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狛乃
2019-05-31 18:33:49
1208文字
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フレイア小話
…を書いてたけど繋ぎの素材がなくてつんだやつ
スズランの鳴る日に
春うらら。暖かな日差しに迎えられた日曜日。
花々がきれいに飾られた街灯を横に、アトロはベンチに腰掛ける。年に数度、友人の拵えた服で着飾られる羽目になっているが、今日ももれなく。去年と同じ格好を許してもらえる訳もなく、結局新しく仕立てられた服を身に纏っていた。短くした髪について、せっかくアレンジを考えていたのにと小言をいわれるおまけつきだ。
ともあれ悪い気は全くしない。ただほんのすこし、ネクタイが慣れなくて首元が窮屈なくらいだが、これもそのうち慣れるだろう。
ぼんやりと、道を行き交う人々が増えていくのを眺めながらアトロは時間を潰していた。
略
視線に気づいたリナリアが慌てながら服を確かめる。揺れる裾が花のように緩く広がった。
「変じゃないでしょうか
……
」
「ううん、似合ってる
……
その、可愛いと、思う
……
」
だんだんと尻すぼみになってしまう声は、どうにか届いたようで、リナリアは安心したように嬉しそうに表情を和らげた。
略
時たま、同じことを考えていたり、同じことを口にしたりする。おかしくなって笑ってしまうこともしばしばで、加えて最近はなんだかそれが嬉しくもあった。
緩む口元をそのままに、アトロはスズランを受け取り、左胸のポケットにそうっとさした。視線を戻せば、リナリアが大事そうにブローチとならべて胸元を飾っていた。
「頂けると思わなかったので、ふふ、嬉しいです」
耳をぴょこぴょこ動かしながらリナリアは頬を染める。
スズランひとつでここまで喜ばれるとは思っていなかったアトロは、ひとつ思い直したように開いた口を閉じ、笑みで流した。そうして何でもなかったように別の言葉を紡ぐ。
「じゃあ、行こうか」
****
フェスタの空気に舞い上がったらしい。そんな気分のリナリアに手を引かれ、ワルツの中に飛び込んだ。
たどたどしい足取りで慣れないステップを踏んで。足を踏みやしないか肝を冷やしていたのも始めのうちだけ。そんな不器用な様子はお互い様、可笑しいような楽しいような不思議な気分で笑いだす。
繋いだ手の熱は同じだった。
*
日も沈みきって、人波はさらさらとはけていく。去年よりも一日があっという間だった。
預けた荷物を受け取って、灯りの下をのんびり歩いていく。あのお店の小物がかわいかった、掘り出し物の本がまた見つかった、お菓子のおまけをもらった、誰彼とこんな話をした
…
。歩幅にあわせてゆっくりと会話が続く。
初めの街灯にたどり着く。
引き留めたのはアトロだった。
どうせリナリアの家まで送っていくつもりなのだが、彼はそこで少し立ち止まる。右手を後ろに引かれたリナリアは、気づいて一歩先で足を止め「どうかしましたか?」と振り返る。迷うような、それでいて意を決したような顔のアトロと目があった。
「うん、その
…
渡したいものがあって
…
もう少しだけ、いいかな」
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