家族で海に来た。私は泳ぐのは得意ではなかったし、砂浜で寝そべったり砂をこねたりして遊つもりもない。だから少し離れた場所に一人で歩いて行った。そこは岩場で探せば人間以外の生き物をたくさん見ることができた。
カニや、貝や、ヤドカリ。そしてうねうねと動き回るよくわからない生き物がそこにはいて、運が良ければ小魚を見ることすらできた。
私は一日中、磯で遊び首の後ろの皮が剥けるくらい日焼けした。帽子は顔を日差しから守ってくれるけれど、首の後ろは無防備だったのだ。
真っ赤になって家族の元に帰ったとき、これはひどいと言われた。
そのときの私は何がひどいのかよくわかっていなかったが、ヒリヒリと火傷のように痛むのですぐに理解したし、つばの広い帽子を執拗に勧められる理由も理解した。
次からはおじさんくさいなと思っても、ちゃんと首にタオルを巻いていこうと決意したくらいだ。
しかし次はなかなかやってこなかった。
嵐がやってきてしまったからだ。飛来物を避けて、珍しく雨戸を閉めたくらいだ。
首の後ろを冷やしながら、私は嵐が終わるのを待った。
その間に夏休みを宿題をしたらいいんじゃないかという酷く真っ当な、聞こえないふりをした。しかし、全く手をつけていないことがバレてしまって、私は宿題に向き合わざるを得なくなった。
絵日記に、線をめちゃくちゃに書き殴り、嵐の日と称して一日終わらせた。あとは海とか、海の生き物とか描いておけばいい。海の生き物を描くのは好きだ。棒で突くとしゅっと顔を引っ込めるイソギンチャクは私のお気に入りだ。
ただし毒があるかもしれないから、絶対に自分の手で触ってはいけない。
そう言うことに私は大人よりもずっと詳しい。そして人の話を覚えるよりも、見た元の覚える方がずっと得意だ。嵐の日だって一日中、図鑑に向き合っていられる。だからほとんどの生き物が見ただけで何かわかる。
早く雨が止んで、外に出られるようになって欲しい。雨の後の磯がどうなっているのか見るのは初めてだ。今から楽しみだった。
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