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頻子
2022-03-05 05:09:10
2105文字
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KODR二次
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お見舞い(KODR)
ベーケス2世×ニュート。
エンド後。ほのぼの。
魔界風邪を引いてしまった。
息を吸い込むと、喉にはりついたような違和感がもやもやと喉に残っている。
ニュートがけほけほと咳をすると、生えかけた吸血鬼の牙が唇を掠めた。それから、ぷっつんと厚紙に穴を開けるような感触がある。タオルで口元を押さえると血が滲んでいる。隠しておかないと心配されるかな、と思って見えないようにたたんでおいたのだが、フランコールがめざとく見つけて悲鳴を上げる。
「まあ、ニュート様。お可哀想に
……
何か食べられますか? 氷は
……
?」
といっても、吸血鬼となった今となっては、血液かチョコレートの二択だ。なんにも要らない、というとますます気の毒そうな表情になる。
頭がボンヤリしている。
「お前は吸血鬼になったばかりだから、血が馴染んでいないんだろうなあ」
と、作り物のベーケス2世が言う。
ぴたりと手を当てて、熱を測る
……
代わりに絞ったおしぼりがふわふわ浮いて、額に置いてあったものと入れ替わった。
「ああ、ニュート。こんな時にすまん
……
!」
ベーケス2世は、一族の外せない会議があって、魔界の僻地に出かけているのだ。
しばらくは虚像だけが心配そうにうろうろしていたが、誰かに呼ばれたようで、それもまたかき消える。
せっかく生身の彼と触れあえるようになったのに残念だ、とニュートがこぼすと「フランコールはもう少しの辛抱ですわ」、と言った。
……
フランコールの前で言うべきではなかったかもしれない。
ニュートが王座を継いでからというもの、2世はずいぶんと忙しくしている。
ニュートはベッドに寝ながら、覚えたての念力でコップを動かしたり、タオルをふわふわと浮かせたりして過ごした。自分もこの力が使いこなせれば、寝ている間にベーケス2世に会いにいけるかもしれない
……
。
そう思いながら寝ていると、ほんとうにベーケス2世の出てくる夢を見た。真剣な顔で本を読んでいるちょっと珍しい姿で、ニュートはそのまわりを漂いながらじっと見ているのだが、面白い本ではなかったらしく、夢の中の2世はすぐにぱたんと閉じてしまった。いつもとはちょっと違うような、けだるげな様子だ。自分のいないときの彼はこんな感じなのだろうか、と思いながらも髪型を崩してやろうかなと近寄った。
それから、虚像だと触れられない事に気がつく。
ニュートがうとうとしていると、
「おう、ニュート!」
と、またしてもベーケス2世の虚像が現れた。差し込む日の光を確認するに、結構な時間が経っているようだった。ベーケス2世の夢を見たんだよ、と言うと、ベーケス2世は、少し驚いた顔をして、
「俺もだ。俺も毎日ニュートの夢を見ているぞ!」
と言った。
昼間なのにずいぶんと頑張っているね、と言うと、ベーケス2世は歯を見せて笑った。
「まあ、今の俺は虚像だからなあ。ニュートに触れることはできない
……
が、ほら、どうだ。側にいるぞ
……
」
じぶんは一人でも大丈夫。もう子供じゃないから。
言い返すとベーケス2世は言葉に詰まり、それからうろうろと漂っていた。
そちらの方こそ念力で構いに来てないで、きちんと寝たらどうなのか。
うっ、と言葉に詰まったようだった。
ほんとうはちょっぴり会えないさみしさもある。
ベーケス2世がとても頑張っていることを、ニュートは良く知っている。ベーケス2世は困った顔をして、へらっと笑った。誤魔化さないで。言うと、すうと表情が冷えて、それから目を細めた。たぶん、どうしたらいいか分からないときの顔だ。
それで、とっとと帰ってきてくれればいい。
ニュートが壁に向かって寝返りを打ったのはちょっとした意趣返しだ。顔を見せてくれ、と懇願した声。
なら、子守歌を歌って、とねだった。寝返りをうち、なおもうたって、と頼むと、しばらくの沈黙が続き、音程を外した歌が耳に入った。くすくすと笑うと、声はちょっと小さくなり、それから2世も笑ってくれた。
「おやすみ、ニュート」
なぜだかポンポンと頭を撫でられたような気がした。夢の中だったからかもしれない。
***
「すっかり良くなったようで何よりだ。ずーっとお前を思っていたぞ! は? 本体が来てないかだと?」
ようやく戻ってきた2世は、コートを脱ぐと、「おかえり」と言いに来たニュートとハグをする。
「じぶんを魔界に連れてきたように、念力で扉を作って、
……
か?
ばかだなあ、ニュートは。来るわけないだろう。同じ魔界とはいえ、空間転移はとっても疲れるんだ。俺がそんな無駄なことをすると思うか?」
ベーケス2世はニヤニヤ笑って、「俺の夢を見るほど寂しかったんだなあ!」とうんうん頷いている。
「たしかに、ちょくちょく見舞いには来ていたが、実体じゃない。そーんなことをしたら疲れるじゃないか。俺はこのごろは休んでいるから、元気だ! このとーり!
……
げほっ。いや、ンンン!」
ニュートはぽすっとクッションの上に飛ばされた。
「それ以上聞くな! ニュートー! そして寄るな! ダメだ! こんどは俺の風邪が移ったらどうするんだ
……
!」
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