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梶間
2019-09-27 03:21:52
1196文字
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フライデー
金曜日なのでカブライが揚げ物食べるだけ短文。料理の元ネタはドラゴンズクラウンです。ゲイザーの味が想像出来なかった…柔らかいのかな…ライオスには頭足類食べてもらいたい。
「なんでそっちもフライなんですか」
「そっちもフライか。しまったな」
珍しく二人揃った夕飯時には、それぞれが食べたいと思う料理を一品ずつ作るようになっている。
ライオスは好きな魔物を好きな様に料理するため、カブルーはそれを許す代わりに自分の食べられる料理を確実に確保するために、二人の間にはいつの間にかそういう決まりができていた。
「
…
なにを揚げたんですか」
「ゲイザーの目玉」
その言葉を聞いた瞬間、カブルーは顔を覆い天を仰いだ。なぜ自分は食材の正体を聞いてしまったのか、よりによってどうしてあの宙に浮く巨大な一つ目の化け物を選んだのか、後悔と罵倒が心中に吹き荒れる。
目の前の食卓に出された丸いフライは、大きさからみてゲイザーの本体から伸びる根のような触手についている目玉だったのか。
「
…
どこでそんなものを」
「たまたま近くの迷宮の浅層に出て鮮度が落ちない内に運ぶことができたんだ。流石に本体の目玉は大きすぎるし倒してしまったときには傷ついていたから食用にはできそうになかったんだが、末端部に生えている目玉なら調理できるんじゃないかと思って。魚の目玉と似た食感らしい」
ライオスは目を輝かせて食材にしたゲイザーを手に入れた過程を滔々と語った。
その様子にカブルーは深いため息を吐くが、最早慣れきったいつものことなので気持ちを手早く切り替える。
「まあ今日はいいです。付き合いましょう」
「いいのか」
「その代わり、俺が作ったやつも絶っ対に一つは食べてくださいね」
「なんだ。そんなことならいくらでも」
その言葉を聞いたカブルーはにこりと笑う。それならいいです、とフォークを手に取ったのを合図に二人の食事が始まった。
カブルーが作ったフライ料理からは食欲をそそる香ばしい匂いが立ち上っていた。カブルーが作る料理は普通の食材を使ったごく普通のとても美味しい料理ばかりだったため、ライオスは絶対に一つは食べるという約束を気軽に引き受けたのだった。
「これは何を使ったんだ?」
「タコですけど」
「タコ?」
「イカに似てるやつです」
「
…
イカに似てるやつ」
「絶対に一つは食べるってさっき約束しましたよね」
フォークに刺したタコのフライを眺めていたライオスは覚悟を決めてそれを口に放り込む。目をぎゅっと閉じてゆっくり一口、二口と噛むうちに魚介の磯の香りと塩の効いた旨味が広がり、顔の力を緩めた。確かに味は良い、良いがこれは頭足類だ。過去のトラウマを思い出し渋い顔で首を捻る。
「
…
美味しい。美味しいけど」
「けど?」
「正体を知る前に食べたかった
…
」
「その言葉そっくりそのまま返しとく」
タコの美味しさとタコであることに複雑な表情をしながら咀嚼するライオス。その顔を眺めながらカブルーは稀に成功した意趣返しににんまりと笑いながらゲイザーの目玉フライに手を出した。
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