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わらびもち
2024-01-12 19:48:04
2437文字
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遥と一茶がラーメン食べに行く話
VOID自陣ぼいぼさがラーメン食べに行く話
時系列はぼいちの選択前
げんみ✕
有馬真二の起こした事件が、白瀬心により終幕を迎えた後。
正確には、彼女によって迎えた夜明けの次の日だ。事件の報告、戦闘における身体負荷の検査等を終えた不破遥は、一連の事件の最中、爆発のあった研究施設に足を運んでいた。余談だが、黒田八代は一命を取り留めてはいるものの、まだ数日面会は出来ないらしい。
煤に塗れた廊下を歩けば、靴音が静かな屋内に反響する。
施設には既に警察の捜査が入っており、爆発に巻き込まれたはずのアンドロイド達の残骸も、そこで死んだ人も、回収された後だった。
辿り着いた大部屋は記憶にあった姿とは程遠く、大きな木はもちろん、芝生も全て燃え、敷き詰められた砂と、何かの燃え滓があるだけだった。当然、アンドロイドの部品など残ってはいない。有馬真二が作り出したアンドロイドだ、重要な証拠品だろう。
……
もしかすると、EMCの手が入っているかもしれない。街がそれどころではないとはいえ、証拠品の回収だけでしっかりとした調査をしたようには見えない。
全て燃えて、何も残っていない地面を未練がましく撫でる。
「酷いな、何も残してくれないなんて。」
目の前が歪む。何かに縋りたいのに、ただただ砂を引っ掻くことしかできない。
まだ話したいことがたくさんあったのに。10年分の気持ちを聴いて、思いをぶつけるのにあんな短い会話では到底足りない。
守りたかったんだ。過去を踏まえてみても、間違いなくあの人は私の大切な人で、私の家族だ。遠ざかっていく背中が、脳裏に焼き付いて離れない。
どれほどそうしていただろうか。
泣いて、泣いて、涙が出なくなっても動けずしばらくそこに蹲っていた。
けれど、いつまでもそうしている訳にはいかない。
まだ重たい足を引き摺るようにして部屋を出る。
「あ。」
「え。」
施設の出口。そこに向かう途中、身知った顔と出会した。
煤や焦げ跡でわかりにくいが、廊下に残った大きな血痕の前で立ち尽くすのは、御手洗一茶だ。
顔を見れば少し涙が浮かんでいるが、今は思ってもいなかった人物に会ったことへの驚きが勝っているようだ。
「
……
御手洗さんも、ここに来たんですね。」
「
……
あー、まあな。」
沈黙。
お互い、何故ここにいるのか分かっているだけに、次の言葉が見当たらない。だからといってすぐに帰るほど知らない仲でもない。
そんな気まずさが先に耐えきれなくなったのは御手洗の方だった。
「あー
……
ラーメンでも食いに行く?」
「あ、はい。」
ところ変わってラーメン屋。カウンター席に座って頼んだラーメンを待つ2人の沈黙を先に破ったのは、今度は不破だった。
「こういう時ってお酒飲むもんじゃないんですか?」
「いやお前年下の女の子と2人で飲み屋はまずいだろ。」
「そういうものですか。」
「そういうもんだよ。」
ポツリポツリ、取り留めもない会話をしている内にラーメンが運ばれてくる。
「ここのラーメン美味いんだよ、イチオシ。」
「確かに匂いもいいですね。」
手を合わせ挨拶をして麺をすすれば、スープの絡んだ細い麺の味が口いっぱいに広がる。
「! 本当に美味しいですね。」
「だろ。」
隣で同じように麺を啜っていた御手洗が得意気に言う。しばらくそうしてラーメンを堪能すれば、いくらか空気も和らぎ、会話も増えてきた。
「そういや、刑事の不破さんが俺なんかとラーメン食ってていいの?」
ふとそう切り出した御手洗に不破は目を瞬かせ、口の中に入っていたメンマを飲み込む。
「あれだけ助けられておいてそれをあだで返すほど恥知らずじゃない。スパローがどういう組織かは自分の目で見て、確かめたから手を出すつもりはありません。」
「そうか。
……
本当にいいのか?バレたら問題だぞ。」
「現状、御手洗さんが裏切ってることは知られていません。事件の後に行方不明になった扱いです。」
「お?黙ってくれてんの?」
「私の事なんだと思ってるんですか
……
。まあ時間の問題かもしれませんが。それに、EMC、でしたっけ?そっちに関しては何も解決してないのが現状でしょう。」
「そうだな。
……
託されたからには、やり切るさ。」
どこかを見つめる御手洗の横顔を見て数瞬。声を潜め、ゆっくりと不破が言葉を紡ぐ。
「警察としてはともかく、私個人としては出来る範囲で協力しますよ。」
「
……
お前それ、」
「EMCが警察と繋がっているのはまず間違いないでしょう。有馬さん側の人間やアンドロイドが入り込みすぎてる。」
「
……
。」
「私もEMCに何かされてるみたいですし。出来ることはしたい。」
服の胸元を握りしめる不破を見た御手洗は、一つ大きく溜息を吐き、ガシガシと頭をかいて上着のポケットからスマホを取り出す。
「んじゃあ連絡先教えとくから何かあったら言ってくれ。」
「あ、スマホ変わったんですね。」
「そりゃ前と同じのは使えんでしょ。かと言ってリーダーが連絡取れないのは不味いし、すぐ変えたわ。」
「なるほど。」
手早く連絡先の交換を済ませると再び箸を進める。食べ終わり店を出る頃には、最初の気まずさはすっかりなくなっていた。
「今日はありがとうございました、気を遣っていただいて。」
「不破な、そういうのは言わないほうがいいの。」
「
……
そういうものですか。」
「そういうものなの。」
「わかりました。ええっと、では私はこれで。
……
イッサさんも何か助けてほしかったらいつでも言ってくださいね。」
「生意気な後輩だな。」
そう言って笑ったほんの数日後、不破にEMCから接触があり、案外早く連絡を入れることになる。
ーーーーー
遥は仲良くしたいなぁと思うと名前で呼ぶようになる
そしてこれがエピローグの「イッサさんに教えてもらったラーメン屋」に繋がる
HO3御手洗一茶(PL鮭さん)お借りしました
書かせてくれてありがとうございます!
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