梶間
2019-08-27 02:18:20
724文字
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首輪をつけた話

びっくりするほど色気も耽美もなくなった。スーパー攻め様みたいなカブルーになるはずがそんなことはなかった。どうしてこうなった。

ライオスに首輪をつけてみた。立派な革製の首輪に大型犬の鎖つきだ。起きたときなどんな顔をするのか楽しみだ。

「カブルー」
「おはようございます」
「おはよう。その、これはいったい」
「似合うと思って」
「あ、ありがとう」

戸惑っているようだったがお礼を言われた。嬉しいには嬉しいらしい。

「犬になれたらいいのにと前に言ってたんで、少しはその気分になれるかと」
「首輪は立派で嬉しいんだが、鎖は少し邪魔じゃないか」
「犬なのに?」
「よく躾られた牧羊犬は鎖なんて必要ない」
「でもここには羊はいないんで、あなたは牧羊犬じゃないんですよ。俺の飼い犬なんで。返事はワンでしょ?」
「犬の鳴き声はワンじゃない、こうやるんだ」
『バウッ!!』

急にめちゃくちゃ上手い犬の鳴き真似をされてびっくりしてしまった。

「上手い……ですね……
「それに犬にはなりたいがやはり俺には無理だ、彼らのように嗅覚も聴覚も良くないし足も速くない。君が評価してくれるのは嬉しいんだが、俺には荷が勝ちすぎる。せいぜい普通の人間として頑張るよ」

そこまで早口でまくし立てられ、本気で犬になれなかったことを残念がっているようだったのでそういうものかと思い鎖を外した。

首輪は本当に気に入ったようで身に付けているところを鏡で確認した後は、外して大事に飾っている。

時折、折につけてはあの首輪が似合う架空の犬の話をしてくる。
あれが似合うとしたら立派な毛並みの犬なんだろうなぁ、色はこうで、尻尾はどうでなど語ってくる。
鳴き声は立派な犬ですよ、と返すと気を良くしているのかバウワウと元気な返事をしてくるようになった。

やっぱ人間じゃなくて犬なんじゃないか、こいつ。