この王国の姫付き近衛騎士と宮廷占い師は互いが良き伴侶である。その身を王家に捧げている宮廷占い師は、過去に王国の滅亡を企んだ者であった。かつて闇色の服に厄災の紋章を背負っていた彼は、今は英傑と同じ青を纏い王家の紋章を背負う。彼を変えたのは近衛騎士の手厚い献身だった。
各々の仕事着に着替えながら二人は話す。
「今日はどこまで行くのだ?」
「アデヤ村だよ。姫様が視察に行きたいと先日仰ったから」
「……そうか、アデヤ村か」
封印された厄災が古代兵器を乗っ取り、城下町だけでなくあちこちの村が襲われた。宮廷占い師は強襲する側だったが、心を入れ替えてからはそのことに胸を痛めていた。姫が視察したいと言った村は彼が生まれ育った村だった。
「私が今あそこに行けば、罵詈雑言の嵐だろうな。いや、どこに行ってもそうなるだろうが」
「君が行きたいなら、俺が連れて行ってあげる。俺が必ず君を守るから」
「姫付き騎士は頼もしいことよ」
近衛騎士は退魔の剣を背負い、宮廷占い師は未来を告げる天球儀を抱える。
「アストル」
「リンク」
仕事前に二人は必ず口付けを交わす。それは約束のキスだった。命の保証がない仕事をする二人の、再会を約束するキス。
「……今夜、また」
「あぁ、もちろん」
二人は互いに背中を向けて歩き出す。変わらずにその姿を見ることが出来ると信じて。
終わり
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