髪結ってる組でボラーちゃんくんさんのヘアゴムが片っぽ切れたら当たり前のようにマックスさんに替えのヘアゴム要求してマックスさんも当たり前のように替えのヘアゴム取り出し何なら髪を結ってくれるのに100裕太←な内容+α。
不意にカウンター席で先日内海が買ってきた雑誌を頬杖を付きペラペラ流し見していたボラーの口から心底うんざりした想いがぽろっと零れた。
「マジかー」
眉間に深い谷を刻み忌々しくカウンターにハラリと墜ちた右側を結っていた赤いリボンを睨みつける。読んでいた雑誌を閉じ、親指と人差し指で摘まみ上げた。結っていた箇所とは別の場所がすっぱり切れている。結び直そうにも長さが足りない。かと云って切れた両端を結んで使うのは見た目的にナンセンスだ。
「マックスー」
丸椅子に両手を置きながら回転させ後方ソファに座るマックスをご機嫌斜めな声でボラーが呼ぶ。
そんなボラーにマックスは肩を竦めジャケットの内側に手を差し込んだ。間を置かず目当てのものを取り出す頃にはどかりとマックスの隣にボラーが腰かけ短く「ん」と言いながら彼の方に髪が解けた方を向けた。
が、無骨な人差し指がちょいちょいとカウンターを指さしている。鼻で大きなため息を吐き重い腰を上げ、切れてしまった赤いリボンを回収したボラーはそれをマックスに半ば投げ捨てる勢いで渡し再び隣に座った。
そして、何てこと無かったように解けた右側を櫛で丁寧に梳き、極々当たり前だと言わんばかり全く同じ赤いリボンを結い始める光景を裕太は感嘆の声を上げ眺めていた。
ものの数分も経たない内にすっかり元通り。ボラー自身結われ直された箇所を満足げに撫でつけ、結い直したマックスは櫛と切れた赤いリボンをジャケットの内側にしまい込んだ。
「いつもボラーさんの髪、マックスさんが結っているんですか?」
思わず疑問が口から出た裕太にボラーの顔があからさまに渋くなる。
「んなワケあるか。替えを持つのが面倒でマックスに持たせてるだけだっての」
「そうなんですか」
「つか裕太。随分熱心に俺たちのこと見てたじゃねえか?ん~?」
面白い遊び道具でも見つけたような面持ちで話題を変えてきたボラーに裕太が深い意味はないですとあたふた弁明すれば益々ボラーは彼をからかった。困りボラーの隣に座っているマックスに助け舟を出してもらおうと裕太が視線を送ると何故かマックスはジャケットの内側を探り違う髪留めを取り出した。
ボラーの髪と同じオレンジ色をした飴玉染みた飾りが二つ付いた幼子が付けるようなヘアゴムだった。
「え?いやいやいやいや」
一切反らさず向けられるマックスの視線に裕太の顔が引きつり。
「なんで、そういうものも持っているんですか!」
「………」
「喋ってくださいよ!?」
先程までボラーの髪を結っていた無骨な手が軽くソファの真ん中を無言で二度三度叩く光景に思わず後退った。
「裕太~。遠慮は良くないって学校で教わらなかったか~?教わったよな~?」
「その、えっと、それは……」
「裕太、遠慮することはない。私は一向に構わない」
「だってよ」
もう後ろに下がれなくなった裕太の腕を引きマックスのもとへ連れていくボラーの顔の悪いこと悪いこと。ドナドナよろしく他の面々に助けを求める視線を投げかけたところで一人はカウンターに顎を置き大あくび、もう一人は弄っていたスマホのカメラをじっと向け助ける素振りすらない。
唯一味方であるグリッドマンもジャンクから出てこれなければ口でボラーを言い負かすことも出来ない。
ならグリッドマン同盟である内海と六花はと店内を見渡す。
「六花ーちょっと来てくんなーい」
「はーい」
店内奥から母親に呼ばれた六花がその場から離脱。なんてこった。では、内海なら内海ならばと裕太の視線が彼に向けられる。意地悪っぽく笑うものの、仕方なしと丸椅子から腰を上げてくれる内海に裕太の目に希望が湧き。
「おい内海座っとけ」
ボラーの低い一言で瞬時に腰を下ろし直す内海に裕太は一人切ない声を漏らした。
「似合ってんじゃん」
「うん、可愛い可愛い」
肩を竦め縮こまる裕太に絡むようにボラーが彼の肩に腕を乗せ、そんな裕太をヴィットが真正面からスマホのカメラで撮影する現状に裕太はただただ頬を赤らめるしかなかった。
こんな恥ずかしいの絶対しない。そう心の中で誓った裕太だったが後日学際で全く同じ場所を結う羽目になるとはこの時は知る由もなかった。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.