新鮮な海の幸の宝庫と云ったら北海道!

さすがホタテやウニの鮮度と美味さが段違いだぜ!

と、まあおおぞラッコくんとあかりちゃんのお話です。一応大空お天気が並行してくれるみたいで一安心。

東京ならまだ外は暗いというのに流石北海道。東京より日が昇る時間が早いだけのことはある。
カーテン越しから薄っすら差し込む朝日の優しい眩しさで目覚ましが鳴る前にホテルのベッドから体を起こして軽く伸びをしたあかりが同室で寝ているスミレ、ひなきを起こさぬよう着替えを済まし部屋を後にした。

「おはようございます!」
毎朝一緒に大空お天気のコーナーで仕事をする顔馴染みのスタッフ達に元気よく挨拶したあかりにスタッフ達の明るく挨拶が返ってきた。
いつもと同じちょっぴり早い朝の光景。いつもと違うのはテレビ局の屋上じゃなくて何処までも続く広い大地のど真ん中という開放感が凄まじい場所での撮影。空気だって何処までも綺麗でおいしくて何度だって深呼吸してしまう。
数回深呼吸してから一息ついたあかりが隣で知らぬ間に一緒に深呼吸していた頼りになるマスコットキャラに驚かず視線を向ければバッチリ目が合った。
「おはようございます。やっぱり北海道の空気は東京と違いますね」
にっこりほほ笑むあかりに頷き肯定を表すおおぞラッコが急にその場で一回転したかと思えば毛に覆われた両手を広い大空に掲げた。いつもよりテンション高めの様子にあかりが一瞬呆気にとられるも一人納得したのかポンっと手を叩く。
「そっか。おおぞラッコくんってラッコだからいつもより元気なんだ!」
的を得ていないようなあかりの言葉はどうやら彼の的をちゃんと得ていたようで小さな耳がピコンと跳ね上がり頬を押さえ身を揉みだした。
「そうだよねー。北海道って新鮮な魚や貝が沢山とれるし、おおぞラッコくんの好きなホタテとかウニだっておいしいのがい~っぱい」
あかりの声に合わせおおぞラッコが自身のお腹を擦る。
「もう食べました?やっぱり美味しかったですか?」
昨晩の内に北海道入りしたおおぞラッコの脳裏と舌の上に新鮮で美味な海鮮の味が蘇る。思わず垂れてくる涎を拭う仕草をすれば益々あかりの顔が期待と興奮で輝き、可愛らしい眼差しの中に羨望の色が混じりだす。
「いいな~。北海道の食べ物は何だって美味しいから海の幸も大いに期待しちゃいます」
そんなあかりの頭の中は昨日行ったライブの後、北海道で出会ったののとリサの二人から貰ったジャガイモを使ったジャガバターの味を思い出し頬が緩んだ。あのほくほくしたジャガイモに沁み込むバターの濃厚さ。何個でも食べれちゃう美味しさにあかりのお腹が小さく空腹を訴える。
「あ」
あかりの視線とおおぞラッコの視線が彼女のお腹に注がれ、タイミングを計ったみたいに顔を見合わせてはこれまたタイミングを合わせたように同時に噴出した。
「さっき早めの朝ごはん食べたばっかなのにもうお腹空いてきちゃいました」
照れ笑いすれば頼りになるマスコットキャラが何やら愛嬌のある手を丸め前に出してきたので、あかりは反射的に両掌を上向きにして彼の前に差し出した。
ころん。小さくて四角い何かが彼女の掌に転がり落ちてきた。其れの正体はあかりもよく知っている茶色くて甘いお菓子。北海道は東京と違って変わり種の味が多いらしいが、これは恐らく白いので北海道ミルク味といったところ。
小さな一粒を見る顔が綻ぶのを抑えきれない抑えるつもりなんてない。
――ありがとう」
アイドルとしてのあかりではない、年相応の和らいだ表情につられ彼女の頭の上に青い毛色に覆われた手がもふんと置かれた。今度は呆気にとられることもなく、甘んじて受け入れるあかりの顔は何処までも晴れやかで撮影準備をしているスタッフ全員の心を和ませたのだった。