茜屋(せんや)サナ
2016-11-08 22:15:22
1274文字
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楽しみがあるでしょう?

いいさにぱいの日に捧ぐ。ちっぱいを気にする審神者と、それに付き合う宗三のお話です。

 また発作が起こったな、と宗三左文字は内心で溜め息を吐く。
「ちっぱいなのが気になるから、大きくしたい! 宗三、揉んで!」
「頭大丈夫ですか? 疲れたんですね、ハイハイ。ほら、こちらへどうぞ」
 夜半に突然、審神者が胸が小さいのがコンプレックスなので揉んで大きくしたい、と言い出した。宗三はそれに、現実でも大きい溜め息を吐きながらも了承し、彼女を膝に座らせ、背後から抱き締める。
「急に胸が小さいのが気になる、だなんてどうかしたんですか? いつも胸を張って歩くあなたが」
「う……だって、今日の審神者会議に来てたお姉様方、みんな色っぽくて、胸も大きくて、スタイル良いし……私なんかちんくしゃだし……
「誰の旦那さまがちんくしゃですか? 訂正なさい」
「あだだだだ」
 細く優美でありながらも、武骨さも併せ持つ指が、勢いよく審神者の両頬を引っ張った。
「僕の旦那さまを貶す口はどの口ですか?」
「だだだ……ぎふ! ぎふぁっぷ!」
「岐阜? 魔王がどうかしましたか?」
 くすくすと笑う宗三の両腕を審神者は掴んで、頬をつねるのを止めさせる。
「ねえ、わざとでしょが!」
「はい、わざとです。だって、仕様がないじゃないですか?」
 宗三の人差し指が、審神者の顎をついっと持ち上げた。憂いと甘い絶望を帯びた蒼碧の双眸が、審神者の紅蓮色の目を覗き込む。
「僕の可愛い旦那さまを貶す悪い子には、お仕置きしないと」
「え、ちょ、待て。やっぱなしの方で……
 お仕置きという単語に逃げようとする審神者の腕を、宗三は掴んだ。
「いやですよ、何を今更。据え膳は美味しく頂きますね」
 抵抗する間もなく、審神者は畳みの上にころりと転がされた。
「ああ、これだと頭が辛いですよね」
 そういうと宗三は袈裟を脱いで、審神者の頭の下に差し入れる。一連の動作は、滞りなく滑らかに行われた。
「そういう気遣いは嬉しくない……
「おや、そうですか」
 押し倒されて明後日の方向を見る審神者に構わず、宗三は着物の帯をほどいて、襦袢の下に手を入れる。
「ひゃっ……! 手、冷たいよ」
「すみませんね。身体の中心に触るにしては、温度が低かったようで」
 宗三の手が、審神者の両方の乳房をやんわりと掴む。彼の手にすっぽりと収まってしまうそれは、お世辞にも大きいとは言えなかった。だが、宗三はそんなことには頓着せず、ゆっくりと手を上下に動かす。
「ふ、ぁ……
 吐息を零し、頬を赤らめる審神者は、既に体重を畳に預けて、ぐったりとしていた。
 宗三の手はゆったりと、けれども確実に審神者の身体の熱を高めていく。
「ねえ。僕はけっこう好きですよ、あなたの胸」
「え……?」
 審神者の、身体の奥から沸き起こる熱に潤んだ目に見つめられて、宗三はちいさく身震いした。片方の手を畳につき、身を低くして審神者の耳に、吐息を吹き込むようにして囁く。
「育てる楽しみが、あるでしょう?」
「んっ、ぁ……!」
 ぴくっと身動ぎする審神者に優しく口づけて、宗三は思うままに主を乱した。

〈了〉