梶間
2019-04-20 00:28:39
470文字
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壮大になにも始まらないカブライ

ライオスが迷宮踏破に失敗し罪人として幽閉され、その後迷宮踏破に成功して王になったカブルーがライオスを解放して始まるカブライの冒頭。のみ。山奥で二人暮らしでも始めてくれるんだろうか

目の前の男は浮浪者のようにぼろぼろだ。頬はやせこけ、手入れもされず伸ばしっぱなしの髪はべたついている。服もこの数年変えることを許されず、垢で黒く汚れている。
両腕を壁の鎖に繋がれた男はようやくこちらに気がついたのか微かに顔をあげた。
「気がつきましたか」
ぼそぼそと返事はするが掠れていてよく聞こえない。意識もまだはっきりしていないかと思い、持ってきた手桶の水を男めがけてぶち撒ける。
男は少し咳き込んでいたが、落ち着くとはっきりした声で喋り始めた。
「皆は無事なのか」
「皆ってどちらの皆ですかね。あんたが迷宮から逃がした犯罪者共ならまだ捕まってませんけど」
その言葉を聞くと男はほっとしたように力を抜いて項垂れた。
まったくイライラする。自分がこんな目にあっていても他人の心配だなんて善人がすぎるだろう。少しは喚いて解放を願えばいいのに、この男は閉じ込められてからの数年、一度も自分の願いを要求したことはない。

「ライオス・トーデン」

顔に張り付いた髪の隙間から少しだけヘーゼルの瞳が覗いた。

「本日を持ってお前を釈放する」