……
お揃いじゃないから! 練習に作ったら似たようなのになっただけだから!」
ジャンタン!! と、大きな声をあげて、再びニュートはジャンタンに飛びついた。これだからニュートはジャンタンが大好きなのだ。
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