草原で読書をしようと言い出したのはどちらだったか。空は晴れわたり良い天気だったので過ごしやすかろうと思い、木陰で先日手に入れた本を読んでいた。
暖かい春の陽光が降り注ぎ、通り抜ける風が心地良くてつい眠くなる。折角の休みなのだから先日市場で入手したものは読み切ってしまいたかった。
ふと隣を見るとライオスも大分眠いようだった。しきりにあくびをして目は半分閉じている。
釣られてあくびをすると、不意に抱きついてきた。
「ちょ、なんですか」
「んー…眠そうだなと思って…」
眠いのはそっちだろうと思ったが、人の体温が思いのほか心地よかったのでつい後ろに倒れこんだ。
「カブルーはがんばっててえらいな…」
揃って寝転んだ後に抱きしめられてなぜか頭を撫でられる。
「すごくえらい…俺に出来ないことができて…俺に付き合ってくれて…毎日誰かのことを考えてて…よしよし…カブルーのそういうところ…俺…すごく…」
突然人の頭を撫でながら褒め始めたかと思うと、最後まで言い切ることなく安らかな寝息が聴こえてくる。
「そうやっていつも子供扱いして」
相変わらず自分のしたいことだけしていく腹いせに、すうすうと呑気に寝息を立てている男の鼻をつまんでやる。
一瞬だけ息苦しそうにしたが、またすぐ安らかな寝息に戻って起きる気配はない。
短い金髪が陽の光をうけて、いつか見かけた小麦畑のように輝いている。
目を縁取る睫毛も金色で、時折動くまぶたに合わせて光っていた。
肌は北国の人間らしく真っ白で透明感がある。頰は暖かい陽気を受けて春の花のように色づいていた。
今は閉じている目も、この太陽の光を受けていたなら同じように黄色く光っていただろう。
久しぶりに誰かと呑気に、穏やかに、そして平和に共寝をする感覚を思い出して力を抜く。
しゃべらず動かず大人しくしていれば端正な顔立ちだな、と思ったが、普段の間抜け面を思い出して余計に眠くなってきた。
今の時間くらいはまぁいいかと自分も目を瞑ることにする。
昼間の子供扱いは甘んじて受けたが、日が暮れた後は覚えていろよと決意を固めながら。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.