エンディング後のお話!
まず最初に訂正を入れますが以前ホテルの思い出について「思い出しません」と言いましたが、正しくは「入院中は思い出しません」です。
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病院で目覚め、ホテルでの出来事は公式の案内通り忘れてしまいます。
ホテルで出会った人たちと病院内で再会してもその場で記憶を取り戻すということはなく、魔法も、約束も、同じように思い出せません。
だけど皆さんとお話しするのは何故か初めてではない、そんな気がします。
episode✖︎
目覚めてすぐ椿原の家の人が来て婚約についての手続きを迫られました。彼女は震える手でペンを握り自分の名前を綴ります。
「退院する際は当家でお迎えしますね」
駆けつけた父と母が既に取り交わされた婚約に悲しむのを見て心が痛んだ彼女はそっと両親の手に触れます。
ごめんなさい、けどこれでいいの、私は大丈夫。
そう口にした時、心に靄が掛かるような違和感がありました。
episode🍯
蜂飼密子ちゃんと会い仲良くなりました。
せっかく仲良くなれたのだからと連絡先を交換しようとしたら既に携帯には連絡先が登録されてました。
何故だろうと二人で首を傾げました。
episode🤐
リッパー・ジッパー・ウィスパさんからインタビューを受けました。
インタビューなんて初めての経験のはずなのに、初対面である彼にスラスラと自分の気持ちを伝えることができて驚きました。
episode👔
「火事に巻き込まれた人でまだ目覚めてない人がいるらしい」入院から1ヶ月、数日後に退院を控えた彼女はその噂の主である男性が目覚める瞬間に偶然にも立ち合います。
言葉は交わせませんでしたが、その人と目が合った時に何故だかとても安心しました。
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退院した後すぐに椿原の家に引き取られます。
椿原にとって婚約というのはやはり大きなニュースになることから発表はタイミングを測りさらに1ヶ月後、8月に行われることとなりました。
そしてその間に椿原家の人間は更に彼女の自由を縛っていきます。
「大学へは今後行かなくても卒業できるよう手続きを取ってあります。これからは代表の妻として忙しくなるのですから。
…保育士免許?貴女にそれはもう必要ないでしょう?」
「若いからといってその髪はあまりにも派手過ぎます。芸能人でもあるまいしはしたない。生まれつき?そんな言い訳は結構ですから早く染め直してください」
「ご両親とは今後会われる必要はありません。何かあれば私達椿原の家中に言うように
…問題は、ありませんね?」
その全てのことに彼女は口を噤みます。
自分が我慢すれば全て丸く収まる、家族も父の会社の人たちも守れる、これが私のやるべきことなのだと言い聞かせました。
自分に言い聞かせるたびに、何かを叫び出したくなる衝動がありました。
何を叫びたかったのかはわかりません。
鏡に映る真っ黒な髪が自分の気持ちを更に重くしてるように感じました。
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婚約の発表前日。
ザワザワした気持ちを落ち着けようとテレビをつけると、少し前に放送されたドラマの再放送が流れてました。
現実から目を背けた登場人物の一人がある女性と出会い、考え、もう一度自身と向き合おうとする第8話。
『あのドラマは今度の夏に再放送がされる筈サ。観たことがナイというのなら、是非観た感想を聞かせてほしいナ』
どこかでそんなことを言われた気がする。
それはどこだろう、誰なんだろう。
あと少しで思い出せそうなのに。
そう考えながら音楽と共に流れるエンドロールを見つめていると聞き覚えのある名前が表示されました。
『今回のホテル火災に巻き込まれたヒトに色々意見を聞いてるんダ。どう思ウ?』
それは病院で出会った不思議な脚本家の人だとすぐに思い出します。
そして、
『今回のホテル監禁について意見を聞いてるんダ。どう思ウ?』
病院よりもっと前、5月にあのホテルで出会ったことも思い出しました。
『キミは運命(ヒト)に愛される主人公。この天才脚本家が保証しよウ!』
あの日かけられた魔法に再び背中を押され、彼女は椿原の家を飛び出します。
誰かに示された道を選ばなくていい事を、好きなものを好きでいていい事を、自分のしたいことをしてもいい事を彼女はあの1ヶ月と共に思い出せたのです。
両親に連絡をとり自分の本心を打ち明ける。
心配させてごめんなさいと、もう大丈夫だと、だから助けてほしいと告げました。
そしてもう一人。
詐欺被害に遭ったらとあの人は言ったけど、詐欺じゃなくてもあの人ならきっと力になってくれる気がすると連絡先を探します。
名刺はホテルから持ち帰れませんでしたが、電話番号だけはあの時の履歴が残ってました。
「鬼さん」
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結論から言うと、彼女は結婚をせずに済みました。
椿原財閥の裏事情や現当主の黒い噂の真実などスキャンダルが世間に報じられ、そのどさくさの間に婚約破棄を言い渡し法律的にも結婚したことは無かったことにされました。
椿原財閥の傘下に入っていた父の会社は独立を宣言、同時に多数の国内外の会社と連携をとり磐石な地位を獲得。会社も社員も椿原財閥からの被害を受ける事なく大手家具メーカーとして活躍しています。
彼女は財閥の枷を色んな人の手を借りて打ち壊し、2年後の春に無事に保育士になります。
ピアノのトラウマも克服し、子供達と共に歌いながら楽しそうに演奏する姿がどこかの幼稚園で見れるでしょう。
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午後の日差しが差し込むあるカフェの一角、そこにワンピース姿の彼女とスーツ姿の彼がいました。
あのホテルを出てから(病院の邂逅を除くと)数ヶ月ぶりに会った二人は再開を喜び、楽しそうに談笑しています。
「ところで病院で見たお名前が違ったような
…」
彼女のふとした疑問に固まる彼。
「お仕事の都合で偽名を使う必要があったりするんですか?」
「あ、あれはええ、そのようなところです。混乱させてしまってすみません
……」
「警察の方って大変なんですね
……あ、今後はどちらのお名前でお呼びした方がいいでしょうか?」
「では、ええ、今はオフなので是非本名のほうで。本当の名前は
……」
そう言って改めて告げられた名前を彼女は確かめるようにそっと呟くと「なんだか新鮮ですね」と微笑みます。
偽名を騙っていた事を軽蔑されるかと身構えていた彼は彼女の反応にほっと安堵しました。
そんな二人が次第に惹かれ合い、手を取り合うようになるのはここから数年後の未来の話。
今は何も気づかないまま、想いの種を大切に育てるのです。
Fin.
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