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頻子
2022-03-12 13:15:28
2595文字
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KODR二次
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デビイとケンカするニュート(KODR)
デビイとケンカするニュート。
結婚後。仲良しです。
「ふうん、じゃあもう、ぼく、ニュートなんて知らないよ。ニュートがひとりでなんでもできるっていうならさ
……
。ぼくの手助けがなくてもいいんだって、いうならさ!」
じぶんだってデビイなんかに頼らない。
ニュートはきっぱり、デビイに向かって言い放った。
ちょっとばかり、じぶんよりかけっこが早くて勉強ができてかっこよくて優しくて頼りになって、それとそれとそれと
……
。
とにかく、そんなふうに良いところがいっぱいあるからといって、調子に乗らないで欲しい。
ニュートが涙をこらえてうつむいていると、デビイは、どうしようかなあ、と考える素振りをしていた。それから、ぴょん、と並んだ王座から下りて、笑った。
「
……
ぼく。ちょっと散歩して頭を冷やしてくるね、ニュート!」
デビイなんて知らない。
去って行くデビイからつんと顔を背けると、真っ青な顔をした使用人が「ニュート様
……
!」と駆け寄ってきた。
魔界王と冥界王の結婚が、いよいよ破局したらしい。
このスキャンダルは、勢いよく国中を駆け巡っていた。
冥界というのは死者たちのよりどころであるから、魔界よりもずっとずっとずっとずっと大きい。今生きている生き物よりも、今までに死んだ生き物の方が多いのだから。
その気になれば、魔界なんて消し飛びそうなものである。
すなわち、ニュートがデビイの方にすがりついてしかるべきのはずなのだ。
そのことを、多くの者たちは「魔界を乗っ取るための布石なんじゃ
……
」と、噂していたわけである。ところが、なぜだか普段、デビイはニュートを立てている。
うまいことなんとか、冥界を取り込めないか、という思惑も働いている。
そこへのこのスキャンダルであったから、魔界に住む者たちは誰もが慌てているし、ひたすらに身の振り方を考えているというわけだ。
一報によって謁見を求めた一族の長たちは、遠回しではあるが口々に「ここは、ニュート様が頭を下げては」というもので、あるいは「コレを持って行って仲直りしろ」と言わんばかりの貢ぎ物を持ってきていて、その中には魔女の惚れ薬まであった。それを見たニュートはますますふくれっ面になり、「ぜっーったいに仲直りしない
……
」と思っていた。
少なくとも、デビイの方から折れるうちは。ぜったい。
……
だってあんなに、女の人にニコニコする必要はない、とニュートは思うのだ。冥界からやってきた死者から、デビイは荷物を受け取っていた。そのうえ、書類を渡すときに、手を「ぎゅっ」としなくても良くない?
目の前で。
ほんとはそう言いたかったのだけれども、上手く言えず、「デビイの助けがなくても大丈夫だから」とか言ってしまったのだった。
ねぇ、デビイ、と話しかけようとして、隣にデビイがいないことに気がついた。
並び立った空っぽの王座。ひとつはデビイのものだけれども、今はいない。どこにいっちゃったんだろう。ほんとうにじぶんのことなんて見捨てて、とっとと冥界に帰ってしまったんだろうか
……
。ちょっとまた涙が出てきた。
……
冥界ってどうやって行くのかな
……
。
じっ、と贈り物の山を眺めていると、フランコールが紅茶を持ってきてくれた。
「そんなことはないですわ、ニュート様」
それから、一人では多い分の焼き菓子の包み。
「デビイ様は、ニュート様のことがとてもお好きですよ。だって、いつも、ニュート様を見ていらっしゃいますもの。うふふ」
優しい優しいフランコールは、ニュートに向かってそう言ってくれった。
そうかな、と、ニュートはちょっと元気づいた。
「大丈夫ですよ、ニュート様」
たぶん、フランコールは冥界がどうとか、王がどうとか、これからの国の関係がどうだとか
……
そういうことをぜんぜん考えずに、ニュートのことを想って言ってくれているのだろう。
だから、フランコールに言われたときにはじめて思った。
「仲直りしたいな」と。
「これから、少々休憩にいたしましょうか。ね、ニュート様」
フランコールは焼き菓子をバスケットに収めて、持たせてくれた。
ありがとう、と、ニュートは答えて、ぱっと駆けていった。
ニュートの足は、自然と裏庭に向いていた。
魔界の再建が終わっても、ここの静けさは変わっていない。なぜか、ここにはあまり魔物が近寄らないのだ。
……
魔法薬庫が近いから? わからない。けれどもここのちょうどよい昏さは、なんだか、人間界にいたころ、一緒に歩いた帰り道を思い起こさせた。
もうすっかりと前のことのような、けれども目を閉じれば思い出せるほどに近いような光景。泣きたくなるほどあたたかくて、むかしからずっと変わらない光景。
親友は、ニュートの足音を聞くと小さく手を振って、「ニュート!」と、呼びかけてくれたのだった。
てっきり、いつものベンチにいるかと思ったけれど
……
デビイの姿はなかった。ニュートはかなりがっかりして、ベンチにひとりぶん、空きを開けて座った。
目を閉じる。
「ニュート!」
ぱっと顔を上げると、デビイがいた。
「ごめんよ、ニュート! ニュートのきもち、ぼく、ぜんぜんわかってなかったね
……
ぼく、こんなことするの、ニュートにだけだよ」
デビイはそれからニュートの手を取って、ぎゅうっと握ってくれる。トクベツだと示すようにちょっと強く。
ケンカしたときに、折れるのはいっつもデビイの方だな、とニュートは思った。
こっちこそ、ごめんね。
「ううん、いいんだよ。ニュートの気持ちは分かっているから
……
もう、他の人の手なんて、握ったりしないから
……
」
約束して、と言って、ニュートが目をつむると、デビイは笑って、静かにキスをしてくれた。
やっぱりこうでなくちゃな、というほわほわした安心があった。となりにデビイがいてくれないと、ニュートは困るのだ。
「そうだ。あのね。ニュート。聞いてくれる? ぼくたちがケンカしたのを聞いてね、取りなそうとする勢力と、取り入ってこようとする勢力に分かれたんだ
……
」
デビイはニコッと笑って、ノート広げて説明を始める。
「ほら、このへんとこのへんとが、ぼくたちのことを良く思ってないみたいだね!」
と。
やっぱり、デビイにはかなわないなあ
……
なんてニュートは思うんだった。
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