線路の繋ぎ目を通過するたび聞こえる音に合わせつり革達が一切の乱れなく揺れる。青々と茂る木々が流れる景色がトンネルを潜る頻度が上がり終いには窓一面暗がりに染められてしまった。窓ガラスに反射し映り込む車内は荷物をそれぞれ抱え楽し気に談笑に耽っている東雲マンション住人達が映り込む。
普段から乗客の少ないローカル線は盆の始まりと相まってマンション住人達以外乗車している客はいない。半ば貸し切り状態の車内は修学旅行にでも行く学生気分に満ち、大きなパラソルを抱え持っている東雲の顔も自然と緩み等間隔で置かれた明かりが流れていくトンネル内に目を向けた。
「こんな大勢で押し掛けて大丈夫なんですか?」
ふと、東雲の隣に座っている8人分の昼食を膝に抱え持つツヅミが彼女の顔を仰ぎ見る。微かな不安がにじみ出ているそんなツヅミに何も問題ないと言わんばかりに東雲が八重歯覗く口元に弧を描く。
「今日行くところは穴場スポットだから平気平気。前に海の家でバイトしてた時に教えてもらったんだ」
長いトンネルから抜ける音と共に青色に染まる海岸線が現れ一気に車内が沸き立った。口々に海だ海だと言う様は微笑ましくあるが、もうすぐ降りる駅だと東雲が住人達に声を掛けた。
程なくして電車の速度が遅くなり停車した。排気音と共に開く扉から降りれば、潮の香りが鼻腔を擽る。味わい深い駅舎には人が居らず、ぞろぞろと改札を抜ける頃には住人達が乗っていた電車は次の駅へと発車していた。
「海ダー」
「バーベキューに引き続き海デ遊ぶナンて、すごく陽キャしてる!!」
「ほらほら置いていっちまうぞー」
軽やかに空の海を泳ぐ海鳥の鳴き声とさざ波が海に来たのだと知らしめる。逃げ水が揺らめくアスファルトから陽射しを燦々と照り返す砂浜を踏みしめる頃には、吹き出る汗も何のその逸る気持ちを抑えきれず荷物を放り出し煌めく波打ち際に向かって走る者達が現れた。
「海ダー海ダー」
「待ってください有希さん!?私まだ水着に着替えてな、嗚呼スニーカーに海水が!!」
有希に背中を押され海に右足を突っ込んでしまったツヅミの悲痛な声が海岸線に響き渡る。スニーカーの中に海水が入り込み、なんとか海から出るべく後退るものの無情にも打ち寄せてきた波がツヅミの左足諸共飲み込んだ。寄せては引いていく波を見てツヅミは少し涙目になるも、濡れたスニーカーと靴下を脱ぎ去り裸足で波打ち際を駆けだした。もうこうなったら楽しむだけ楽しんでやるの精神である。
両手にスニーカーを持って海面を蹴り上げる様は自棄になっているのか途中から本気で楽しんでいるのかは定かではない。
「おーい。こっちに水道あっから靴と靴下洗って欲しとけよなー」
カミキリがブルーシートを広げその上に影が出来る形でパラソルを立てる東雲の傍ら、竹内と猩々がテキパキとテントを組み立て、乙幡と市松は一先ず日焼け止め等の小物を持ってきたリュックからごそごそ探していた。
竹内と猩々がテントを組み上げたのと同時に一頻り気持ちが落ち着いたツヅミと有希が戻り、東雲に教えてもらった水道で海水塗れのスニーカーと靴下を洗い、燦々と照り付ける太陽の下小さな敷物の上に行儀よくスニーカーと靴下を並べた。
テント内で代わる代わる水着に着替え、いざ海へと駆けだそうとした刹那、パラソル下から待ったがかかった。
指の間に日焼け止めクリームの容器を挟み胸の前で腕をクロスしている乙幡の目つきが些か鋭い。
「皆さん!この時期、この場所の日差しノ強サを舐めてはいケマせん!!」
「そうヨ。男性方もクリームを塗っタほうがイイわ」
既に日焼け止めクリームを塗り終わったのか、日焼け止めクリームの容器を手際よく乙幡と市松が配っていく。
「日焼けは洒落にならんからな」
乙幡から日焼け止めクリームの容器を受け取り、塗るべく羽織っていたパーカーを脱ごうとした東雲は手を止めた。視線の先、市松から渡された日焼け止めクリームの容器と睨めっこしているカミキリはしゃがんだまま動かない。
「カミキリさん先塗ろっか」
声を掛けられ立ち上がり頷き両腕を前に伸ばすカミキリの腕にクリームの線が描かれる。東雲が掌で塗り広げる動きを真似てカミキリは自身の両腕と両足にクリームを塗り込んだ。今度は胸と腹なと、東雲に促されたカミキリの掌にクリームの池が作られ、それを体の前面に満遍なく塗り広げる。
「背中はやったげるから後ろ向いて」
「うん」
背を向けたカミキリの背中に湿った東雲の手が滑っていく。塗り残しがないよう丁寧に塗られる感触にカミキリの目が眇められる。
「じゃ、あと仕上げな。こっち向いて」
振り返ったカミキリの視界に映る東雲は自身の掌にクリームをたっぷりと出していた。東雲から目を閉じてと言われ目を瞑るカミキリ。東雲は彼の首元、そして顔をこねくり回す形でクリームを塗り込んだ。
普段前髪に隠れている額から頬へとむにむに揉まれる感覚にカミキリが薄ら目を開ければニッカリ笑う東雲が其処に居た。
「はい、おわりー」
東雲が親指の腹でカミキリの頬を撫で滑らせ、最後に軽くぺちぺちと叩き手を離した。クリームに寄って肌同士がもったり吸いつき、まるで餅つきでもしているかのような音が響く。
東雲は無事カミキリを塗り終え、次は自分だとパーカーを脱ぎ慣れた手付きで背中以外の場所にクリームを塗り終わるなり日焼け止めクリームの容器をカミキリに投げ渡した。
「背中よろしく」
「分かっタ」
東雲がしていたように自身の掌にクリームの池を作り、薄っすら汗ばみ始めている彼女の背中にクリームを塗り広げる。白色のクリームが塗り広げるカミキリの手が不規則に止まっては動くをくり返す。指先でなぞる動きに多少の違和感を感じるものの、腰元まで塗り終わったカミキリの声に東雲が首を捻り振り返る。
「サンキュな」
置いていたパーカーをサッと羽織り直し、とっくに波打ち際で水を掛け合っているツヅミと有希達のもとに東雲が駆け出す。
そして、日焼け止めクリームの容器の蓋を閉め、何故か固まったまま動かない乙幡の前に容器を返しカミキリもまた波打ち際に向かって走っていった。
「・・・」
海で泳がない組の猩々と市松がサングラスを掛け日光浴に興じている間、乙幡は今目の前で起きた事は自分の見間違いなのかそうじゃないのかと脳内で激しく論争をくり返していた。
邪魔になったのかパーカーを脱ぎ去り、楽し気にスイカを掲げスイカ割りを始める東雲の背中と腰元に知らず目が行ってしまう。
順当にスイカが割れずカミキリの番になり、綺麗に真っ二つに斬られたスイカに感嘆の声と拍手が上がる最中も乙幡の視線は東雲に注がれ続けていた。あれに皆さん気付いていないのか、気付いていてわざと見ない振りをしているのか定かではない。
しゃくり。齧ったスイカの味なんて分からず仕舞い。折角の楽しい思い出が台無しになるとかそういうレベルの話ではない。寧ろ文字通り目が離せない展開に若干前のめり気味になっている自分に乙幡は乾いた笑い声を零す。
見間違いで無ければカミキリが東雲の背中と腰元に日焼け止めクリームを塗る際に見せた、満ち足りたように細めた深い青色の瞳の先、点々と咲く赤い花々を撫で擦る動きに乙幡は自分の中にあるオタク心と理性が同時に絶叫したのだった。
だが、もしかしたら単純にそう見えただけの見間違えかもしれない。そう何度か自分に言い聞かせパーカーを着ている東雲の背中と腰元がちらり見えるたび、バッと顔を向けてしまいスイカ割の時にとうとうぼんやり浮かんでいた根拠のない思考は確信へと進化してしまった。
「次ビーチバレーやろうぜ!」
「はわ、はわわ……」
意気揚々とネットは無いから砂浜に線を描きコートを分けだす東雲に乙幡は気が気じゃなかった。
ビーチボールを取りに来たツヅミに体調が優れないのか心配されたが、気合を入れるべく自身の頬を叩き審判役を志願した。
「(私がフォローに徹すればいいこと…!)」
「あの無理しないでくださいね乙幡さん」
心配そうに顔を覗き込むツヅミと一緒に乙幡は肩をグルングルン回し準備万端な東雲たちのところに歩いていく。
大家&管理人対東雲マンション男性陣のビーチバレー対決は中々に白熱していた。
鋭いスパイクの応酬。砂に塗れるのも厭わずボールを拾い上げるたび、コートの周りから声が上がった。
コート端をギリギリ狙った竹内のサーブを取るべく東雲が豪快にヘッドスライディングするものの、無情にもボールは東雲の指先ギリギリを掠め逃げていった。
「やるじゃねぇか竹内~」
頬に付いた砂を払う事もせず、視線を竹内から一切反らさず立ち上がる東雲が楽し気に口元に弧を描く。
それをまた有希からボールを受け取った竹内は表情を変えず右手人差し指を軽く掲げた。
「モウ一本」
これは宣誓。またサーブを決めるという竹内に益々東雲の八重歯が覗く口端がニィっと吊り上がる。
「ツヅミー!気合入れて捕んぞ!」
シャーオラー。吠える東雲の背中をややクタクタになりつつ返事を返したツヅミは彼女に微かばかりの違和感を覚えた。
「タイムー!タイムお願いします!」
「タイムでース!」
ツヅミのタイムに審判の乙幡が頭の上で手を交差させゲームを止めた。
ある意味出鼻をくじかれ肩を落としている東雲のもとにツヅミが駆け寄り其の違和感に指を差した。
「東雲さん虫刺され酷いですね?」
「は?虫刺され?」
「背中と腰、あ!太腿の内側にもありますよ」
ツヅミに指摘され首と上半身を捻り確認する東雲に乙幡は心の中で声にならない悲鳴を上げた。
赤くなった箇所を指さし指摘するツヅミに何とか見ようと体をくねらせる東雲の姿が、世界が、乙幡の視界が全てゆっくり流れ動いていく。砂浜を蹴る足が、思わず伸ばした右腕が、動きの全てが緩慢で重い。
兎に角、フォローせねばと乙幡が二人のもとに駆け寄る刹那──。
「それ僕がツケタ」
男性陣側のコートから特大爆弾が投下され、その場にいた全員の時が止まった。
海鳥の鳴き声、寄せては引くさざ波の音だけが聞こえる世界に、乙幡の心の中は阿鼻叫喚と化す。理性とオタク心が水と油のように分離し程なくして思考停止に陥った。
ところなさげに伸ばされた乙幡の腕もそのままに、ただ一人だけ理解できていないのかツヅミは小首を傾げている。
「ちょっと話しようか」
そんな自然音だけが聞こえる世界を破ったのは東雲であり、カミキリの手を掴むなり大きな岩がゴロゴロある岩陰に連れて行ってしまった。残された住人達はその二人を目で追うしか出来ず、誰も彼も言葉を発しなかった。
東雲が被る取り繕った笑顔の仮面は住人達から十分に離れ目の届かないことを確認してからボトリと落ちた。
岩陰に身を隠しゆるゆる力が抜けていく東雲はカミキリの肩を掴んだまま背中を丸める。俯き足元を見やる東雲を丁度彼女の旋毛を眺める形でカミキリは大きな目を数回瞬きさせた。
「マジかぁ…、首に付いてないから油断してたわ……」
普段肩をよく晒す服を着ている東雲だったが、別段鬱血痕が見える事は無かったため今回の水着も大丈夫だと踏んでいた。踏んでいたのだが全然駄目だった。
悩み唸る気持ちが比例して東雲の体を縮こませ、ついにはしゃがみ込んでしまった。普段とは違い見下ろす形になったカミキリは自分より低い場所にある旋毛を別角度から眺め続けていた。
「モット見えるところが良かっタ?」
「いや、そういうわけじゃなくて…あー、皆んとこどういう顔して戻ればいいんだ」
悩みに悩み、唸りに唸ったがこれといった打開策が浮かぶこともなく、結局ノリと勢いに任せ有耶無耶するしかないと東雲は覚悟を決めたのだった。
何んとか顔の火照りが収まり当たり障りのない笑顔でビーチバレーを再開しようと極力元気な声で言う東雲の動きはぎこちなく、その数歩後ろを歩くカミキリの普段通りの表情に乙幡の心拍数が上がりに上がって仕方ない。
呼吸が知らず荒くなる。
「じゃあ、続きやりますか」
コートにそれぞれ戻り、ボールを受け止める態勢をとる東雲に乙幡は再開のコールを言い出せずにいる。
東雲はこのまま勢いに任せて有耶無耶にするきだ。何故カミキリと一緒にこの場から離れたのか、背中や腰元、内太腿のあれやそれを誤魔化そうとしているのだと乙幡が察するに時間はいらなかった。
幸か不幸か。其れに対して突っ込む者はその場にはいなかった。皆大人の対応をしている。
だが、ただ一人除いてである。
東雲と同じチームのツヅミは未だ眉根を潜め彼女の背中を見つめていた。単純に心配しているのは痛いほど分かる。ゆえにツヅミが何か言おうと口を開けた瞬間、乙幡は無意識に制止すべくまた右腕をツヅミに向かって伸ばした。
折角の有耶無耶が無くなってしまう。そんな危機はあらぬ方向からの助け舟によって回避された。
「それ、クラゲに刺されたんじゃないデスか」
ボールを器用に指先でクルクル回す竹内が言う。
そして、それ幸いにと乙幡が続いた。
「そうでスよ!大家さん、さっき海で泳いでイタ時にクラゲに刺されちゃったんですヨ!ほら!向こうで薬塗りますから行きマショウ!」
「おい、ちょっと待ってて!?」
やや困惑気味の東雲の腕をぐいぐい引っ張る乙幡は彼女と共にパラソルの方へ小走りで駆けだした。
そんな二人の背中を見送るツヅミは果たしてあれはクラゲに刺されたものだろうかと記憶の引き出しを開け探し、うーんと唸るツヅミの傍に寄り一先ずゲームは中断だねと言葉を掛ける竹内もまた二人の背中を見やった。
「ま、クラゲに刺されると大抵ブツブツとした蚯蚓腫れになるケドね」
「でも、東雲さんのクラゲに刺された痕は蚯蚓腫れじゃなかったですよ?」
「……そういうクラゲもいるってコトでしょ」
そういうクラゲと言われまたしても云々唸るツヅミから視線を同じチームのカミキリに向ければ時間差で二人の背中を追っていたがため竹内は無言で見送った。
とりあえず、クラゲに刺され薬を塗るに行く体でパラソル下に来たが、さてはてこれからどうしようかと東雲と乙幡は無言のまま二人揃って考えていた。
ジーワジーワ。蝉しぐれと波の音、海鳥の鳴き声に紛れ聞こえる人の声に乙幡は後方を振り返り東雲もまた彼女の後ろを見つめた。
来る人が少ないというだけで完全に自分達以外の者が来ないとは限らない。それが穴場スポットである。
三人ほどの男性グループは東雲たちを見つけるなりわざとらしく口笛を吹いた。いつの時代の人間なのか甚だ疑問である。
「穴場スポットっていうから俺達だけなのかと思ったのにこれは想定外じゃん」
「良い意味でな?」
「そうそう」
男たちが見詰める視線の厭らしさに乙幡は自身の胸の前でぎゅっと軽く両手を握りしめ、今日の格好からか男だと認識されていない東雲が怯える乙幡と男たちの前に躍り出ようとしたその時、白く小柄な影が彼女の目の前を横切った。
深い宵闇色の瞳は真っすぐ男たちを射抜き、左腕は東雲たちを庇う形で横に伸ばされている。
「僕のツレに何か用」
抑揚のない声は普段のカミキリを知っている者ならば冷たささえ感じるが、男たちはカミキリが来たことで一気にテンションが下がりそれどころじゃなかった。
「んだよ、ガキ(弟)連れかよ」
あからさまに興味が薄れたことで男三人組が東雲たちの横を通り過ぎるも、カミキリは何処か納得出来ていないのかムッと顔を顰めた。
そんな東雲たちから次の獲物を見据えた男三人組がツヅミたちの方へ歩を進めるが、後ろから感じる大きな気配に足を止めた。振り返ると月も星も眠る夜空より黒く大きな目が男たちを睥睨していた。
「ぶち…ぶち…」
白く長い毛足、だらりと垂れ下がった両手は何かを引き千切りたくてうずうずしている。
「わあああああ!?」
「ば、ばけもんだー!!」
「ひぃぃぃぃ!!」
恐怖塗れの情けない声を上げ元来た道を縺れた足もそのままに駆けていく男三人組を東雲が鼻で笑う。
のっそのそと巨躯を揺らしながら東雲たちのところに来た猩々はポリポリと頬を掻いた。
「だいジョうぶ?」
「猿さん、ありガとうございますー」
猩々のお陰で結果的に男三人組を追い払う形となり、若干涙目になっている乙幡の頭を猩々がその大きな手で撫でた。それがまた優しくて、乙幡がえぐえぐと泣くのが止まらなくなってしまった。
「………」
未だに先程の事が気に喰わず、男三人組が逃げていった方向を睨み続けるカミキリの頭を東雲がポンと撫でる。
「カミキリさんもありがとね、助かったよ」
「何モなくて良かっタ」
「そうだね」
東雲の方へカミキリが振り向き向かい合うタイミングで、東雲は何故か自分の胸が開放的になっていく感覚に疑問を浮かべた。答えはなんてことはない。東雲の水着の紐が解け、形の良い胸が今まさにまろびでようとしていた。
今度は東雲の目に映る世界がゆっくり動き出す。重力に従い前に剝がれていく水着を押さえるべく、両腕で自身のことを抱きしめようとしたその時、勢いよく東雲が羽織っていたパーカーが胸を隠すように掛けられた。
一呼吸おいて其れは目の前にいるカミキリが掛けてくれたのだと東雲は理解する。
「あ、ありがとう」
あまりにも素早い動きに半ば戸惑うものの、東雲が礼の言葉を述べる。
そして、カミキリはもういないであろう男たちを確認してから背伸びをして東雲の耳元に口を寄せた。
「僕以外ニ見せナいで」
小さく、されどはっきりと鼓膜を震わすカミキリの真夜中の声に東雲の耳が一気に熱を帯びたのは言うまでもなく。
「ア°」
たまたま居合わせた上に、その言葉は聞こえずとも口の動きで何を言ったのか聞き取れてしまった乙幡は見事に流れ弾を食らい短い悲鳴を上げたのだった。
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