ナスカ
2022-09-10 16:09:15
2969文字
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ピノキオ(2022)感想

ディズニープラスで配信されたピノキオ(2022)の感想です。ネタバレあるよ!!!

皆さんグッドハーブニング!ナスカです!
実写版ピノキオの配信が一昨日(2022/09/08)から始まり、2日経った今日やっと見れました😌

最初のトレーラーを見た時はマジでどうなるかと思いましたが(主にジミニーがめっちゃ虫であることに関して)、いやぁ大満足です!にしてもあのトレーラーのジミニーは悪意があるだろ……本編は(個人の主観ですが)100倍可愛いしかっこいいのでご安心を。

で、ザックリまとめると今回のピノキオは、1940年版と比較すると、現代に合わせたアレンジがこれまでの実写化作品(シンデレラ、美女と野獣、アラジン等)よりも顕著に感じました。やはり「子どもの成長」をテーマの一つにした作品だからでしょうか。子ども観というものは変化が著しいので、約80年前と今では大きく違いますからね。今の子どもたちが見たら、ピノキオに共感する子は多いのではないでしょうか。

なので結論から言います。
ピノキオは「人間の子ども」にはなりません。

アニメ版からの改変、というよりかは、この2022年版においては「人間の子ども」であることよりも「本物の子ども」になることがゴールだったのだと思います。そう、本物であるということの条件に「人間である」必要は一切無かったのです。
むしろ今回のピノキオは「自分が人形である、木で出来てる」ことを非常に活かしています。そしてそれは自らの経験を元にしているのです。

一番わかりやすいのは、「燃えること」ですね。
最初は家で指に蝋燭の火をつけた時、その次はストロンボリの劇団で踊っていたら床と足が摩擦を起こして燃えたとき。
それが最終的には、モンストロに食べられた時「自分の足で火を熾す」ことに繋がります。

私のピノキオでのトラウマシーンのひとつ、「鼻が伸びる」シーンも、ただの反省シーンではなくなりました。嘘をついたことで自分の鼻が伸びて、あと少し伸びれば自分を閉じ込めているカゴの鍵に届くことに気が付きます。わざと嘘を言って鍵をゲットするのです。
嘘がすべていけないのではなく、使いようによる……「嘘も方便」なのだと教えてくれますね。

おもしろ島から脱出するときには海に飛び込んで「自分は木だから浮く」ことを学びます。海に出たゼペットじいさんを探すときはその経験を踏まえて、カモメのソフィア(新キャラ。モチーフはたぶんおもしろ島脱出後に出てくる真っ白な鳩)に頼んで水上スキーをしました。

これらの行動はぶっちゃけた話、人間の子にはほぼできないことばかりです。ピノキオが「木でできた子ども」だからできたことです。「他の誰か」になる必要などない、マンネリな表現にはなりますが「そのままの君でいい」ってやつですね。


さて、「木の人形であること」を活かしたピノキオ二近い存在として登場した(と私が勝手に考えている)のが、人間の女の子のファビアナちゃんです。彼女も新キャラ。ストロンボリの人形劇団で働いている女の子。どうやら足をくじいてしまい、歩くときも補助具を必要としているようです。

バレリーナを志していたファビアナは、サビーナというバレリーナの操演を担当。人形であるピノキオのためにサビーナを通して励ましてくれます。

ファビアナは補助具が無いとうまく歩くことも踊ることもできないようです。しかし補助具をつけて踊る彼女を、自分の足だけで踊れない彼女を「偽物のダンサー」だと誰が指摘できるでしょうか。

彼女やサビーナがいることで、ピノキオは「真偽に悩むのは自分だけじゃない」と孤独感が和らいだと思います。そのシーンまでにピノキオは学校に行けたものの、「木の子どもは学校に来るな」と教師から蹴飛ばされ追い出されているのです。

ところでサビーナは本当に「ただの人形」だったのでしょうか。サビーナが「喋って」いるとき、ファビアナは口を動かしていませんでした。サビーナももしかすると、ピノキオと「同じ」なのかもしれません。


そしてピノキオに関して言及する時に避けては通れないのが、おもしろ島ですよね。アニメ版と異なり、「特定の時間に特定の場所にいることで乗合馬車がやって来て、おもしろ島に行くための船に連れて行ってくれる」というかなりリアリティのある設定になっています。コーチマンもアニメ版より汚らしい風貌で、まさに「やべぇ奴」といった雰囲気バリバリです。

アニメ版は男の子ばかりだったイメージですが、今回は女の子もいます。子どもたちは男女ともにおもしろ島でやりたい放題です。ピノキオは「ルートビア」というアトラクションに乗りながらその様子を眺めます。園内を見て回れる、トランジットスチーマーラインのコンセプトで見た目はヴェネチアンゴンドラ、時々スプラッシュ・マウンテン……といった感じのアトラクションです。最初はキラキラと輝く絶景に、楽しい気持ちにはなったでしょう。

しかしその後からはいい気分になりません。本当にやりたい放題なのです。
ピノキオが持っているビールのジョッキを勝手に強奪する子ども、爆竹をあちこちで飛ばしている子ども、「食べ放題ビュッフェ(?)」では栄養の偏ったものばかりを下品にも犬食いしています。「ワル小学校」ではレンガを窓ガラスに投げ放題だし、グランドピアノを昇降口から押し出してぶっ壊します。「悪口コーナー」ではもう名前の通りの行動が行われ、「万引きショップ」は売り買いが無いのだからもう店ですらありません。
極めつけは「時計をぶっ壊せ」という体験型アトラクション。時計は子どもたちにとって自分たちのやりたいことや時間を縛るものなのでしょうが、ピノキオにとってはゼペットじいさんの作った大事なものです。もちろん、これがゼペットじいさんの作った時計では無いのですが、似たようなものを壊しているのを見るのはやはり嫌な気分でしょう。


ピノキオの表情や言動からもわかることですが、今回の彼は常に良心の呵責で誘惑と戦いながら「本物の子ども」を目指しているのです。アニメ版では無邪気過ぎる故に誘惑の方に釣られがちだったピノキオですが、「お父さんが大好き」「お父さんが望むから本物になりたい」という強い意志を持っています。それが彼を突き動かしているのです。


モンストロのくだりは先程述べたので省き、最後のシーンの話をします。
アニメ版ではピノキオが死んだっぽく描かれ、ゼペットじいさんの祈りとピノキオ自身の努力によってブルーフェアリーがピノキオを人間にしてくれます。
しかし最初にお伝えしたようにピノキオは人間にはなりません。
死んだっぽく描かれるのはゼペットじいさんの方でした。そしてブルーフェアリーの魔法で「生きた人形」になったピノキオの涙と願いによって、ゼペットじいさんは生き返ります。アニメとは全く逆の構図になっているのです。

そして最後はジミニーが「物語は語り継がれて、ピノキオが最後人間の男の子になったって話もあるよ。けどどっちにせよ『ピノキオは本物の心を持ってる』ってことに変わりはないんだよね」と言って物語を締めます。
アニメ版を否定せず、現代に合わせたアレンジを加えたいい実写版だったと思います。面白かったです、ありがとうございました。