【東←ショタロリ】カボチャ味の秋

ショタロリ兄妹が🍮さんと一緒にハロウィンを楽しむお話。若干の夢小説っぽさがありますご注意。

「トリックオアトリート!」
「お菓子くれなきゃイタズラするぞ!」

「はいはーい。今お菓子あげるからねえ」

にこにこ笑う妹の手を繋ぎながら元気いっぱいに言えば、いつもお話してくれる優しいおばあちゃんもにこにこ笑いながらお菓子をくれた。妹と一緒にかぼちゃのバスケットを覗き込む。お菓子がきゅうきゅう中に入っていて嬉しくて二人顔を見合わせて笑った。
「ありがとー!」
「お菓子ありがとう!」
見送ってくれるおばあちゃんに手を振ってボクたちは次のお家に向かってダッシュした。
今日はおかあさんが用意してくれたヘンゼルとグレーテルの格好をしてハロウィンっていうお祭りを楽しんでいた。この日はなんと子供のボクたちは大人たちから魔法のことばを言えばお菓子が貰えちゃう嬉しい日。
いつもと違う服を来て妹はずっと楽しそうに笑っていて、かぼちゃのバスケットの中がどんどんお菓子で増えていくたびに大事そうにバスケットを抱えていた。
バスケットの中にはクッキーに飴、キャラメルとチョコレート。あとしょっぱいのも欲しいよねって近所のお兄ちゃんが都昆布を入れてくれた。チョイスが大分渋い。でも、妹は近所のお兄ちゃんが気になってるみたいで都昆布をもらったら、恥ずかしそうにボクの後ろに隠れながら小さく「ありがとう」って言って嬉しそうにはにかんでた。
背が高くて眼鏡を掛けていてザ・大人な見た目のお兄ちゃん。ボクもお兄ちゃんみたいに大きくなりたいって言ったら。
「タンパク質ヲ取って筋トレするとイイよ」
だって。タンパク質よく分かんないや。あとで、お母さんに聞いてみよう。
ボクの後ろでもじもじしていた妹の手を取って次のお家へ行こうとしたら、妹がかぼちゃのバスケットからクッキーの小袋を出してお兄ちゃんに渡してた。妹、お兄ちゃんはこっちの指輪型のキャンディーの方がいいと思うってのをグッと言うのを我慢した。
何度もお兄ちゃんに振り返ってバイバイする妹を引っ張ってやっと次のお家へって思ったらなんだかお菓子をくれるお家から少し離れた場所でおばけの恰好した子たちがコソコソ話し合っていた。
「おにいちゃん、みんなどうしたんだろうねー?」
「うん、聞いてみよっか」
二人揃って駆け足で近寄って白いシーツを被ったおばけの子になんで?って聞いてみた。そしたら、こっから気付かれないように見てみろって言われたから妹と一緒にそっと覗いてみた。
お家の前でボクたちと違うお姫さまや妖せいさんの恰好をした女の子たちに大人の男の人?がなんか言ってるのが見えた。女の子たちは困った顔をして手に持っていた茶色のバスケットからお菓子をその大人の人に渡してササって走って行った。
「な?やばいだろ?」
「う、うん
よく分かっていないのかよく見えていなかったのか首を傾げている妹の手を握っている手をギュッと掴んだ。あれは近付いちゃいけないタイプの大人の人だ。一緒にいたおばけの子たちと頷きあって、とにかくここから離れようとしたらおばけの子たちが急に「わー!?」って叫びながら走りだしちゃった。
後ろからカラコロ音がする。ボクはドキドキする胸を押さえながら振り返って見上げた。
さっきまでお家の前にいたやばい大人の人がいつの間にかボクたちの傍まで来ていた。咄嗟にボクは妹を背中に隠す。大人の人はボクたちを見るなり、お腹を掻きながらニヤリと笑った。

「おいガキ共、菓子くれ。逃がさんぞ」

やっぱり!この大人の人はボクたちが貰ってるお菓子目当てだった!
ならお菓子を渡してここから逃げる?でも、折角貰ったお菓子を渡したくない気持ちと、妹の楽しいハロウィン思い出を台無しにしたくないって気持ちでかぼちゃのバスケットに手を伸ばせずにいる。
そうこうしている内に大人の人が悪い顔をしながら、その手をかぼちゃのバスケットに伸ばしてくる。せめて妹だけでも逃がそうとしていたらボクの後ろにいた妹がボクの手を離して、伸びてきている大人の人の手を掴んだ。
「じゃあ、おにいちゃんも一緒にお菓子貰いに行こ!」
「おに……ッ」
妹の言葉と満面の笑みにボクはうろたえた。でも、ボク以上に何故か大人の人がうろたえていた。
そんなボクたちのことなんか気にせず、妹は大人の人の手を掴んでぶんぶん揺らしている。
「行こ!大人のおにいちゃん!一緒に行けばお菓子たくさん貰えるよ!」
「~~~~ッスー……。言っとくが私は女だかんな?」
「おねえちゃん!おねえちゃんの頭プリンみたいでおいしそう!」
妹は目をキラキラさせてずっとプリン、プリン言いながらおに、お姉ちゃんの手を楽しそうに揺らしている。そういえばプリン大好きだったな。だからか、そっか、お兄ちゃんびっくりしちゃった。
「おにいちゃんもホラ!おねえちゃんの手握って行こ!」
もの凄く楽しそうに興奮している妹にこれ以上何を言ってもだめだ。さっきまでボクたちや他の子たちからお菓子を取ろうとしていたお姉ちゃんをちょっと恐々見上げてから、妹が掴んでいるお姉ちゃんの逆の手に手を伸ばす。けど、まだちょっと怖くて引っ込めたら、ボクの前にそっとお姉ちゃんの手が差し出された。
手からお姉ちゃんの顔を見た。さっきまでとは全然違う妹が見せる笑顔じゃないニカって笑っているお姉ちゃんと目が合った。恐る恐る引っ込めていた手を伸ばして、お姉ちゃんの手を掴んだ。そしたらふわふわとした感じで握ってくれた。
お母さんや妹と違う大人の女の人の手。なんだか急にドキってしてボクはお姉ちゃんの顔が見れなくて俯いた。
「じゃあお菓子貰いに行こー!」
妹、お姉ちゃん、ボクと横並びになってボクたちはお菓子を貰いにお家を周った。はじめはボクたち以外の大人の女の人が一緒にいてお家の人が困ってたけど、ボクと妹が魔法の呪文を言ってお姉ちゃんも続いて言ったらお菓子いっぱい貰えた。
なんか勘違いされてる気がする。でも、妹もお姉ちゃんもお菓子貰えて嬉しそうだからいっか。
楽しそうにお喋りしている二人を見ながら歩いているのが良くなかった。地面の出っ張りに躓いて体が前のめりになる。あともう少しで地面にぶつかりそうになった時、ボクの体が宙に浮いてそのままスッと倒れかけていた体がもとに戻った。ギュッと力強く掴んでいてくれていたお姉ちゃんの手からちょっとだけ力が抜ける。
「あ、りがとう
「コケる前に引っ張り上げたけど肩とか痛めてない?」
「平気
「そいつぁ良かった」
またニカって笑うお姉ちゃんを見たボクはお姉ちゃんの顔が見れなくてそっぽを向いた。
「あー!おにいちゃん、顔真っ赤ー!」
「うるさいなあ!」
妹が間違い探しでも見つけたみたいにかぼちゃのバスケットを抱えた手でボクを指差す。ボクは余計に手を掴んでいる方が見れなくなった。でも、代わりにお姉ちゃんの手を握っている手をほんの少しだけ力を込めた。
その後もお菓子をくれるお家を周れば、かぼちゃのバスケットから溢れるくらいお菓子が溜まった。ボクと妹、それとお姉ちゃんの分でお菓子を分ける。それでもかぼちゃのバスケットからこんもり顔を出すくらいのお菓子が残ったのでボクはホッと胸を撫で下ろした。
パンプキンと書かれた服の裾を引っ張ってお菓子をその中に入れているお姉ちゃんの顔はずっと、なんか、変に緩みっぱなしで笑っている。お菓子貰えてそんなに嬉しいのかな。大人なら好きな時に好きな分だけ買えるのに変なの。
ホクホクとしているお姉ちゃんを見ていて思い出した。妹が持っているかぼちゃのバスケットの中を漁って中から指輪型のキャンディーを取り出した。
「これボクが貰っていい?」
「いいよー」
妹にちゃんと聞いて「じゃあなあ」って帰ろうとするお姉ちゃんに駆け寄る。
「待って」
「んー?」
立ち止まってくれたお姉ちゃんにボクは手を出してって言えばお姉ちゃんは服の裾に入っているお菓子を零さないように片手で持ち直して、もう片手をボクに向かって出してくれた。
右か左かよく覚えていない。だけど、付ける場所は覚えている。お姉さん指にボクは指輪型のキャンディーを付けた。
「ボクからのお菓子だよ」
「おー」
指にはめられたキャンディーをかざして見るお姉ちゃん。
「おにいちゃんズルい!わたしもあげる!」
もうっとぷんすこした妹がかぼちゃのバスケットからおっきなペロペロキャンディーを取り出して、指輪がはめられているお姉ちゃんの手に握らせた。
それを見たお姉ちゃん目をぱちくりさせて、あのニカっていう顔でボクたちを見た。
「サンキューな」
「ねえねえ、おねえちゃん。また来年も一緒にハロウィンしようね!」
妹がお姉ちゃんにぎゅっと抱き着く。それをお姉ちゃんがペロペロキャンディーを持った手で妹の頭を撫でてた。それをちょっとだけ、ほんのちょっとだけいいなって見ないようにしてたらお姉ちゃんがボクを呼んだ。
しょうがないから傍に寄ってあげたら、わしゃわしゃと頭を撫でられた。
「来年も一緒にしような」
「うん!」
お姉ちゃんの言葉に元気よく返す妹の言葉に隠れるようにボクも小さく頷いた。