歳の暮れは息も凍るほどに冷え込んだ。依頼が舞い込んだのは、もう仕事を納めて家でゆっくりと過ごそうとしていた頃合いだった。訪問者を見たとき、私は不機嫌が顔に出ていたはずだ。
追い返そうとしたが、やめた。
凍えた子供を冬の寒空の下に追い立てるほど、私は人でなしでは無かったからだ。子供は震えながら事情を話してくれた。西部の発電機が壊れたのだという。その話を聞いて仕舞えば、修理してやらないわけにはいかず、私は一度手入れしてしまい込んだ仕事道具を取り出すことになった。
西は貧しい地区だ。電気の供給が絶たれれば、凍え死ぬ人間がたくさん出る。報酬を払わない人間を助けてくれる人間などいない。そんなこと大人たちはわかりきっているから、誰も修理を頼まなかった。まずは目の前の問題をどうにかしようと手一杯だ。
だから子供は一人で西部からわざわざここにやってきたのだ。
荷物をまとめ防寒具を見に待とうと、子供と共に西に向かった。
西部が貧しいのは、土地のほとんどが何の作物も育てられない沼だからだ。冬だからその水分は半分以上、凍りついていた。沼の表面は硬い地面に見えるが、表面で水分が凍り付いているだけで、足を乗せると氷は割れて藁に泥が沈み込んだ。防水具を纏っていても、爪先から冷え込んできた。
子供を往復させるのは忍びなく、途中から背負って進んだ。
発電機の元に辿り着くと、ドアを開いて中に入る。発電機が動いていない建物の中は冷たい。部品を一つ一つ確認していく。
弁が壊れた程度だと思っていたが、思ったよりも根が深い問題だ。電気が通わなくなった以上の問題が、そこには眠っている。
原動機が壊れている。
いや、壊されていると言った方がいい。誰かが故意に西部の電力を止めたということだ。これは直しても、また壊されてしまうことだろう。
発電機を治すことはできる。だが、一体誰が壊したのか、どうやらそれを明らかにしなければいけないらしい。
探偵は私の仕事ではないのだが、ときおりそれをしなければいけないと気がある。便利屋の辛いところだ。
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