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頻子
2022-10-12 12:50:47
2444文字
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KODR二次
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完っ全に勝利!(KODR)
ベケニュラブコメ(ちょっとだけビター)
ベーケス2世は説得のほうが得意ではあるが、召還を任せるとじぶんが帰ってこれないのに魔物を魔界に呼び寄せられてお得、さらに民度が低いと魔物が帰るところも見れてダブルでお得であるから召喚させることはアド(今日のツイート)
勝利した。完っ全に勝利した。
魔界王族の婚約指輪は、しっかりと手のうちにある。
無事に、目的を果たすことができた。
次期吸血鬼の長、ベーケス2世が、ニュートの幼き頃からの婚約者を主張していたのは魔界では周知の事実である。
次期魔界王ニュートはベーケス2世を伴侶に選び、吸血鬼になってもいいとうなずいた。疑り深い吸血鬼は、今だって勝利を疑いそうになるが、そのたびに手のひらを固く握りしめる。指輪がある。大丈夫だ。
この結末のために、次期吸血鬼の長はありとあらゆる努力を惜しまなかった。幼いころから甲斐甲斐しく世話をしてきた。15年、いやもっと長いあいだ
……
魔界王族に尽くしてきた。笑顔を絶やさず、愛想よくふるまい、必要があれば愛も囁いてみせた。
吸血鬼一族の当主である父に報告すると、それはそれは喜んでもらえたものである。首の皮一枚つながったなと薄ら笑いを浮かべるベーケス1世のすがたを思うと無意識に指輪を確かめていた。これからはこの指輪こそが、自分が誰であるかおしえてくれる。だれももう代わりはいない。代わりにはなれない。
(ニュート、待っていろ、今いくからな!)
魔物の召喚の任にあたるたび、自分はどうしてこちらに来れないのだろうと唇を噛んだ。どころか身勝手に人間界に帰宅する魔物たちを見ているとくびり殺してやりたくもなった。
そんな日々とも、もうオサラバだ。
ベーケス2世は扉をくぐる。15年ぶりの魔界の空気。戻ってきたら、いちばん最初にニュートを抱きしめると決めていた。
「2世ーーーーっ、魔界に戻ってきたんですねーーーー!」
城に戻ってすぐ、草むらから犬が飛び出してきた。
「うわっ!」
なんとか念力で空を飛び、ウルハムの突進を回避した。
「なんでよけるんですか?」
「なんでってお前
……
」
結構な勢いだった。誰でも避けるのではないだろうか。
「久しぶりに2世の匂いがしたから、もしかしたら戻ってきてるんじゃないかと思ったんです!」
「こいつ
……
」
幼なじみのウルハムだ。
おそろしいことに、飛び出してくる直前まで気配がまるでなかった。危なかった。うっかり魔界に帰ってきてからイチバン最初に触れたのがコイツになるところだった。
「久しぶりの再会じゃないですか。ほら、あの、ほらー! あるでしょ、いろいろ
……
」
「
……
」
「とりあえず、降りてきてください。さすがに僕、空飛ばれたらー
……
届きませんよ、その高さだったら」
「
……
ニュートがいい」
「え?」
「俺はまだニュートに指一本触れられてないんだぞ! イチバンにニュートに触れたいんだよ、俺は!」
「ああ、そう。そうですよね。うん。まだなんですね
……
」
心を通わせた恋人同士だというのに、ニュートとはまだ、何もできていないのだ。魔界にいるあいだ、ベーケス2世はずっとニュートに会いたかった。どんな体温だろうかと。さらさらと風にそよぐ髪の毛を見てどんな感触だろうとずっと考えていた。
ウルハムは急に黙った。こいつが小さくておとなしそうならたぶん誰でもに目がないのは知っているが、そして、ニュートによくなついていたのも知っているが、これからは魔界王に対しての礼儀を考え直させるべきだろう。まあ、ウルハムのしょぼくれた顔を見ていると、自分の勝利を思い出してちょっとだけ気分がよかった。
「わかったらとっとと消えろ。あとにしろ」
「
……
」
ベーケス2世が、ニュートを探そうと思って背を向けたときである。なんと、この犬は、引くと見せかけて地面を蹴り、ぐいんと飛びついてきた。
「あっこの!」
「逃げるから反射的につい
……
」
フェイントまでかけてくるとは。そして、足首をつかまれてしまった。とっさに空に逃れようとして一緒につり下がるかたちになる。久々の重力だった。
「なんでそうなる!?」
「なんでって
……
だってほら、久しぶりですし! それにほら」
「落ちろ!」
「ぐえっ」
ベーケス2世が指先を地面に向けると、ウルハムは地面にたたきつけられた。けれども一難去ってまた一難。にぎやかに駆け寄ってくる気配があるのだった。
「ベーケスーーーーっ! ベーーーーケスーー!」
ゾービナスか。あの背の高さではここまでは届くまい。
「あとでな」
とベーケス2世が挨拶をして、今度こそ、その場を立ち去ろうとしたときである。
「犬、おすわり!」
ウルハムを踏み台に、ゾービナスは見事な跳躍を見せた。
***
「
……
っ」
「そ、そんなに怒ることないじゃないですか」
ゾービナスに飛びつかれ、地面に引きずり下ろされ昔なじみ二人にもみくちゃにされたベーケス2世は、イチバンにニュートに会えなかったことにすっかり意気消沈していた。
「ニュートに嫌われる
……
ニュートに嫌われる」
「ニュートちゃまはこんなことで怒ったりしませんわー!」
「俺とニュートは互いに純潔を誓い合った仲なんだ。ずっと、お互いだけしか触れ合わないようにしてた。お前らに推し量れるものじゃないだろう」
「でも、2世、言いにくいんですけど、ほらあれ
……
」
「やめてってば、もうー!」
ニュートが、ジャンタンをもみくちゃにしていたのだった。帽子を奪って、ぐいぐいとジャンタンの頭を後ろから抱きしめている。それから湖に向かって身を乗り出してマーメルンに触ろうとして尾でひっぱたかれている。
「暑苦しい! 泣くな! 寄るな!」
「僕たちが天界に行くからって、おおげさなんだから
……
もう! いつもの3倍くらいしつこい!」
「いつも
……
!?」
「あ、ほら、来たよ、ほら、保護者の人」
「
……
」
振り返ったニュートはぱあっと表情を明るくして、ベーケス2世の名前を呼んだ。うれしかったのと安堵したので、急に怒りがわいてきた。
「ニュートの、ニュートの裏切者ーーーー!」
ベーケス2世はしばらく機嫌を直してくれず、ごめんねのハグが生まれたのだった。
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