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ダベミ
2015-08-14 00:02:14
1588文字
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【ちょっとだけBL/葉石?】ほんのすこしだけ
8月も随分過ぎたある日の話。
「んあ?」
「おや?」
盆の時期、ふたりの青年が墓地なんて妙なところで再会した。
確か、ふたりとも学生で、そしてふたりとも今は休みでは無かっただろうか。
「珍しいところで会うな」
と、髪の長い青年。
普段は緩い服装だが、なぜだか今日に限ってはぴしっとスーツに身を纏っている。
「ああ。君は何かの仕事かね?」
と、凛々しい顔の青年。
こちらは軍服のようななかなかに厳つい格好だ。
「ん、まぁな。そっちの世界の人に頼まれて」
彼はそう言って不敵に笑う。
じゃら、と左腕の数珠が予感を含めて鳴った。
何の意味のある石なのだろうか、それは本人にすら分からない。
「
……
石丸っちこそ、どしたん?」
長髪の青年が問う。こちらに来ている理由は、大体察しが付いていたようだが。
「本当なら来たくはなかったが、盆なのでな。祖父の
……
墓参りを」
「なるほど?」
石丸、と呼ばれた青年は顔を大きくゆがませる。
祖父にはあまりいい感情は抱いていない。
だからこそ、だからこそ。
本当は来たくなかった、と言う事実をあえて、強調している。
「お父さんが来ると言ったから」
その目には、あまりきれいな光は入っていなかった。
「ま、いいんでない?」
それに対峙した青年はあっけらかんと、答える。
「何がだ?」
「来たくなかったけど、来ちまったんだべ?んなら、ちゃんと先祖さんを祀ってやれよ」
「
……
葉隠くん」
石丸の口調がわずかに厳しくなった。
僕の何を知っているんだ、と言わんばかりだ。
しかし、それに先手を打った。
「先祖がいるからオメーの親父さんがいて、オメーがいる。だろ?」
「
……
」
「だから、オメーもどんなにイヤでも、この日だけは大切にしてやんねーと。」
「
……
っ
……
」
歯噛み。
葉隠、と言う青年は、相手にした石丸の表情に、少しだけ寂しそうに笑う。
ふ、と視線をどこかに外して───
「ごめんな、って」
「え?」
「言ってるべ。オメーのじいちゃん」
「
……
何を訳の分からないことを
……
」
「言ってるんだ。分かる」
不意に真面目な顔で、石丸に迫った。
「オメーの後ろの方から、そうやって言ってるのが『見える』んだ」
くるくる、と中空を指差して葉隠は続けた。
そんなもの、石丸が信用するはずはなかったのだが。
それでも、真面目に、真剣に。
「嘘はつかねーさ、死人に口はないけども」
ぽつり、そんなことを言って、互いの視線が交わる。
「
……
なぜ」
「え?」
「なぜそれを僕に?」
「
……
信用出来ねーか?」
「そう言う訳ではなくてだな
……
」
ぎこちない会話だ。
理由は明白。
石丸の困惑はまだ続いている。
「信じろって、俺が言ってんだぞ」
根拠のない台詞が、飛んでくる。
ぎりっ、と再び歯噛み。
潤んだ瞳が葉隠を捉える。
「だって、だって祖父は!元総理大臣にありながらにして、国も!家族も
……
守れなかった人物なんだ
……
」
「
……
」
「そんな人が
……
僕に、僕達に悪かったと謝罪を?そんなわけがあるかぁ!」
「
……
」
「であればなぜ、なぜっ!僕の家族にこんな運命を!借金を!汚名を残したんだ!」
「
……
」
「教えてくれ葉隠くん、祖父がそう言うと言うのなら───」
「石丸っち」
一陣の風が吹いた。
言葉、遮って。
唇が、交わる。
一瞬の沈黙が墓地に戻った。
「墓地ではお静かに、な」
葉隠が一言そう言ってにやっと笑った。
唇を拭きながら石丸は思った。
……
あれ?僕を黙らせる為だけなら、口付けしなくてもよかったのでは?
けれども、そんなこと言い出せなくて、結局黙ってそこを去るだけだった。
結局、彼がなぜいるのか、最後まで分からぬまま。
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