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ぶんどき
2023-11-22 13:08:26
973文字
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朝、君のぬくもりを感じる
辜月のN 現行未通過❌ その後の二人の冬の話
夜明けの仄暗い紫色の空が段々と浸食してゆく。ゆったりと流れる薄雲を追うように東の空が白んでゆく。
そんな東京の景色をベランダから眺める。昼間は雑踏に溢れるこの街もこんな時間ともなれば人一人歩いていない。この景色ももう見慣れたものだ。荒廃した京都から保護され東京に移って約一ヶ月。冬独特の冷たい空気が頬を掠めた。起きるには早すぎる時間だ、そろそろ布団に戻ろうか。
寝室に戻れば彼がすやすやと穏やかな寝息を立てて眠っている。少しずれた布団を肩までかけ直し、その隣に体を潜り込ませる。
普段は大人っぽい顔立ちの彼だがこうして見る寝顔はあどけなさを残している。その寝顔にくすりと笑みをこぼす。平和の証だ。
しっかり者の割に寒さに弱い彼は朝、あまりちゃんと起きてこない。結局あの後自分の方が先に目が覚めてしまい彼を起こすことになる。
「いっくん、おはよ。朝だよ」
隣で眠る彼に小さく声をかける。しかし、彼は「ん」と声を漏らしただけで微動だにしなかった。さすが手強い。今度は手を伸ばし、少し体を揺すってみる。すると、一夜は布団の中で身を捩らせたかと思うとおもむろに目を開けた。
「ん
……
れい
……
」
まだ眠いのかぼんやりとした表情で彼は呟く。
「
……
はよ
……
」
「おはよ」
一応会話を試みることはできるが、まだ本格的に起きてはいなさそうだ。もっと陽の光を浴びせた方がいいかもしれない。そう思ってカーテンを開けにいこうとしたとき、不意に腕を掴まれた。ぐい、と引き寄せられる感覚に驚いていると寝ぼけたままの一夜が口を開いた。
「
……
いかないで、れい
……
」
「
……
いっくん
……
?」
思わずそちらを振り返る。腕を掴む力は弱々しく、振り解こうと思えばいつでも振り解けてしまう強さだった。しかも当の本人はまた寝落ちてしまったようだ。しかし、自分は解けずにいた。二年間、彼の声しか聞こえなくて彼の感触しかわからなくて、彼の手料理の味しかわからなくて。今は正常な感覚に戻ったとはいえ、彼は自分の生きる意味そのものだった。
寝ぼけてはいるものの、彼からそんな風に求められたら、離せるわけがなかった。早く起きてやらなければいけない家事もあるのに。朝ご飯も用意しなくちゃいけないのに。
「それはずるいよ、いっくん
……
」
もう少し、寝よっか。
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