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頻子
2022-03-06 20:53:01
2502文字
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KODR二次
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みなさんにお話しがあります(KODR)
ジャンタンいじめないでください
びみょう~にベーケス2世→ニュート
魔界の暗闇にそびえる、城の中
……
。
「お呼びして参りましたわ、ニュート様」
傍でかしこまるフランコールに、ニュートは頷いた。
姿の見えぬ現魔界王は、今は不在のようである。
いち早くやってきたベーケス2世は、完璧な姿勢で一礼をした。
ニュートは、王座のとなり、小さな椅子に座っている。ゾービナスがやってきて、スカートを持ち上げて一礼した。
……
まだ、話とやらは始まる気配はない。
(
……
全員が呼ばれるのか
……
)
現魔界王に最も信頼される家臣たちが、ずらり、王座の前に並んでいる。
護衛気取りのスケルナイトが、ニュートの傍ら、茫洋と立っている。熱っぽい視線で、ウィンチがそれを見つめている。そこへ、ウルハムが小走りでやってきた。
コレで全員か、と思われた頃。
……
さいごに、きい、と、扉が開いた。
「やあ、何、ニュート?」
あくまでもいつも通りといった風の
……
ニュートの幼なじみが入ってきた。不敬者が。首根っこを掴んで床に押さえつけてやりたかったが、ニュートはそれを望まない。それに、そう思ったときに、なぜだか後ろ髪を撫でられるような恐ろしさを感じた。
「おそろいのようですね。次期魔界王であるニュート様から、みなさまにお話しがございます」
あの裏切り者の人間の息子はいなくて当然だろう。また、マーメルンもいない。
次期魔界王の言葉とはどのようなものか
……
全員が固唾をのんで見守っている。
ジャンタンを泣かせないで下さい。
???
フランコールが口を開いた。
「わたくしからお伝えいたします。ジャンタンにつらく当たっている家臣がいるようだと、ニュート様は心を痛めておりますわ」
ベーケス2世は内心何を言っているか分からず硬直した。
他の家臣たちもそうだろう。たぶん。
……
何を
……
。
ジャンタンの父は、魔界をメチャクチャにした原因を作った裏切り者だ。だが、ニュートは長いこと人間界で育ってきた。
「ああ~、なるほどね! 気にしてたんだ。ニュート。ジャンタンを泣かせたのは誰、って?」
デビイがうんうんと頷いた。
「あはは、なんだかガッキュウサイバンみたいだねぇ。ニュート。それで、裁かれるのは誰なのかな?」
ガッキュウサイバンってなんだ。
同族だと思い込んでいたモノに、同情を寄せるのも仕方のないことか。
思った以上に、状況は悪いのではないか?
おそらくは親しいような、同族を泣かせること。
……
それは、人間にとってどのくらいの価値を持つ?
この場にいる誰が正確に測れるだろうか。
デビイ、何か知ってる? と、ニュートがデビイの方を向いた。デビイはううん、と、思い出すような仕草をする。
気分一つで、喉元に刃を突きつけられるような感触。ギロチンの刃の上を歩くような感覚が血液を凍らせる。
ベーケス2世は、ジャンタンに厳しく当たっている自覚がある。この人間とも分からぬ存在が、ニュートに何を吹き込むか
……
。場合によっては、気まぐれで命を落としかねない。
けれども、デビイは、単に、
「ううん、知らないなあ
……
」
と言った。
「なあんだ。そういう話だったのね。私はいじめてなんかない
……
そうでしょう、ニュート?」
ウィンチが微笑んだ。
「摂取カロリーを考えて欲しい、との仰せです。食べきれないと」
「
……
」
あとね、と、ニュートのかすかな声が響いた。
できたらじぶんもおねえさんの手料理を食べたい。
ものすごい空気になった、と思う。
「
……
機会があったらね?」
ウィンチはそれだけ絞り出すように言った。
ふん、と鼻で笑ったおかげで、糾弾の矛先は次にこちらを向いた。ウィンチが巧みに視線でベーケス2世とゾービナスを刺し、話をこちらにぶつけたからだ。
「お言葉ですが、ニュートちゃま?」
ペンダントに照らされるようにして、ゾービナスはうっすらとした笑みを浮かべた。
「あれもわたしたちの仲間と扱うことはございませんわ。そうではなくて? だって、あれは魔界の裏切りものなんですのよ。わたしたちを暗闇に閉じ込めたのは、あの子の父親が原因ではありませんか?」
とうとうと言葉を並べ立てるゾービナスは、長から指示を受けているのだろうか。
でも、可哀想だし
……
。
ゾービナスの瞳が揺れる。ベーケス2世も同じ気持ちだ。『理解できない』。
けれども、その人間の理屈を呑み込んで頷くコトはできる。ゾービナスは自分よりも早く、「ニュートちゃまがそう仰るなら、努力いたしますわ」と甘えた声をした。
……
いつまで覚えている約束だろうか。
「おお、ニュート様はなんとお優しい! 流石、人の心をお持ちですな」
感嘆したスケルナイトの声が、白々しく王座の間に響く。
なぜだ。
あの小僧の父親が裏切らなければ、俺は十五年間も棺の中にいなくて済んだ。そうすれば、ずっと一緒にいられたのに。ずっと。ニュートが、婚約者の顔を忘れることもなかったのに
――
。
なぜだ。と、暗い炎が心を焦がす。
言いたいことを呑み込んで、ベーケス2世は頷いた。
「
……
ニュートが。いえ、次期魔界王のニュート様がそう仰せられるのであれば
……
」
ベーケス2世なら、分かってくれると思った! と、ニュートが笑って、ベーケス2世は一気にどうしたらいいか分からなくなった。
喜んでくれている。
口先でいくら何を言ったとて、いくらでもやりようはある。気取られぬようにすればいい。けれどもこの声を聞くと、どうしたらいいか分からなくなる
……
。
その気持ちをなんと呼び現すのか、ベーケス2世は知らなかった。約束だよ、と微笑む小さなニュートの声が、頭にずっと残っていた。たぶん、一生、ずっと、残っている。
「ああ、いや、安心しました。何、そのようなご用件でしたか
……
」
「はは
……
。じゃあ、僕たちは帰っていいですか」
「あなたたちは残って下さい」
話は終わり、という空気にそそくさと立ち去ろうとするスケルナイトとウルハムに、フランコールの慈悲のない声が響いた。
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