今日の梶間のカブライ
パンジーを育てることにした。アプリコットのパンジー。花言葉は「天真爛漫」。「咲いてる!」って呼びに来たときの笑顔はたしかに天真爛漫だったね。
#今日の二人はなにしてる
https://shindanmaker.com/831289
より
「咲いてる!」
天真爛漫な笑顔とともに伸びやかで賑やかな歌声が響く。
「ほら!カブルー!咲いてる!」
キラキラと輝いた瞳で報告されてもどうしろと。
数週間ほど前、ライオスがサボテンに続いて花を貰ってきた。
村だと花の咲く時期が短くてあまり見る機会がなかったから、とかなんとか言っていたが、そろそろ怪しいものを貰ってきたのではないかと疑った。
花が異様に育つとか変な匂いを出すとか、言い逃れのできない所を抑えたら後で捨てさせようと考えていたら、緊急の依頼が入って長期間留守にしないといけなくなった。
家を出るときとても残念そうな顔をしていたのが居たが、留守の間水やりをしなくてもいい仕組みを作られたりしたら堪らないので、急がないと依頼人に迷惑がかかるから、と急かして出発した。
遠方の遺跡でゴブリン退治のため数週間ほど家を空け、帰ってきたのがついさきほど。
そいういえばあの花はどうしたか、さすがに枯れただろう。枯れているはずだ。二週間以上は水をやっていないのだから、どのような植物であれ枯れているはずだ。枯れろ。
貰ってきた本人も家に近づくにつれ悲しそうな顔になっていたから、生き残っているとは思えない。
勝算があるならもっと呑気な表情をしているはずだ。
次また何か持ち帰ってきたら遠方の依頼を探そうそうしよう。そう思いながら家の扉を開くと、色とりどりの花が咲いていた。
「咲いてる!」
そう言って駆け寄った人間を迎えるように、部屋中に咲いた花は歌うようにざわめいた。
ほら!と嬉しそうに指し示されても何もらってきたんだお前という気持ちしか湧かない。
「なんですかこれ」
「ピクシーが暮らしている里で稀に見られる歌う花なんだけど、近年はアルラウネの幼生体なんじゃないかと研究されている種類なんだ。普段は共生しているピクシーやその土地から魔力を貰って育ち歌うだけなんだけど。誰も花から次に進化するところを確認したことがないのはマンドラゴラのように根が進化するものだからという仮説が」
花は引っこ抜いたら静かになった。
「ああー!」
この後家を徹底的に掃除し、ライオスの首に『私は家に魔物を持ち込み人に迷惑をかけました。反省しています』という看板を下げて玄関前に正座させた。
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