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頻子
2022-02-04 23:03:10
4050文字
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ルンファク4
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別に好きとか毎日言ってるから毎日記念日
結婚後ダグ×フレイと+息子(ノエル)
友情出演ディラス。
結婚記念日ウッカリ忘れてたダグ。
あんまり几帳面に記念日を覚えてないタイプの、ほたるび祭りの「忘れそうだから近くなったらまた言って」が最高に好きだよダグ……!!!
休日である。
魚でも釣ろうかと釣竿を担いでいたディラスは、セルフィアの街のメロディストリートで珍妙なものを目撃することとなった。
往来を、高く積み上げられた米袋が歩いていたのである。
「は?」
その光景に、無論、ディラスは目を疑った。
――
米袋?
ずいぶん前に、動く看板なんて騒動もあったくらいだから、これくらいはおかしくはないのか? いやいやいや
……
。呆然として見ていると、米袋タワーがぐらっと揺れた。
それでようやくわかった。ノエルだ。
小さい子供が、自分の背よりも高く米袋を持ち上げている。
「オイ! 危ねぇだろ!」
「わっ」
ディラスはバランスを崩しかけたノエルから慌てて荷物を奪い取る。ノエルはコテンと尻もちをついた。とりあえず、大きなケガはないらしかった。心の底から安堵する。
「オイ。
……
こんなに持てるわけねぇだろ」
「ママはできるからぼくもできるよ」
「いや
……
いや無理だろ!」
石材やら野菜を器用に積み上げてひた走るフレイの姿を思い浮かべて、ディラスは若干遠い目になる。あれは例外だ。ホントに。
ぷうっと頬を膨らませるノエルに目線を合わせようとすると、背丈は自分の膝くらいしかないくらいに小さい。
いつかはできるようになるかもしれないが、少なくとも今のノエルには無理だ。
「
……
オマエがケガしたらママも悲しいだろ?」
「うん」
「だから、ダメだ。これ、家まで届ければいいか?」
「いいの? ありがと!」
「
……
ああ」
邪気のない笑顔が、ぱっと花開くように広がった。
「あのね、ぼく、困ったときはディラスおにいちゃんをたよれっていわれてるんだ」
「フレイか。そうか。俺も、人を頼れるようになったのはアイツのおかげかもな」
「? ううん、パパ!」
「
……
」
思いがけないことばに、ディラスは何とも言えずに黙るしかなかった。これがダグだったら「何気持ち悪いこと言ってやがるんだ」どついてやるところなのだが、目の前の子供に罪はない。
「ディラスおにいちゃんは、こまったときにぜっーたいたすけてくれるって。あ、これ、ナイショなの。ナイショだよ」
「言ってるんだよ」
心の奥底がこそばゆい。ニヤつくのを必死に押さえている。尻尾が勝手にぱたんと揺れていた。風のせいだと思って欲しい。
「
……
にしても、こんなにどうするんだ?」
「んとね、ママといっしょに、パパにたくさん『ごちそう』つくるの!」
「オウ、そうか」
幸せそうだな。
そういう笑みは勝手にふんっと漏れたが、ディラスは特段自分で笑ったことに気がついてはいない。
「あした、『きねん』の日なの。パパいっぱいたべるからね、たくさんたくさんつくるの」
「記念
……
」
そういえば、そろそろフレイとダグの結婚記念日のはずだ。それが、明日か。
ほんとうに、何もかもあっという間だ。ぎゃあぎゃあと肩を並べてケンカをしていた頃がずいぶん遠いような気がした。
「なにつくるんだ?」
「パパ、ごはんだいすきだから、ごはんたくさんだよ! おさかなね、くるくるして、たべるんだ」
「くるくる? ああ。手巻き寿司な。
……
魚は新鮮なうちに刺身にするとウマい。さすがだ。分かってるじゃねぇか」
「うん!」
「そもそも釣りというのはだ
―
魚との真剣勝負であってだ。想像してみろ。静かな空間で、世界には魚と己のみ。すなわち魚と向き合うことはすなわち己と向き合うことであり
……
難しいか」
「
……
?」
「
……
なあ、良かったら釣りに行くか? 魚も、買うより釣るほうがウマいだろ」
「え、いいの?」
「よしっ。そうと決まれば、明日は早起きだな。3時、いや4時くらいに
――
」
***
結局、朝の4時というのはさすがに幼い子供には早すぎるということで、フレイに却下されてしまった。もうちょっと大きくなってから
……
。そんな日が来るのもすぐなんだろうな、と思うと微妙な気持ちになる。
その日はディラスもポコリーヌキッチンでの仕事があったので、まあ、よかったといえよう。たくさん寝たおかげか、今日は配膳の調子が良い。
「ホッ!」
「そこだあっ!」
ペコリーヌが盛り付けを終えたところで、料理を取り上げる。これがなかなか技術がいるのだ
……
。タイミングが遅すぎればペコリーヌが料理を平らげてしまうし、早すぎれば最後の仕上げのパセリが散っていない。素早さだけが求められるかに見えるだろうが、見た目以上に熟練の技を要求される。
「ワタシから料理を奪うとは
……
やりますね!」
「フ
……
当然だ」
これで7皿目になる。
……
ハイスコアだ。雑念を振り払い、この調子で新記録を目指そう
……
そう思っていた時のことである。
「おまちぃ!」
「やったゼ! もう腹ぺこダ!」
急ブレーキをかけ、ディラスは思い切り料理を取り上げる。
「テメェ!? なんでいんだ!」
「アア!? いちゃ悪いのかヨ!?」
「隙アリ!」
そのすきに、運んできたチャーハンはペコリーヌの腹に消える。
「チッ、新記録がア!」
「なんだヨ!? 何がしたいんダ?」
「お前!!! 飯は!?」
「食いに来てんだろうガ!」
「バカヤロウ!! 家で食べろ!! テメェは!!」
「いや、俺だってそりゃ嫁さんと子供の顔見て食べてえヨ。仕事がもっと早くおわったらナー。今日は遅くなるから待ってなくていいって言ってあるシ。もうこんな時間だと寝てるだろうし
……
起こすのも悪いだロ!」
「寝ぼけたこといってねぇで起きろ!!」
「起きてるってェ! なんだヨ!?」
「あれ、ダグさん? なんでいるの? 結婚記念日じゃないの?」
「
…………
」
「違ったっけ?」
ひょっこりと現れたキールの一言に、読み込み中みたいな表情になった後、ダグは「アアアーーーっ!」と大声を上げた。
「うるせえーーーー!!」
「おや。ダグさん。
……
もしかして、記念日を忘れてたんですか?」
「みたいだな。面白い」
夜食をとりに来たアーサー。その隣でレオンがしたりと頷いた。
ダグは頭を抱えている。
「しまったアアアア! 忘れてたア! くそっ、ばあさんが言ってたのってこのことかヨ! 俺てっきり仕入れのことだと思っテ
……
」
「6年か? よくもったほうじゃないか」
「ダグさんも、明日から独身ですか」
「い、いやダーーー!」
「はわわわわ
……
」
事情を聞いて、あわわわわと慌てているビシュナル。たいへんだねー、とどこかのんびりしているキール。それから、面白がっているレオンと、不本意ながらディラスがアーサーの執務室で男連中が額を突き合わせて、緊急招集と相成った。
「お前
……
プレゼントとか
……
。用意してないのか?」
「ナイ
……
かんっぺきにわすれてタ
……
」
がっくりと項垂れるダグ。
「記念日に物を贈り合ったりしないのか
……
?」
「うーん。
……
ウチは、あんま、しねぇナ
……
」
「そういうもんか?」
「結構ドライですね」
「まあ、人それぞれですから」
仲がよさそうに見えていたが、思っていた以上に夫婦の仲は冷えているんだろうか?
一緒の街に暮らしている友人の家庭事情をそれぞれが思い浮かべていた。
「たまには、ってことであるにこしたことはないんじゃないか? 遅くなったのも許してくれるだろ」
「かもしれねぇけド」
「お花はどう? 今からダッシュしたら、エルミナータさんがなんとかしてくれるかも!」
「花はだめダ。おととい、花屋でデートして、
……
そんときにあげちまっタ! これでもかってくらいの花束ってやつヲ!」
(
……
ん?)
ディラスは若干の違和感を覚えた。
「はいっ!」
「はい、ビシュナルくん」
「あのあのっ、家事とかどうですか? これから帰って、一生懸命家事をしたら、喜んでくれるかも!」
「
……
今からですか?」
「昨日、やったナ
……
。フツーの掃除だけど
……
」
「ならっ、料理です!」
「それもダメダ! 俺は毎日弁当作ってル
……
っ! 新鮮味がゼロダ!」
「毎日???」
「えっと、毎日って何曜日でしたっけ」
「月火水木土日!」
「そ、そんなの毎日じゃないですか!」
「だから毎日だヨ! 俺、腹一杯食べたいシ、それに
……
油断するとアイツ忙しいって飯抜くから
……
それに、俺、好きなんだヨ! いっぱい食べてる姿!」
「
……
そうだな。言葉に勝るものがあるか? 愛してると、たまには愛の言葉をささやいてやれ」
「それハ、今朝!!! やった!!!」
「
………………
」
「なんていうか、仲良しだね♪」
「俺が記念日を忘れなきゃアアア!!」
「
……
あの、なんかもう、十分では
……
?」
首を傾げるビシュナル。
白けた空気が漂い始めていたところで、ぱん、とアーサーが手を打った。
「ええと、そろそろ、解散しましょうか。夜も遅いですし」
「もうおしまいだ。打つ手なしだ。なにもできることがなイ
……
っ! なあ
……
。すごく謝ったら、許してくれると思うカ?」
「無駄だな」
「冷たいこと言うなヨ!」
「まあ、大丈夫だと思いますよ」
「無責任な事いうなヨ! 人生最大のピンチなんダ!」
「
……
なんというか、まあ、日頃の行いって、大事ですよね」
「そうだね♪」
「ダグ、とりあえず帰れ」
「ああ? 手ぶらで帰れるかヨ!!」
「いいから帰れ。ほら。ケーキ持って帰れ。そんでとっとと帰れ。すぐ帰れ。んで、明日、セルフィア広場。10時」
「ありがとよ
……
っテ、なんでオマエと待ち合わせしなきゃいけねぇんだヨ!!」
***
「めでたい日にどつけねぇだろうがーー!!!」
「グエッーーー!」
次の日。
広場には律儀にも日を改め、ダグを背負い投げるディラスの姿があった。記念日を忘れていたことは、フツーに許して貰えたらしい。日々の努力のたまものと言えよう。
「毎日幸せいっぱいで良かったなあこんにゃろーーーー!!!」
「ありがとよふざけんなチクショーーーー!」
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