コウポコ@ Mark.2
2021-03-09 01:08:06
5106文字
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NARUTO×クトゥルフ

Q.なんでクトゥルフ?
A.まったくもって、趣味な組み合わせ

Q.二人はどうなったの?
A.SANチェック失敗

呼び声が聞こえる。
どこからか、はたまた時間と空間を超えて、ただ聞こえる。その呼び声は、酷く寒々しくそれでいて、理解しがたい声。
いや、理解してはいけないのだ。
それを理解すれば、己の正気は保てぬほど、恐ろしい得体のしれないもの。

呼び声が聞こえる。

延々と、深い底から何処ともなく、聞こえる。


まだ、諸国および千手とうちはが争っていた時代。
私が千住側の戦場医にとして活動していた頃の話。場所は海を越え幾多の島々が浮かび、その一つである湿地帯が多く、水の国の境界線の一つに当たる場所。
私は戦場となったその地、戦で犠牲となった小屋の中から奇妙な木像を見つける。丸々とした頭部で、口から幾多もの触手を垂らしずんぐりとふくらんだ胴体は、魚のうろこで覆われている。背には似つかわしくない小さな翼を生やし、手足は獣のカギ爪を生やしている。
一目見た瞬間、ゾワリと背中が冷え得体のしれない恐怖を覚えた。
二つの目の代わりに黒曜石と思わしき鉱物が埋め込まれている。今の時間帯は火元を照らさなければいけない程、暗くじめりとしていた。その黒曜石は、火元の明かりを吸い込みながらも一向に輝かない、気味が悪いの一言に尽きた。
その気味の悪さから、その場を逃げる様に足を踏み出す。すると、ナニカに躓いてしまい、柄にもなく前へと倒れ込んでしまった。手に持っていた火元は小屋の外へと放り出され、視界はほとんど見えない。額と鼻先に痛みを伴いながら、手探りで躓いてしまったナニカを探すそして、見つけた。
厚さと肌触りからして、分厚い巻物だろうか。
再び外へと出て、火元を手に敵の気配を注意し巻物を解いていく。内容としては手記に近い、だが所どころ走り書きのような文字で解読するには些か、ここでは適さない程、達筆であった。
読める範囲まで進めてみる。
どうやら、この地に根付く邪教集団の手記であり、記録。内容としてははるか昔、まだ六道仙人が現れる以前に続いている邪教。水の国より離れそこは未開の地とされるほど未だ、全容の見えない場所に沈む大陸があると言う。その大陸と共に眠りにつく存在あの象が、眠っている。深い底、深海よりも底に沈み未だ眠りから覚めない存在を、邪教集団は呼び起こそうとしているらしい。
手記の一説には、こう書かれてある。

いあ いあ くとぅるふ ふたぐん

ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん

いあ いあ くとぅるふ ふたぐん

「いあ……いあくとぅるふ……くとぅるふ」
ふと、無意識にその場で口草んでいた。
その“くとぅるふ”と呼ばれる存在こそ、あの象であると言う事が解った。この邪教集団はその存在を長きにわたる眠りから解放し、この地はおろかすべての地に災いを振りかけようとしていた。すべての地にこの存在の支配下であることを再度、認識させるために
こみ上げてくる吐き気と、全身に掛け寒気を覚える感覚からようやく最後まで読み抜くと、どっと冷や汗が溢れだした。この手記が本当だとすれば、私はとんでもない事実を知ってしまった。だがあの存在は、本当に存在するのだろうか。
戦場を周りに回って心身ともに、疲弊している為かこの様な世迷言を記した手記に当てられたのだろう。だが、あの像を見た瞬間からひたり、ひたりと忍び寄ってくる得体の知れない感覚は、何なのだろうか。
これが本当なら、あの存在は人の手に余り人を超えた六道仙人ですら、敵わぬ存在だろう。
巻物を読み終えた私は、酷い顔をしているだろう。
生気を吸われたかのようにやけに身体が軽く感じる、散々動き回っている筈なのにお腹が空かない。
食欲が無いのだ。
再び、小屋の中へと入り火元を掲げ全体を見わたす。巻物と像だけかと思ったが、幾つかの古びた書物が残されていた。いけないとは解っているが、私はその書物を幾つか拝借する事にした。直感でこの書籍は大丈夫だ、と言う信憑性の低い勘だけを頼りに、選び抜いた。
そして、私はそのまま小屋を後にした。

私は足取りを早くあの小屋を離れ、千手の野営地へと戻る。
周りの千手の忍たちは、皆疲弊を漂わせている。怪我人が集まる場所へと赴けば、鉄臭さと生臭さ、時には腐敗の匂いも混じり合う何とも鼻が曲がりそうなほど、慣れた臭いがする。
戦続きの中、医療物資も医療忍者の体力も乏しい。
何時まで続くか分からない、終わりが見えない未来に一部の忍、および戦場医たちは暗い顔のまま、絶望を知る。
戦続きで、疲弊する身体に追い打ちをかけるがごとく、致命傷を負う忍びも少なくはない。それ故に、その忍たちの楽になりたいと言う思いを汲み取り、死を望む何人もの忍たちを手に掛けて来たか分からない
因縁が未だ続き、はては諸国のいざこざで多くの人の命が天へと上る。
あの手記を見る限り、そう遠くない未来はきっと、あの存在が眠りから覚める頃には、人はとっくに死に絶えあのくとぅるふの支配は再び、訪れるだろう。

ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん


その日、夢を見た。
薄暗い、光がわずかに分かるくらい暗さだ。僅かに視界に映る足元は、石造りの床で表面はボロボロと崩れており、長い年月を物語っている。また、僅かだがな黒い染みのようなモノが残っている太さからして相当、デカい。
視線の先は依然真っ暗な空間が広がっている。
後ろを振り向いても、同様の暗さだけ。先へ進んでも、前へ進んでも同じだろうそんな楽観的な思いがよぎる。
だが、それと同時にここには来てはいけないと言う思いも強い。私は、意を決し前へと進む事にした。
古い石造りの床だけが視界を映す。
行けども行けども、同じ景色ばかりだしかし、進むにつれて音が聞こえてきた。声と言うのだろうか、だが聞いたことのない声で……耳を塞ぎたくなる。
進むにつれ、その声も大きくなってくる。
気が狂いそうだ、いやもうこれ以上は駄目だ。これ以上進みたくない、進んだら元には戻れない、何だこの得体の知れない声は聞いたことも無い、人や獣はこんな声は出せない。
なんだ、何なのだこの声は?

私は、元来た道背後に向かって走り出した。
声が遠くなるように、そう願いながら走る。だが、声は遠のく事は無かったあろう事か、段々と近づいて来る。
耳を塞いでも、頭から直接声が響いている。
忍び寄る恐怖が近づいて来る、逃げないと前へ後ろへと進んでもあの声は遠のく事は無い、近づくだけだ。何でこうなったのだろうか、あの像を目の辺りにした事か、それとも書籍を盗んだことで罰が当たったのか。
いずれにせよ、もうとっくに私の運命は決められてしまったのだ。
そう覚悟と諦めが同時に来た瞬間、淡い光と温かさを覚えた。瞬間、視界は一気に白くなり二つの黒い瞳中には緑の炎が燃え盛っている。自然と、あの声は聞こえなくなり、代わりに低い男の声が語りかけてきた。

深き底を覗くなれば、己を見られる事を覚悟せよ』

『いずれにせよ、かの地は浮上の時を迎える。己の定め、如何する?』

『己が望むなれば、我<ゔぉるゔぁとす>が智見を授けん』

声は聞こえなくなり、意識が浮上する感覚を覚えた。暗がりだった視界に光が照らし、次第に視界いっぱいが真っ白と成った。
……声が聞こえる、あの声が、ハッキリと聞こえた。


時は過ぎ、何度目かの千手とうちはの衝突。
戦場となった地は、人と人の塊粉塵を巻き上げ、大地を鳴らし燃え盛る炎の黒煙が天へと上る。
人の怨嗟、悲鳴、叫びがあちこちで反響を繰り返している。
引っ切り無しで手負い、重傷の忍が運び込まれていく。傷が浅い者も居れば、手の施しようがない者、殆どが今の物資やチャクラで治せることが出来ない程、重傷を負ったものばかり。
あぁ、いつまで続く
中には子供の姿もあるまだ、未来のある子どもがその命を尽きようとしている。

いつまで、続く?

呆れるくらいに、どうしようもない。
そんな諦めの境地と共に、ひたりと忍び寄ってくる得体の知れない感覚。あの日、あの小屋で見つけてしまったあの像が、近づいて来る。あのくとぅるふが、この戦の血を贄に、眠りから覚めようとしている。
何を馬鹿な、自分でもホトホト呆れるそんな事が起きるわけが無いだろう。私は、とっくに気が狂っているのだろう。こんな世迷言を思い起こさせるのだから、きっと私は、気狂いだ。

呼び声が聞こえる」

それは何処ともなく、聞こえる。
それは人の声ではない、獣でもない、鳥ですらも無い。

私が知る限り、この地に生きる存在とはかけ離れ未知の声。深い底から、ジワリと湧き上がり、ようやく聞こえるくらいの声。脳が、意思ですらその声を、聞きたくないと言う拒絶反応を思い起こさせる。
得体の知れない、名や言葉に表せられない。
……あの夢の声だ。

「いあ いあ くとぅるふ ふたぐん」

どこからか、人の声が聞こえた。
声の方へ振り向くと、戦場医の一人が虚ろな目をしながらだらりと、口を開けポツリ、ポツリとその言葉を呟いている。
「偉大なるくとぅるふ様に……良き、供物を」
瞬間、戦場医は印を結びこの場に居る私はおろか、けが人や医療忍者までも巻き込むような遁術を、発動させた。水遁、だろうか地面からめくりあがるように滑り気のある無数の触手が湧き上がると、獲物を掴み振り回し、幾度と地面の叩きつけたりとやりたい放題だ。
触手によって叩きつけられた血肉と骨の欠片、臓器と脳の一部が辺りに巻き散らかされる。
私は、忍者に対し戦う術もないこの場は危険だ。
私は無我夢中で、その場を離れた背後から聞こえる悲鳴が張り付く。その張り付いた悲鳴が、足取りを遅くさせようとする
草履が擦り切れ、剥き出しとなった裸足で走った。アレを、柱間さまたちに知らせなければいけない。このままでは、アレの餌食と成り皆無駄死にするそんな思いを抱え、全身を無理やり動かした。
砂利が足裏に突き刺さり後ろでは血の跡が点々と続いているだろう。
振りかえらず、ただ頭領たちの戦う戦場へと向かい走っていく。
ようやく目の前に二つの影が衝突している。副将である、千手扉間さまと因縁とされるうちはイズナが戦っていた。

「戦を、戦をおやめください!!!」

「この地から、離れてください!両者とも、早く離れてください!!」

無我夢中で叫んだ。
後ろから、あの忌まわしい声が聞こえる。ひたり、ひたりとこちらに近づいて来る。
「扉間さま!イズナさま!早く、両者ともにこの地から離れてくださ」
ズグリ、と胸心臓に鈍い色を放つナニカが突き刺さっている。口いっぱいに鉄の味が広がり、赤い血が噴き出る。あぁ、解っているこういった結果が目に見えている事ぐらい、解っているだが、今はそうじゃないのだ。
「はは、千手の戦場医討ち……は」
「後ろ、から化け物が、来ます。早く、早く逃げて」
「なんだよ、アレ」
「はぁ」
「はやく」
心臓を一突きだ、もうじき私は死ぬだが、せめて二人だけでも逃さなければ。
無理やり後ろへと後ずさり、刃を抜き胸から溢れ出る血を手で押さえ後ろを向いた。そこにはあの戦場医の成れの果てが迫っていた。
口から無数の触手が蠢き、血管が浮き出るほど肥大した身体。虚ろな目は何処へ向けるでもなく、瞳孔を開いており手足は獣のカギ爪を模っている。あの像と似たような身体になっていた、依り代と成ったか定かではないが、いずれにせよ時間が無い。
「はやくはやく!」
二人はその光景に釘づけと成り、固まっている
一向に、動く気配がない。もう、どうしようもないのか?

終わり、なのか?

まだ、何かあるはずだあの手記には、何があった。なにが書いてあった?走り書きでもいい、何かを思い出せ。

「いあ いあ ゔぉるゔぁとす ふたぐん」

無意識に、口からこぼれ出る言葉。
瞬間、喉が焼けるように熱い。あぁ、アァ思考が回らない……これがコレが人を超えた存在を降ろすための、代償か。喉が焼け、身体中も酷く熱く、息が出来ず苦しい、熱い、痛い。それの繰り返しだ、気が狂いそうになる。
知るべきでは無かった、けどもう遅いのだ。

最後に、見たのは淡い炎を纏った人の形をしたナニカであった。