梶間
2019-04-27 16:31:40
660文字
Public チルライ
 

夜明けまでの幕間

2016年くらいにチルライのつもりで書いたものお焚き上げ。食中毒の時寝入るまで見守っててくれてたならいいなーと思い。パーティの頼れる大人として居て欲しさ。

センシと見張りを交代して周囲の音に耳をそばだてていると呻き声が聞こえてきた。
時刻はもう数時間ほどで夜明けになるころだろうか。気を失ってから大分経つのにまだ寄生虫が腹に穴をあけているのが痛むらしい。まったく自業自得だ。
「大丈夫かー」
とりあえず死なない程度か確認だけしとこう。変わらず痛みに呻いているがこちらに気づいてはいるらしく、目線だけ寄越してまた呻く。薄明かりでも分かるほど脂汗が酷い。
「あーあーあー」
汗くらい拭いてやるか。幸いここは湖だ、水はいくらか汲んである。軽く頭と額を拭いてやると少しは気が紛れたのか眉間の皺が少し緩む。
「ばかだよなー、お前」
寄生虫を生食して寄生虫にあたるとか、本当に大バカだと思う。
「チル…………
ふと目を薄く開いたライオスに小さく名前を呼ばれた。
「なんだ、水か?」
ライオスはそれには答えず震える手を伸ばしてくる。
「手を」
握っていてほしい、と吐息まじりに嘆願された。
子どもか。風邪をひいたときや病気のときに心細くなる子どもか、お前は。
そう思って呆れたため息がでるが、その心細さは分からないでもない。すぐに治らない痛みは存外幾つになっても人を不安にさせるものだ。
弱々しく差し伸べられた手をそっと握ってやると、安心したのか目を閉じる。
しばらくすると穏やかな寝息が聴こえてくる。
大分落ち着いてきたようだし、これならマルシルを起こす必要もないだろう。
もう間もなく夜明けになる。センシの方が早く起きるだろうから、それまではこうしてやろうと思い手を握り直した。