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ダベミ
2015-07-12 18:28:17
1177文字
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言えないや(多分いしくわ)
「
……
」
「
……
」
イン、図書室。
きみが僕の方に、やってきて。
何も言わない。
僕も言わない。
話しかける、道理がない。
「
……
よーす、イインチョ」
きみは話す。僕がそちらを見る。
きみの隣には葉隠くん。
僕の隣には兄弟。
どちらも、ん?と目配せしている。
何か予感があるんだろうけれど、僕には関係がない。
僕から話しかける用がない。
むしろ彼にだってないはずだ。
なのになぜ?なぜ僕が彼に話しかけられている。
その声で僕の鳥肌がすべて立ってしまっているのに、きみはどうして、顔色を変えない。
「どうしたのかね、桑田くん。」
まあ、話しかけられて返事をしない馬鹿はいない。
「あ、いや、オメー
……
」
「オメーに本のある場所聞きてーんだと」
「ふむ?」
彼は愚かだ。
隣の彼よりきっとずっと愚かだ。
才能におぼれ、あまつさえ甘え、さらにはそれに満足せず、別なものを目指そうなどと欲をかいている。
それで?なんで僕に本の在処を聞きたいと?
いやなら葉隠くんを使うなりなんなりすればいいのだ(いや、僕としてはそんなことは避けて欲しいんだが)。
「オレの探してるのがどっかにあるはずなんだけど、どんな本か上手く伝えらんねぇんだ」
追撃の、言い訳。
ますます嫌気がさす。
「なるほど、わかった。探してみよう」
傾くイス、頷く兄弟。
彼の前では、そんなことは出来やしない。
「でな」
癒えない、言えない。
「その、オレさ、オメーの言ってた歴史?の勉強、しようと思って」
言わない、言う必要ない。
「
………
」
「
………
」
僕の歴史など知らなくても、きみの未来に関わりなんてない。
きみだってどうせ、知りたいと思いたくもないくせに。
「いい、心がけだぞ、桑田くん!僕は
……
感動したッ!」
「いや言い過ぎじゃね?」
「きみが日本の歴史、ひいては歴代首相を学ぼうとしただけでも、大きな進歩だ!」
「馬鹿にしてんな」
「きみなら、それよりも野球をすると言うと思ったから」
「いわねーし」
本棚が迫るから、僕は少しだけ安心するんだ。
だからきっと彼も安心しているんだ。
こんな空間にいなくて済む事が、一緒に話さずに済むことが。
「そうか」
とか言いながら、僕はそれを指さしてやる。
手にとって、渡してやる。
「ほら、これがきみの探している本だ」
「うす、サンキューな」
その本にどうせ、落書きでもするのだろう?
後から不二咲くん伝に、「石丸が探した本が間違っていて、自分が欲しかった知識が得られなかったから寝てしまった」とか言うのだろう?
勝手にすればいい。
僕は僕でいる。きみはきみでいろ。
渡した本はどこか、重くて。
「ありがとよ」
そんな言葉の意味は、考えなかった。
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