ダベミ
2021-01-30 17:58:06
14062文字
Public
 

【FGO風】幕間/ありがとう、って伝えたくて

単体では本当に意味不明な二次創作なので、必ず!以前投稿された『熱帯流水楽園 としまえん』から読んでください。多分石だけもらえるクエスト。半分くらい書き直しました。

───ノウム・カルデア/自室



コンコン

【はーい】 →【開いてるよ】

??「……悪い、入るぞ」

プシュゥゥゥゥ………

【としまえん!】 →【平……なんとかさん!】

従業員「なんだよ、その微妙なぼかし方は……もうはっきり言ってくれて構わないんだけど」

従業員「あ?そっちが構う?じゃあまあ仕方ないか」

従業員「それより、お客様(マスター)。来園してもらう身の俺から来てごめん」

従業員「突然で悪いんだけど……

従業員「ちょっとだけ匿ってくれ!」

【!?】

従業員「説明してる時間は無いんだよ、マジで頼む!」

【なになに!?】 →【どういうこと!?】

従業員「とにかく……

こんこんこん

【今度は何!?】

従業員「! もう追いつかれたのか……

従業員「お客様(マスター)、適当にあしらってくれ。頼んだからな」


プシュゥゥゥゥ………


ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ「トナカイさん!!!!!」


【はい!?】


JDASL「ここに金色のお兄さんは来ませんでしたか?」

JDASL「髪の毛も、見た目も金色で、ぴっかぴかの!」

(……金色の……お兄さん?)

(言われていることが良く分からない。彼女にとしまえんが追われているなんて……金時たちと見間違えているのだろうか?)

(………)ちらっ

従業員(……!!) 懇願の表情


→【見てないよ】 【来てないよ】

JDASL「ええっ!?絶対こちらの方に行ったと思ったのに……

JDASL「トナカイさん、聞いてください。金色でキラキラした、見たこともない英霊のお兄さんが現れたんです!」

JDASL「その人は、なんでも木馬の宝具を持っているらしくて……

(木馬の、宝具)

(オデュッセウスは……あれ木馬に数えるのかな、いや、一応『トロイの木馬』だけども……)

(マリーは馬だけどあれガラスだしなぁ、木馬……?)

(一人だけ、該当する気がした。しかし、それは金髪なんかじゃなかったはずだし……)

JDASL「しかもそれが、何頭もいるんですよ!すばらしいです!遊びたいです!」

JDASL「きっとその馬を借りれば、今年はもっとたくさんプレゼントを配ることができます。今年のサンタさんにも、貸し出して貰おうと思ったんです!」

JDASL「だけど肝心のそのお兄さんがどこかに行ってしまって……


すっ……

JDASL「?」

従業員「あー、お嬢様。ここにゃあね、そんなやつは来てないんだ」

JDASL「本当ですか?どこに行ったか、分かりますか?」

従業員「もちろんだとも。この部屋よりもずっとずっと奥の方さ」

【語り口が……】 →【キャラ入ってる……

従業員「サンタ・リリィ。君の願いを叶えたかったそいつは、けれど、木馬には手伝いができないことに気付いてしまったんだ」

JDASL「ど、どうしてですか!?」

従業員「だって───」


    ・・・・・・・・・・・・・
従業員「木馬が濡れちゃうじゃないか。」


JDASL「……? 普通、木馬は濡れないように何か塗られているのでは……

従業員「とにかく、そういう理由だ。さあ、この部屋からは出ていこうね」

JDASL「ところであなたは誰なんですか、おじさん!」

従業員「おじっ……、いいから出ていこうね」ぐいぐい

JDASL「トナカイさん!このダンディな男性は一体……!」

従業員「出ようね!おじさん、マスターと話があるからね!」

JDASL「ちょ、トナカイさ───」


プシュゥゥゥゥ………ばたん


従業員「……あ”ー……疲れた……

【お疲れ様】

従業員「ああ、うん、助かった。ありがとう、お客様(マスター)」

【ところで】 →【金髪とは】

従業員「金髪は金髪だよ。そのままの意味で……

従業員「……ん?あれ、まだ見せてなかったっけ?」

従業員「そう、まだ見てない。そっか。じゃあ見せる必要がありそうだな」

キィィンッッッ……!

【霊基再臨!?】


シュオオオオオ…………


金髪の青年「………

→【えーーー!?】 【同一人物……?】

金髪「……マスター。こちらの姿は、ハジメマシテだよね。」

金髪「信じてくれよ、僕さ。そう、君と契約した、英霊【としまえん】だ」

(真顔の男はそう言った。よくよく聞けば、声が似ていないこともない、ような気がする)

(これが、としまえんの真の姿、なのだろうか……)

(それにしても、この人、どこかで……記憶の片隅で見たことがあるような、無いような……?)

金髪「全然面影もない?それとも、君にとっても何か縁のある姿なのかな……うーん」

金髪「まあ、いいか。僕は正真正銘としまえん」

金髪「いつもの、あのちょっと分厚い【芸人(カレ)】とも、愛想はあまりよくない帽子の【従業員(カレ)】とも、同じ霊基だよ」

【爽やかすぎる】

金髪「はは、そんなに驚かないでくれよ。僕は、そう。形無き存在であるがゆえに、どんな姿だって取れるんだ」

金髪「ほら、前にあの子が、【剣士の末席の彼】が言ってたでしょ?」

───『【としまえん】すよ』
───『アンタは夏の概念、夢の化身。水と緑の遊園地……【としまえん】の、人々の願いと希望が、形を作って人になった姿なんすよ』

【兵庫さんが】 →【言ってた!】

金髪「概念であるが故に、化身であるが故に。本来の【僕】は不定形なんだ」

金髪「そして、その本来の力を取り戻した僕は様々な制約から開放される」

金髪「うーん、黒髪の彼はリミッターみたいなものだね。普段のあの姿は、呪いとも、制御装置とも思ってくれていい」

───『俺が、俺自身が、としまえんなんだ』


【どういうこと?】

金髪「……英霊【としまえん】を構成する要素は複数ある。」

金髪「としまえんという土地そのもの、設置された数々の遊具、それらに付随した人々の思い出、遊具へ霊脈を経由して蓄積された魔力、歴史に積み重ねられた記録や記憶」

金髪「としまえんという存在そのものに集められた愛情。それから、【彼(おれ)】の、魂を焦がすような情熱と、【呪詛のような宣言】」

金髪「普段の【俺】ならその一部分……彼の部分に限定しつつとしまえんという概念を形成できるんだけど、今の【僕】はそうは行かない」

金髪「そもそも、当たり前だけど、僕自身がとしまえんなんだから。無形物が現界する稀有な例のひとつ、英霊として成り立つための情報を収拾選択出来ないのさ」

【なんか難しいな……

金髪「そう。僕自身、存在を維持することも難しい。不定であることが、自分の境界を曖昧にしてしまう」

金髪「人のカタチを得て現界したはずなのに、うまくやらないと【遊園地の概念が人のカタチを取る矛盾】に自壊してしまう」

金髪「常に頭の中に色んな言葉が、考えが飛び交う。それは果たして、僕なのか俺なのか、それとも別の誰かなのか、それさえも僕自身に判断ができない」

金髪「けれどそれが【としまえんの概念】と言うものだ。分からないなら、分からないままでいいよ」

金髪「聖杯からの知識共有も上手く行っていない。もしかしたら僕が英霊として成立するために犠牲にしたものがあるのかもしれないし、ないのかもしれない」

金髪「それが例えば、【オリジナルの彼】の知識であったりとか、細かい部分なのかもしれない」

金髪「自分自身でもよく掴めていないし、あまり長時間この姿だと混乱が激しくなる。俺は誰だ、私は何のためにここに呼ばれたのか、と───」

シュオオオオオ…………

従業員「………

【戻った!?】

従業員「……普段会話する分には、こっちの方が互いに楽、だと思うぜ。あのカッコだとさ、頭ン中ぐっちゃぐちゃになっちゃって」

従業員「こっちは、まぁ……呪いみたいなもんだけど、呪いだからこそ、この姿にしかなれない、っていう……条件?みたいなのがあるじゃん」

従業員「だから頭も混乱しないし、情報で頭が埋められることもない。枠組みが作られてるから、中身が漏れない……みたいなもんか」

【めっちゃ複雑】 →【すごい不思議】

従業員「俺も不思議で仕方がないよ。なんで俺、こんなめんどくさいことんなってんの?」

従業員「もう一層、【この姿】じゃなけりゃ楽になるのかねえ」

従業員「不定っつう位だからもっと色んなカッコになれてもいいじゃんねえ」

→【女の子になる?】 【ちびっこになる?】

従業員「……お前、俺に女になってもらって嬉しいかね?見た目女でも、霊基(なかみ)一緒だぞ」

【嬉しい】

従業員「……俺以外には絶対言うなよ、そんなこと。世間一般じゃそういうの、変態って言うんだぜ」

【それにしても】

従業員「……言いたいことはわかってるよ。あの金髪の人も、どっかで見たことあるんだろ」

(こくん、と頷く。恐らくはとしまえんに縁のある人間なんだろう)

(けれどなぜだか、誰かは思い出せなかった)

(……としまえんを見る。切れ長の細い目が俺を捉えた)

従業員「あの姿は……まあ、あれもシンボルみたいなもんだよ。有名な人だ」

従業員「そう、俺なんかより有名で、俺なんかよりももっと深くとしまえんに関わっている」

従業員「まさかあの姿になるとは、いやいや……俺が一番ビビってんだって」

【それでどうして】

【金髪の霊基で追いかけられてたの?】

従業員「……あー……それにはちょっとしたワケがあってだな……






◆回想



従業員「カルデア、ねえ。どんなもんかと思ったら、海の中に隠れてやがると来た」

従業員「秘密基地。男のロマンと憧れ。テンション上がるな〜、テーマパークに来たみたいだぜ。まぁ俺がテーマパークなんですけどね」

従業員「……誰に説明してんだべ」

少年「……? あら?みないかお、だね」

従業員「うおっ!……子供?いや……

少年「あー、ゆー、さーゔぁんと?」

従業員「いかにも。遊園地のサーヴァント。ライダー、【としまえん】。君は?」

少年「ぼくは、【ボイジャー】。ずぅっと、ずーっとずーっととおくから、きみたちをみているよ」

従業員「ボイジャー、って……あの、ボイジャー?」

ボイジャー「ゆうえんち……むけいぶつの、サーヴァント?ぼくと、おなじだ」

従業員「すっげ……はぁ、同じだねえ。条件次第では、お前もサーヴァントとして成立すんのかい」

ボイジャー「ぼくも、びっくりさ。ここにきて、こうなったけれど……ひとのかたちをするのって、とってもおもしろいんだね」

従業員「しっかし、色んなサーヴァントがいんのね。何でもありかよ」

ボイジャー「あなたも、ひとり?」

従業員「……ん?」

ボイジャー「……? ああ、そっか。ひとりじゃないんだ」

従業員「一人だけど……?」

ボイジャー「ううん、そうじゃなくって。あなたには、もう【ともだち】がいるんだね」

従業員「友達?いや、そんな大層なもんは……



??「───ちょっ、そこ邪魔!廊下でなにやってんだよぉ!」



従業員「ん?あ、」

酒井兵庫「………あー、なんだ平子さんか」

従業員「なんだって何だよ、なんだって」

酒井「や、それはあれじゃないすか、言葉のアヤ?っつーか……

従業員「言葉の綾で俺のこと「ああ、なんだぁ」って言うのか、お前は」

酒井「言うじゃん!たまには言うよ!」

従業員「なんかあれだろ、俺の方が年上……なんでしょ?その先輩に対して、なんだぁとか、そういう感じでやってたのか」

酒井「……そりゃたまにやってましたよ、アンタが!めんどくさいから!」

ボイジャー「ふふ。ふたりは、とおいとおい、うみのむこうから、いっしょにきたんだね」

AP「「なんでこんなやつと!!」」

従業員「………あ?」

酒井「いや、これは!勢いじゃんか!」

ボイジャー「ともだちがいるってことは、とってもいいことだよ」

酒井「そうかなぁ……俺ァ、正直ヤですけどね。こんなとこでまでアンタの面倒見なきゃなんねえの」

従業員「……何?」

ボイジャー「だめだよう。ともだちは、たいせつにしなきゃ、だめじゃないかしら?」

従業員「こいつを〜?」

酒井「仲良くねぇ。仲良く……まぁ、前と変わらずってことすよね。マジでやだわー」

従業員「どんだけ嫌なんだよ。じゃあいいよ、いい、いいもう、そんなヤダなら向こう行け」

酒井「そうさしてもらいますよ!ったく……

ぴたっ

従業員「?」

酒井「……あ。そうだ。俺、遊園地のアンタに聞きたいことあったんだ」

従業員「何。変なことだったらぶっ叩くぞ」

酒井「暴力反対!……や。違うの。聞きたいんだよ」

酒井「アンタあれでしょ、プール出せるって聞きましたよ?あれ、ほんとすか?」

従業員「なにそれ。つうか誰から聞いたんだ」

酒井「え?風のうわさ?」

従業員「………

酒井「ほら、前のね?前の時はバタバタしてましたし、全然プールで泳いでねえのよ。そしたら、アンタがプール出せるって聞いたから」

酒井「いいなぁ、プール遊びてえなぁーって思って」

従業員「………………

ボイジャー「プールをだす?プールを、このせかいに、じったいかさせられるってこと?それって、とってもすごいことじゃないかしら」

ボイジャー「ぼくも、いってみたいなあ、プール」

酒井「ほらー!こうやってプールを渇望する街の声がね!」

ボイジャー「まちの……?」

従業員「そいつ、宇宙船だぞ」

酒井「アンタは遊園地でしょ。あんま変わんねえよ」

従業員「変わんねえかぁ」

ボイジャー「ふふっ。かわんねえよ」

従業員「!! 真似た!!言葉遣い、気ぃつけよ……

酒井「で、実際どうなんすか。出せんの、出せないの?」

従業員「いやー、出せるけど……あれ疲れんだよなぁ。めっちゃ疲れんの」

従業員「それに……あんま安定しねえんだよ……、なんつうか、『この霊基』だと」

酒井「……は。なにそれ。」

ボイジャー「ああ、そうか。きみには、『道』がたくさんあるんだね」

酒井「道……?」

ボイジャー「かのうせいの『道』。ひとの、かのうせいの『道』だよ。としまえん、きみはたくさんの『道』があるんだね」

従業員「まあ……うん、そういうこと」

酒井「や、それじゃわかんねえよ」

従業員「霊基、再臨、つったっけ?英霊の器に、シミュレーターで回収した種火……魔力を凝縮した、なんかわかんねえやつをもらうと、姿が変わるアレ」

酒井「そうすね。人によっちゃ衣装変わるくらいですけど……遊園地のアンタは見た目だけじゃなくて中身も変わってるみたいすね?」

従業員「実際そうなのよ。」

酒井「……へ?」

従業員「俺の霊基ってやつはどうやら3パターンあるらしい。遊園地の従業員、今の俺と、もうひとつ」

従業員「んで。こっからややこしいんだけど……その、どうも俺の状態では、土地の力ってのは完璧に引き出せないらしい」

ボイジャー「れいきのせいちょうとは、またわけがちがうのかな?」

従業員「成長っちゃ成長なのかもしんないね」

酒井「……そっちの方が、よりとしまえんに馴染んでるとか、そういうことすか?姿形で出力変わんなら、多分そういうことでしょ」

従業員「多分な。つってもあの人の中身を連れてこれたわけじゃない。空の容器だ。見た目だけで、無意味かもしれない」

従業員「……ただ。俺という足かせが無くなる分、より円滑に魔力を出力出来るのはもう一つの姿の方だ。と思う。多分。おそらく。」

酒井「なんでそんな自信無いのよ」

従業員「で。お前の言ってた、プール。確かに出せる」

酒井「お!」

従業員「英霊のとしまえんを英霊たらしめている、夢の顕在化……宝具【水と緑の遊園地(レガシー・アトラクション)】。これを使えば、プールを再現できる」

酒井「噂はガチだった、と」

ボイジャー「きみは、きみでいるために、ひつようなちからをつかえるんだね」

従業員「問題は、この出力が得意なのが俺じゃなくて【もう一つの姿】ってことだ」

酒井「は。やればよくない?そんな出来ねえの?」

従業員「出来るわけねえだろ。俺みたいに個人の人格が残ってるわけじゃないんだって」

ボイジャー「きみという『姿』は、ちゃんと聖杯にみとめられて、ここにきているんだものね」

ボイジャー「そうじゃないかっこうは、じぶんでもなんともできないかもしれない」

酒井「ええー?そういうもん?」

従業員「例えるなら思いっきり捻った蛇口に繋いだホースって、さきっぽが暴れるでしょ?水が勢い強すぎて。そんな風になっちゃうんだって」

酒井「んだよ、出来ねえんかい」

従業員「……お前さあ。話、聞いてた?だから」

酒井「マジガッカリだわ。なーんだよ、結構期待したのに出来ねえとかさぁ」

酒井「はぁー……プール、行けると思ったから結構楽しみにしてたのになぁ……

従業員「………

酒井「ほんと、アンタはどこでも、どんな形でもアンタすね。デカいけど先輩に麩菓子って言われたまんまだよマジでさぁ」

酒井「ガッカリですよ。やっぱ見掛け倒しにも程があんだよなぁ」

従業員「言いすぎじゃない!?」

酒井「だって。出来ないんでしょ?」

従業員「〜〜〜ッ、出来なくはない、けど……!」

酒井「やんの?やんねえの?」

従業員「あれはマジで疲れるから……



酒井「見た目はこんなにデカくて厳ついのに、中身はポンコツすね(笑)」



従業員「野郎!やってやろうじゃねえか!!」

ボイジャー「おおー」

酒井「やるんすね?」

従業員「見せてやるよ、俺の!【もうひとつの霊基】!」


シュオオオオオ…………


金髪「………

ボイジャー「すがたが、かわったね」

酒井「いや、だけど……これって……





金髪「………

酒井「これ、は……なんだ、なんなんだ?」

酒井「金髪?俺も知らねえ人……いや、知ってる人かもしんねえけど、だけど」

ボイジャー「? おにいさん、どうしたの?」

酒井「───誰だよ、アンタ」

金髪「……何言ってるんだい?君が望んだんだ」

ボイジャー「しゃべった」

酒井「喋るでしょ、そりゃ」

金髪「夢の具現化、希望の結晶。夏の概念、僕は、僕こそが───」

金髪「概念英霊、【としまえん】」

ボイジャー「ぼくも、たびのとちゅうだけれど。きみは……たびをおえてしまったんだね。だから、こうして、いろんなえんをたどって、ここにきた」

ボイジャー「きみのたびのおわりが、ここだったことは、もしかしたら───」

酒井「や。ちょい待ち」

ボイジャー「? なあに?」

酒井「なんか、様子が……

金髪「ん?様子がおかしい?そんなことはないさ」

金髪「だって俺が、としまえんなんだから。……いや、そうだ、そうだよな」

金髪「だめだ、自分を定義付けないと、壊れてしまう、分からなくなってしまう。違うんだ、僕が……

酒井「ちょ、あの……?」

金髪「空間認識、固定……結界を……

金髪「そう、ここが、こここそが僕なんだ。人々の笑顔と、夢のために。───開園しよう」


  レガシー・アトラクション
金髪「【水と緑の遊園地】」

酒井「っ、まぶし……!」


パアアアアアアッッ


酒井「……あ?ここ……って、カルデア、じゃねえの?」

酒井「や、違ぇか。これがアンタの宝具……!」

酒井「……すっげぇ。どっからどうみても、ここって!としまえん!?」きょろきょろ

ボイジャー「そう。これが、【君】なんだね。あえてうれしいよ、としまえん」

金髪「……ああ、うん、僕も嬉しい。君に会えたことを、光栄に思うよ」

酒井「うわー、あっちにあんのがプールか!」

金髪「どうです、お客様?貴方のために開かれた世界は、きらきら輝くプールは」

酒井「だーい好き♡」


どたどたどた……


酒井「……?」

ボイジャー「そっか。きみは、げんていてきに、このほうぐをつかったけれど」

ボイジャー「みんなにもみえているんだ」


JDASL「すごい……!あの時のプールです、間違いありません!」

ジャック「わあ、すごい!すごい!またあのプールだよ!」

バニヤン「えへへ……みんなで遊べるね、嬉しいなぁ」

ナーサリー「ざぶざぶ、ぴちゃぴちゃ。夏が来た音、水の音!ああ、楽しいわ、すっごく楽しいわ!」

アビー「本当!?せっかく水着を頂いたんだもの、泳がないともったいない!」


金髪「!? お子様サーヴァント軍団!?」

酒井「どっからきたん!?」

ボイジャー「えまーじぇんしー。だって、ここはてんもんだいでもあり、【としまえん】でもあるんだから」

ボイジャー「みんな、きがるにこれてしまうよ」

ボイジャー「ぼくのたびほど、むずかしくはないとおもうなぁ」

酒井「……あー。そういう?」


アビー「おじさま。私も、あの流れる水の流れに乗っていい?」

ざばざばざば

柳生「流れても我が心は不動」

酒井「もう流れてんじゃん、つか誰おっさん!?」

ボイジャー「たいすいせいがあれば、おぼれないですむかしら」

酒井「心配そこかい!?」

JDASL「そうだ。お馬さん。馬が、いるはずです。宝具の馬が!」

ナーサリー「頭を上げて、進んで下げて、くるりくるりと回るのね。回転木馬、私達を輝かせる木馬!」

金髪「マジか。初めてでここまで騒がしいとは思ってなかった……

エレシュキガル(実は私も楽しみたい、だなんて言えるはずがないのだわ……)

ボイジャー「すっごく、たのしそうだね。きみは、はいらないの?」

エレシュキガル「わ、私は冥界の番人。こんな遊びに心を許してはいけないのだわ!」

柳生「次は馬と。かるーせる、と言ったか。回る木造りの馬とは、面白い遊具があるものだ」

酒井「俺もはーいろっと」じゃぽ

酒井「……ヒィィィ!つめてぇぇぇぇ!!」

ボイジャー「そのわりには、すっごいわらっている。なにか、おもいだしたのかな」

金髪「だめだ、これ以上騒がしくなると、自分が保てなくなる……!」

金髪「おれは、俺が、俺こそは……うう、ああああ……

酒井「は?ちょっ、としまえんさん───」


シュンッ!!!(閉園)


柳生「………

エレシュキガル「………

ジャック「あーあ。水がなくなっちゃった」

こっそり入ろうとしていたダヴィンチちゃん「………オーバーフローしたのかな?なんにしても、ひとまず彼の様子が心配だな」

プールに入れなかったダヴィンチちゃん「それにしても……突然こちら側が光ったから何かと思ったら。今後この宝具は控えて貰わなきゃダメだねぇ?」

酒井「消えちゃった……つか、あれ?としまえんさんは?」

ボイジャー「にげたねえ」

酒井「逃げたんかい」

ボイジャー「こわれてしまいそうだったから、あのひと」

酒井「……?」

ジャック「探そう、あの金色の人。そして、」

JDASL「ええ。プールと、そして木馬を!」

アビー「協力するわ。絶対に泳ぐんだから」

ナーサリー「ハイドアンドシーク、別な遊びを提供するだなんて!」

どたどたどたどたどた……


従業員「やっべ、めっちゃ探されてんじゃん」


◆回想おわり


従業員「ということがありまして」

【自業自得すぎた】

従業員「そう言うなよ、お客様(マスター)。俺だってこんなことになるなんて、思ってなかったんだからさ……

従業員「……それに。」

【それに?】

従業員「あの人の、思いが。記憶が。残ってりゃいいなと思ったけど……そう上手く行かねえもんだね」





従業員「俺よりも詳しい、あの人が。人格の一部でも残ってりゃ良かったのに。……俺ではもう、名前も呼べない人だ」

従業員「それでも、なにかが。記憶に、記録に残ってんのかって。トレースされてんじゃねえかって、そう思ったんだけどな」

従業員「仕方ないっちゃ仕方ない、当たり前っちゃ当たり前なんだよなぁ。はぁ……

【その金髪の姿に】

従業員「……ん?」

【何か思うところがあるの?】

従業員「……まあ、ちょっとだけな」

【彼の方が詳しい?】 →【彼の方が相応しい?】

従業員「そう思うよ。俺なんかより、ずっとずっと適任だろうさ」

従業員「………その、」

従業員「酒井からどこまで聞いたかわかんないけど。俺は……

従業員「ああ、俺はって言うとなんか変か?俺の元になった人は?俺のオリジナルは……

従業員「……としまえんからちょっと離れた場所の出身でね。ずっと一緒にいたわけじゃないんだよ」

従業員「だから長いこと通ってたとか、そういうんじゃなくって。金髪のあの人は、そういう意味じゃ俺なんかよりも、よっぽど深くとしまえんに紐付いてる」

従業員「深くとしまえんを知り、愛している」

従業員「……俺なんかよりずっとずっと、向いてる人だよ。」

【向き不向きは分かんないけどさ】

従業員「……うん」

【貴方は貴方だよ】

従業員「あ?」


→【愛に順位はないはず】 【貴方も愛しているはず】


従業員「……そう……だな。そう言われると確かに、そうだけども」

従業員「俺の愛を認めてくれるのかい。俺自身がこんなに後ろ向きだったのに」

(……頷く。肯定するように)

(だって、君はとしまえんじゃないか、と)

従業員「……ありがとう、マスター。」

【どういたしまして】

従業員「とにかく。あの金髪の姿は、いろんな情報が行き交う。故に、今話ししてる【俺】とはまた違うものだと捉えてほしい」

従業員「……もう少し霊基が鍛えられりゃあ。あるいは、聖杯から本来受け取るはずだった知識とか、能力がありゃあもうちょっと制御できんのかもだけど」

従業員「今はまだ、すまんが力及ばずだ。何かきっかけがあれば……


【サンタ・リリィー?】 →【酒井ちゃーん】


従業員「呼ぶな呼ぶな、あいつを。いつかの意趣返しのつもりか?何するつもりだよ」

従業員「お前は修行とかしてえのかもしんないけど、あいつ、絶対俺を育てる気ぃないじゃん。俺で遊ぼうとしてんじゃん!」

従業員「わかってんだぜ、持ってくんだろ。変な汁垂れてる魚とか、ふわっふわの犬とか!カニとかウニとか!」

従業員「俺動物ダメだから!ギリ柴犬なんだよ!でけえ動物連れてくんなよ!?」

従業員「……まあ。とにかく、俺に力が付くのを待ってくれりゃ助かるよ、マスター。【お客様(きゃく)】としてじゃなく、【経営者(マスター)】としてね」

(その言葉に再び頷く。そして、誓う)

(もちろんだよ、としまえん、と)





☆おまけ サーヴァントデータ:としまえん

「福島のライダー、ねえ。ところで、俺はなんでこんな名前で来てんのよ。あ、もしかしてハワイアンズって可能性もあったのかな?……知らない?オメェらが知らなかったら俺も知らねえよ」
人々を見守り続けた、歴史ある地。その願いは概念として成立し、やがて人々の前に現れるだろう。あなたに、誰かに、夢と希望を与えるために。

ステータス
筋力:B+/耐久:Ex/敏捷:B/魔力:C/幸運:D/宝具:A+++
身長/体重:不定(182cm/95kg)
出典:史実
地域:日本/東京(福島)
属性:秩序・善
性別:不定(この状態では男性にしかならない)
とある言葉に縛られた、悲しくも美しい姿。ウェーブがかった髪型はパーマをかけているらしい。一説には愛の伝道師とも、或いはただの性獣とも。

真名:としまえん。
としまえんとは、1927年にオープンし、94年間営業していた、東京都練馬区に存在していた遊園地である。日本でも最古のレベルに値する遊園地であり、世界初・日本初のアトラクションが数多く存在していた。
またの名を【水と緑の遊園地】と言い、ソメイヨシノを代表とした自然が園内に残っているのが特徴である。そして、世界初となる『流れるプール』を含んだ広大な屋外プール施設を有しており、夏はプール・冬は釣り堀として活用されていたようだ。
遊具の中で最も有名なのは、現存する遊具機械としては日本最古、世界的に見ても最古の部類に入るメリーゴーランド、【カルーセル・エルドラド】。その製造は1907年で、2020年8月末の閉園まで現役で稼働していたというから驚きである。
大震災の教訓として都がその広大な土地に着目し、避難所とするための大型公園を作るために閉園した……のだが、公園の他にも別な施設が建設されるらしい。魔法の世界だと言うが、果たして。

クラススキル
騎乗(遊具):Ex
としまえんには多くの遊具が存在していた。……厳密に言えば、彼は乗る側ではなく乗られる側である。
温泉作成:B
【豊島園 庭の湯】と言う温泉施設が隣接していた(庭の湯は現在も健在である)。このことから、温泉の湧く地質がすぐに分かると言う地味にありがたいスキルを付与されている。温泉はみんなだいだいだーい好き。

スキル
ハイドロポリス:A+
曲線型のウォータースライダーとしては日本初であり最大規模を誇る。最盛期には実に9種類・31本ものスライダーが稼働していたとされているが、これは20分以内に1本滑ろうとする計算で導き出された本数とのこと。閉園時には25本稼働していた、との記録がある。
サイクロン:A
トンネルを走るローラーコースターとしては日本初、稼働当初は『東洋最大のコースター』とも称された。一級河川である石神井川(しゃくじいがわ)の上を2回通る、珍しい遊具。
フライングパイレーツ:C
海賊船と商船、2隻の船が交差する、日本では初の大型のバイキング型絶叫マシン。全盛期には、1回乗り終わっても降りず、続けて2回目を味わう『アンコール』と言う乗り方が存在していた。

宝具:夢を乗せ輝く回転木馬
ランク:A+++    種別:対人(客)
レンジ:園内全域  定員:154名
カルーセル・エル・ドラド。
世界最古級の回転木馬。カルーセルは英語で『メリーゴーランド』のこと、エル・ドラドはスペイン語で『黄金郷』のことである。制作当時は『トロットワール・ルーラン(動く歩道)』と呼ばれ親しまれていた。
1907年にドイツで生産され、地元で愛されていたようだが、施設が閉園したため処分寸前になっていたところを1969年にとしまえんが約1億円もの大金で買い取った。のちに修復され、1971年から閉園の2020年まで稼働していた。また、2010年には『機械遺産』に認定されている。
これは誰かに夢と、希望を与える宝具である。……といえば聞こえが良いが、いざ発動するとカルーセル内の木馬達が輝きを伴って敵に体当たりで襲いかかっていくように見える。
これだから野蛮な宝具は……。(本人談)

宝具:水と緑の遊園地
ランク:Ex     種別:対界
レンジ:1~30    最大補足:100人程
レガシー・アトラクション。
今は無き夢の国、としまえんの再現。敵を倒すためではなく、誰かを楽しませるための能力であり、彼がこの世界に『英霊としまえん』としてあるべきために持っている宝具。
発動すれば、範囲内は夢の世界に塗り替わる。世界を書き換える掟破りにも近しい宝具。園内のどこかに範囲を限定して発動することも可能で、やろうと思えば敵をまるごとアトラクションに送り込むことも出来なくはない。
ちなみに普段は魔力に余裕がないため使わない……というか、使えない。彼自身の問題でもある。


夏の概念、夢の化身。としまえんは、そう呼ばれる。
もともと人の姿を取るはずがない、人工物───遊園地の概念と記憶を持ったサーヴァント。それが、英霊としてのとしまえんである。
この姿にしかなれないのは、理由がある。
としまえんに魂を奪われた、とある男がある時悔し紛れに電子の海に放ってしまったのである。後に他の人物にも触れられることになる、もしかしたら気が触れたと思われてもおかしくはない文言。
そう───『僕が、僕自身がとしまえんだ』、と。
人類の有事にあり、としまえんはこの言葉を縛りとして人の形を取ることに成功したのだが、その代わりとして霊基が満たされない限りこの姿から変質することはない。逆に言えば、この言葉がなければ英霊の姿形が決まることはなかった。彼が(としまえんが)人理のために召喚されることはなかっただろう。
暗黒の中で失ったはずの青春は、そこにあった。だからこそ男は固着する。だからこそ男は愛する。世界を、としまえんと言う空間を。
……そんな成り立ちなので、もしかしたらマスターはその顔を見たことがあるかもしれないし、その声を聞くこともあるかもしれない。多くの記憶を引き継ぐことに失敗したが、当人は『自分のオリジナル』がいることを認識している。
最初に出会うことになる従業員の姿では、本人が役(キャラクター)に入り込む性質があるせいで、よりとしまえんの従業員(キャスト)に入り込んでいるため、言葉遣いもかなり丁寧。マスターは『見たことがある人物の姿』と『見たことがない対応』のギャップに驚くことになる。
霊基に十分な魔力を送り込むことがもしもできたならば。この世界を構築するに、さらに適した姿に変化する。あらゆるしがらみから開放され、としまえんと言う在り方に特化した姿は、金髪が特徴的な男だ。あらゆることに愛と好奇心を持ち、通常よりもやや精神が幼めである。
しかし、そのままにしていてはいけない。無形の存在故に、有形であることが枷となってしまう。そうして、矛盾の果てにやがて自壊するだろう。そうならないように、呪いは効果を発揮しているのかもしれない。

……これは余談だが。本当に余談だが。
彼のことは彼の相方を名乗る男が、よくよく知っている。
「やっぱアンタの相方は、俺しかいねぇんすよね」