ぶんどき
2023-10-26 17:15:21
1243文字
Public TRPG
 

ウサギとキツネとハンバーグ

🦊🐰虹涼の児童書っぽい何か(?)出逢い編

 ここは人間たちが住む街から遠く離れた森の奥。ここではいろんな動物たちが仲良く暮らしています。
 そんな森の中には一軒の小さな洋食屋さんがありました。
 洋食屋さんでは小さなロップイヤーウサギが今日もはりきって料理を作っています。特にお昼時になると小さなお店はお客さんでいっぱいになるのです。
「涼哉くん、注文いいかな?」
「次はこっちをお願いね!」
「は、はい……!」
 涼哉と呼ばれた黒いロップイヤーウサギは慌ただしくぴょこぴょこ駆けていきます。このお店は涼哉がひとりでやっているのでなかなか大変なのです。
 注文を聞いてキッチンに入れば調理に取りかかります。このお店の看板メニューはハンバーグ。生地をこねて形づくり、油をひいたフライパンで焼き上げます。付け合わせのにんじんとじゃがいもも忘れずに。お皿にきれいに盛りつけ、しあげに特製ソースをかければできあがりです。
 さっそくお客さんの元まで持っていくと大きなクマのお客さんは喜びの声をあげました。
「まってたよ、ここのハンバーグ大好きなんだ」
「あ、ありがとうございます……
 その言葉に涼哉は少し恥ずかしそうに長い耳で顔を隠しました。

 そんなこんなで忙しいお昼時が終わり、やっとお店もひと段落。この時間になれば、一旦扉の札を「OPEN」から「CLOSE」にひっくり返します。涼哉のお昼休みでもあり、この時間に賄いを作って食べるのです。
 涼哉は食器を片づけ、ごみをまとめ、外のごみ捨て場まで持っていきます。しかし、いつものごみ捨て場までやってくると、違和感に気がつきます。大きな何かが、ごみ袋をクッションにするようにうち捨てられていたのです。
 おそるおそる近づいてみると、その「何か」は体を起こします。それはふさふさの耳と尻尾を持つ、薄汚れたキツネでした。キツネは鋭い視線を涼哉に向けます。涼哉はこわくなりましたが、足がすくんで逃げられません。
……おなか、すいた」
「なにか、食い物……
 キツネは絞り出すような声でそう言って涼哉を見ました。このままでは自分が食べられてしまう、そう思った涼哉は勇気を出してキツネに話しかけました。
「た、食べ物、なら……俺が何か作りましょうか……? お、俺は、おいしくない、ですから……
 キツネはその言葉に目をぱちくりさせます。
「ほ、本当か?」
 涼哉がこくこくと頷くとキツネはパァっとその顔を輝かせます。恐怖なんて少しも感じないような人懐っこい顔でした。
「それじゃあ、よろしく頼……
 勢いよく立ち上がったキツネは最後まで言い終わらないうちに、ふらりとよろけてその場に倒れてしまいました。
「き、キツネさーん!?」
 突然目の前で倒れてしまったキツネに涼哉がおろおろしていると、彼のお腹から、ぐぅ~、と腹の虫の音がしました。よほどお腹が空いていたのでしょう。
 涼哉は一刻も早く何か食べさせなくては、とキツネをずるずる引きずってお店へと戻っていったのでした。