頻子
2021-05-07 00:11:34
1863文字
Public その他こまごました二次
 

2週目の旅

落葉の大地を走れのフォンサゴあるいはサゴフォン
世界一周して旅を終えたらサゴジョの最期がつらかったのでもっかい迎えに行く話
※ちゃんとエンドの真相とか見てないです……。エンドが衝撃で……。これだけ吐き出しておきたかった……。

 気の遠くなるほど長いロープを垂らして、ナルタキが見えてきたとき――サゴジョはこの旅の終わりを悟った。トーリから始まり、トーリへと戻ってきた。世界一周をなしとげて、もうこの世界に謎はない。
「そんじゃ、また会う日もあると思うさ」
 フォンはじっと考え込むような仕草で、確かめるように頷いた。元気でな、とサゴジョは手を振った。
 待ち合わせでもしない限りは、分かれた旅人と再び出会うことは難しい。とはいえ、フォンには実家があるから、用事でもあれば向かえばいいのだ。
 本人には会えないにしろ、家族に言伝くらいは頼めるだろう。……問題は、サゴジョの故郷――ナルタキが近いということか。
「なんだか、さみしくなるね」
 アシャスはいったん、故郷に顔を出してから王都に戻るという。
「俺? 俺は……まあ、いずれどこかで会えると思うさ」
 旅立ちの日の前。
 サゴジョは、いつかのようにごそごそとフォンの荷物を漁った。もう見つかるようなへまはしない。目当ての手帳をみつけて、手帳に真っ赤な落ち葉をはさんだ。
 サゴジョは読む方は少し慣れたが、書く方はさっぱりだ。

 稲穂の国は非常に過ごしやすかった。
 よそ者として、しばらくは好奇の目で見られないでもなかったが、髪の色を見れば縁者か親戚だろうと勝手に思ってくれる。それに労働力だ。
 口の上手いサゴジョのこと、溶け込むのは容易だった。
 赤い落ち葉。
 この髪が目立たないところに行こうと思う――ということだったのだが、フォンなら気がつくだろうか。落ち葉は、最初の、オーリでの依頼を受けた時みたいに高く売れやしないかと鞄の底に押し込んで、それからすっかり忘れていたものだった。
 いや、どうだろう。フォンは今なにをしているだろうか。考えを巡らせている。
 語る言葉を持たないフォンの気配は、耳を傾けないと聞こえない。宿屋に降りて、目立つところで過ごしていると、トントンと肩を叩かれるのだ。
 すっかりここの生活にもなじんだが――サゴジョは、農作業のあいま、そういうような感触があって振り返るときがあった。結局、誰もいないのだが。
 知恵モノのほこらを通り抜けると、不思議なパネルがあった。そういえばまだまだ全然知らないことばかりだ、とサゴジョは思った。適当にぽちぽち入力して、飽きた。文字は面白いとは思えない。読める人間も少ないのだから。でも、手紙でも書いてやろうかな、と思っていたのだけれど、一日二日で決意はくじかれてしまった。
 サゴジョの目当ては雪山の山頂にある温泉だ。ついでに、何か狩って鍋にでもしようかと思いながら。
 ……
 ところが外は雪がちらちらと降っており、これはもう今日はムリだと判断したわけである。 引き返そうとしたとき、しかし、またしても三つ編みを引っ張られるような感触があった。
 たわんだロープの雪靴のあと。
「フォン?」
 くだらない、と思いながらも、なんとなく心が弾んだ。サゴジョの知る限り、こんな崖をよじ登れるのは一人しかいない……
「サゴーーー!」
「ぶあっ」
 フォンの声――正確にはマオの声が響いた。
 雪に紛れて、ガチガチと震えていた。笑って温泉の湯をかけてやったが、フォンはぷるぷる前髪をゆすると、マオを優先して優しく湯のそばに設置した。マオはあたたかくなった石にべっそりと寝そべる。
「フォン、ひとつきぶりさ」
 フォンはこくり、と頷いた。
「行きたいところは全部行ったと思ってたけど。何しに来たのさ?」
「もちろん、たーっぷり休んだので追加調査ですよ~! 知らないことはまだまだありますからね! エヘン!」
「あ、終わってなかった?」
 フォンはこくこくと頷いて、手帳のページを見せる。そこに書かれていたのは古代のメッセージの書き取り、っぽい。なんだ、自分が残したメッセージは伝わってはいなかったらしい。ちょっとがっかりしつつ、まあそんなもんだし、会えたから良いかと納得していた。結果良ければ全てよし、だ。
「アンタの髪の色も、ここじゃなつかしいさー」
「でしょー!」
 フォンは何か言いたそうにそわそわして、辺りを見回した。
「? どうした?」
 慣れた様子で火をおこすと、指し示した。すうと両手で――ボウエンキョウの形をつくって、火をさして、またサゴジョの髪を指した。
「ん? なんです? ご主人様、なんて言ってるの?」
 サゴジョはマオよりも一足早く意味を理解して、ゲラゲラ笑った。
 そりゃあ、俺の髪は見つけやすい!