ナスカ
2021-12-20 22:52:51
537文字
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手向け

名前以外なんにもわかっていないあの男が弟子である前世様のことを述懐するだけ。超短いです。

私はこの地も、民も、女神様も愛していた。

それなのに、私はそれらを想うが故に憎悪を向けてしまった。

この三つを守っていくために振るう剣なのに、それを握れなくなった私に何故女神様は奇跡を授けてくださらぬのかと。

泣いて、喚いて、苦しんで、それでも何も変わらなかった。

私が選んだのは、剣をペンに持ち変えるという道。武官から文官に転身するのは楽ではなかったが、新たな道は私に希望を与えてくれた。

才能あふれるリンク君は私の希望だった。生涯騎士でいられなかった私の代わりに、どうかこの地と、民と、女神様を守ってほしい。私の技を継げる者は彼しかいないと、そう思ったのに。

彼は私のものでいることを拒絶した。

今思えばそれは女神様の御加護。誰に流されることもなく、自らの意思で戦い続けられるように。それを許せなかった私はただの愚か者。

私は魔族に魂を売り渡してしまった。

ああ、どうして私にそんな顔をするのですか。勝者が君であることが、本当に嬉しいのに。

君は私を超えた。君は私よりも強くなった。喜んでください、誇りに思いなさい。私は君が強くなったことが幸せなのです。

私の夢は、叶いました。

さようならリンク君。ダメな師匠の私をどうか憎んでくださいね。