しろくまたたくはくしゅんさん
2023-06-03 17:48:52
5685文字
Public
 

【アルカヴェ】されど、理想には程遠い④

※死ネタ カーヴェデートイベントネタバレあり。推敲していません。いつか支部にまとめたい

メラックの記録


File No.34
『うん?──メラック、君、自動で記録装置を稼働させたのかい?
 おかしいな、そんな機能はつけなかったはずだけれど……。回路が間違ってたのかな』
ピッ、ピポ!
『そのままにしておけって?しょうがないなあ、変なのは撮るなよ!』


File No.87
『だーかーら!これが終わったら借金も完済するし、合間に村や砂漠で仕事を受けるつもりだから実入りには困らない!家賃も払い続けるから心配するな!』
『君の仕事選びのセンスには脱帽する。もしまともな建築家なら時給に換算しすぐに他の仕事を探すだろう。それに、俺が君の心配をするとでも?』
『これは罠にはめられてうっかり────ああ、腹が立ってきた!』
『君自身の愚かさに?』
『そうだけれど、そうじゃないんだ!うー、酒だ、酒を飲もう!』
『昨日の今日でまた酒に溺れるのか。迎えに行く俺の身にもなってくれ』
『ふふん、今日は家で飲むつもりだからいいんだよ。付き合えアルハイゼン』
『付き合ってもいいが、音声はシャットアウトさせてもらう』
『~~~~ッ、君ってやつは!』


File No.91
『ふう……。暑いな、やっぱり、砂漠は……
ピッ?
『水は大丈夫。さあ、アアル村までもう少しだ。着いたら村長さんのお宅に伺って、それから、ガーディアンのキャンディスさんにも挨拶をしないと』
ピッポ!


File No.103
『ん……?どうしたんだい?』
ピポ~
『もうこんな時間か。製図していると時間を忘れるな……。お腹は空いたけれど、村にこんな時間に空いているお店は……無いよな』
ピポポ?
『シティが懐かしいかって?まあ、一日中誰かがどこかで議論して、カフェや酒場がオープンしているのは良いよな。でも────ほら、見てごらん。ここはこんなにも夜空のささやきが聞こえる』
ピッポ!
『だから、寂しくないよ。君もいるんだし』
ピ!
『うん。今日は寝よう。おやすみ、メラック』


File No.143
『けほっ、──ン、んん゛、っ』
ピ?
『乾燥かなあ。最近喉の調子が良くない……。シティにもどったらビマリスタンで診てもらわないと』
ピポ~!
『ありがとう。じゃあ、飴を貰おうかな……。薬はいいや。アアル村は医療資材が少ないから、ちょっとした薬でもみんなの助けになるかもしれない』
ピ~!
『わかったわかった!──……ふう。君、だんだん我が強くなってきてるよな』


File No.158
『書いたはいいけれど、どうしようか』
ピポ?
『手紙だよ。アルハイゼン宛のね。砂漠で仕事を受けてあの家に帰らないことはあったけれど、ここまで長いのは初めてだろう?アイツが僕のことを心配はしないと思うけれど、僕は心配なんだよ。──あっ、家!家のことがな!』
ピッピポ
『僕が居なくなったらきっとリビングも書斎もめちゃくちゃになっているに違いない!それに台所も……。ああ、口にしたら一層心配になってきた』
ピ!
『そうだな、この手紙はすぐに出すとしよう』


File No.166
『ふぁ……。おはよう、メラック』
ピポポ!
『久々の雨林だなあ。シティで買い物したらすぐに戻らなきゃだけど』
ピ~?
『アルハイゼンの家には寄らないよ。到着は昼頃になるし、用事もないし』
ピポ?
『アイツも仕事中だろ?わざわざ顔見せに行くのも癪だしな……。あ、ビマリスタンで咳止めの薬をもらうのを忘れないようにしないと!そろそろ出発するよ、メラック!』
ピッポ!


File No.180
……ん、コホッ、……けほっ!』
ピポ
『ああ、ありがとう、メラック……────薬はいいよ、効かないし』
ピポポ……
『大丈夫!この設計図の提案が通ったら、しばらく休みを貰えると思う。ビマリスタンでしっかり診てもらうつもりだ。────さて、届いた本を整理しないと』


File No.203(非表示)
『書架の配置ってなかなか大変なんだな……。グランドキュレーターの気持ちが少しわかった気がするよ』
ピ!
『そうだな、今日は日記を書いたら休むよ。ああでも、明日シティに戻るから荷造りを────ケホッ!──く、ッ、かふっ!」
ピ?──ピピピ!ピピッ!
『め、ラック……静かに。僕は大丈夫だから…………
ピーッ!ピィ…………
『けふ……、はァ……。村から少し離れていてよかった。君の警告音は響くからね。こんなことでみんなの眠りを邪魔してはいけないよ』
ピポ……ピポ……
『メラック、ごめん……。一人で考えたいんだ。おやすみ』

◆強制シャットダウン中──


File No.204
『予定を、組みなおさないと』
……ピ、ポ?
『メラック?ああ、ごめん……。昨日は、ごめん。無理矢理眠らせて』
ピポポ……
『もうスメールシティについたよ。買うものは特にないし……さ、アルハイゼンの家に行こうか』
ピ、──ピポ?
『記録に欠損があるって?ああ、それは────鍵をかけただけだよ。気にしないで』


File No.207
ピポ
『これも、ああ、これも持っていこう。ふふ、家主がいない間にモノをしまい込んでいるなんて、まるで泥棒だな』
ピポポ?
『まあ、もともと僕のモノだし、家から無くなったってアルハイゼンが困るわけじゃないし……
ピポ~、ピピポ!
『えっ、アイツはきっと怒るだろうって?なんでそんな計算になるんだよ……。記録に鍵をかけた弊害かな』
ピー!
『わかってるよ。君は優秀だからな、僕の相棒。はあ、ともかく、より慎重にいかないと』


File No.208
『あはははは!はは!ああ、もう、こんなに笑ったのは久しぶりだ!!っ、けほ!げほ!!』
『はい、お水。カーヴェが元気そうで良かったよ』
『ん、ン────……ぷはぁ、ああ。みんなも元気そうで良かった』
『アアル村の噂はこちらでもよく聞く。建物が建てば噂も立つ』
『ん、ふふ、セノのダジャレも久々に聞くと面白いな。ふ、ふはは!』
『カーヴェ、あんまりセノを調子に乗らせないでよ』
『どうやらシティから離れている間に、君のセンスは随分突飛な方向に成長したらしいな』
『アルハイゼン、静観してないで椅子から笑い転げおちそうなカーヴェを戻してやって』
『俺が?なぜ?』
『木の床に落ちる気はない……!』
『んははっ!』
『カーヴェ~!』


File No.209
…………
ピ?
『しー…………
…………
………………
……………………
『どう、うまく描けたかな?』
ポ!
…………──行こう、メラック』


File No.218(削除)


File No.223
『君────そこに挟んでいる封筒はもしかして──』
ピッポ!
『ああ、やっぱり!これで何通目だい?商隊が来るたびに増えるじゃないか!』
ピポポ、ピポ~
『やっぱりね、じゃないんだよ。アルハイゼンがこんなに抗議するなんて思わなかった。だって、アイツにとって僕はただのお荷物だったはずだ。よくわからない慈悲で家に置いてもらっていただけで……。ケホっ、──っけふ、……ああ、薬、飲まないと』
ピポピ?
『見たことない薬、だって?ああ、うん。こないだビマリスタンでもらったんだ。怪しいものじゃない……
ピポ?
『──無理はしてないさ。
 さあ、今日もたくさんアイディアを出さないと!』


File No.239
…………
ピポ?
『入らないよ。描いてるだけ』
ピポ~
……描き終わったらビマリスタンに行こう。薬を貰ってこないと』


File No.248
『──はぁ、ッ、げほ、……、ふぅ…………
『カーヴェさん、大丈夫ですか?』
『ああ、うん。砂が口の中に入っただけだよ。……このお酒、包んで貰っていいかい』
『はぁい。どなたかへのプレゼントですか?』
『うん。シティへ送るから、割れないように厚めに包んでほしい』
『そうなんですね。なにかほかに、保存の利くおつまみもつけましょうか?』
『いいね、それ。──やっぱりいいや。アイツ、酒を飲むときはあんまり腹に入れないんだ』


File No.255(非表示)
『げほっ、げほッ────ゔ、が、ッ!!ッ、かはッ!!』
ビーッ!ビビーッ!!
『メラック!大丈夫だ!!、がふ、っ、だい、丈夫、だから────!』
ビー!!!!

◆強制シャットダウン中──


File No.261(削除)


File No.280
…………

『ん……?ああ、これ?悲しくて泣いているわけなじゃないんだ。このお酒、美味しいなあって…………
ピポ、ピ……
『シティにはもう、戻らない。……戻れない』


File No.288
『そうすると、この花壇の花が枯れる……。アイツが面倒くさがるだろうから、ここはこうして────けほ、ん、けふッ!……──うーん、やっぱり君の力が必要だよ、メラック』
ピポ!
『はは、ありがとう。僕の相棒』


File No.302(削除)


File No.309(削除)


File No.321
リブート中……──リブート中──……システム再構築、78%────
接続確認中──……スタートアップ完了

──ピポ!

『おはよう、メラック!あたらしい体はどうだい?といっても、見た目はそんなに変わらないけれど』
ピッポ!ピポポ!
『よかった、うまくいったみたいだ。ふう……。ケホ、っ、ぐ、ぅ゛…………
ピ!
『大丈夫。ちょっと疲れただけ、だから。……眠らせてくれ…………


File No.328
『カーヴェ!あなたがそんなにお馬鹿さんだとは!──ああ!ああ!私の目も鈍ったものですわ!!』
『君がモラに目がくらんでいるのは、いつものことじゃないか────……泣かないで、ドリー。君の涙はきっと何万モラもするんだろう?』
『っ!減らず口を!!
 ともかく!いいですこと、すぐにシティから、いえ、テイワット一の治療師を連れてきますの!
 それまでベッドから起き上がらないでくださいまし!』
『あ、ッ、待ってくれ!──……行ってしまった。はぁ……、は、……ゔ、げほっ、ゲホ、────メラック、ペンを』
ピポ…………
『いいかい、メラック。君はこれからきっと、長い長い時を経ていくんだろう。たとえ主が変わっても、僕と同じように接してくれると嬉しい。もちろん、酷いことをしてくる奴は小突いていいからな!──けふ、っ、んン゛、……メラック。僕の小さな光。どんな暗闇でも、君がいればそこに向かって歩けるんだ…………


File No.329
リブート中……システム開始まであと3、2、1────
ピポ!?
『起きなさいな寝坊助さん!貴方のご主人様はどこにいったのかしら!?さあ!さあ!!』
ピポ?ピポポ??ピポ!?
『サングマハベイ様、どうやらこの機械も知らないようです。砂嵐のせいで足跡も負えませんし────』
『わかっていますの!わかっていますのよ…………。はあ……あぁ…………
 こんな契約書────!こうで、こうで、こうですの!!』
ピポ~!
『あら、新しいご主人様にたてつくおつもり?オホホ、貴方を解体してバラ売りにしてさしあげてもよろしくてよ?』
ピッポー!
『ふん。そういうところは前のご主人様に似ましたのね。いいですわ。せいぜい可愛がってあげましょう。……ああ、アナタ、これは口止め料ですわ。捜索隊の全員、このことを外部に漏らさないよう』
『は!ありがとうございます、サングマハベイ様!』
ピポポ…………
『わかっておりますの。ヒトの口は砂のように軽い。いずれ噂となり、知るべき人が知るまで止まらないもの……。さあ、おいでなさいメラック。この仕事は貴方がいないとはじまりませんの!』
ピポ!


File No.377
『カーヴェ!』
ピポ……
『よしなさいな、メラック。書記官と共に砂漠を駆けずり回っても、見つけることはできませんわ。……何か月経っていると思っていますの』
ピポ、ポ
『心配せずとも、少ししたら戻って来るでしょう。────そっとしておきなさい』


File No.380
『アイツが残していったものは、これで全てか』
『ええ。────それから、こちらを。貴方様に知られたら、あとは無用ですから』
『手紙……?ああ、そうか……。君が出していたのか』
『メラックも共犯ですわ』
ピポ……
『それで?──この家屋を買い取るにはいくらかかる』


File No.451
『メラック。こちらにいらっしゃいな。ここから差す光のなんと美しいこと!』
ピポ!
『私、審美眼に自信はありますの。彼がアルカサルザライパレスを作ったとき、それはもう美しい宮殿だと思いましたのよ』
ピピポ!ピポ!ピポ!
『もし────もし、彼が彼のためではなく、私のためだけに宮殿を作ったのだとしたら?美しいだけではなく、私だけが喜ぶ仕掛けがしてあったら?』
ピポ……?ピ?
『ふ、ふふふ、ふふふふ!いいえ、彼の傑作を、私の邸宅を批判するわけではありませんの。ただ────この家の主をうらやましいと思っただけですわ』


File No.463
『そうか────これが、君の答えなんだな。カーヴェ』
ピポ?
『君もかわいそうに。もちろん自己制御で離反はできるだろうが、そうはしない。もしくは、その摩耗ですら計算しつくされているとしたら、メラック──君も理想の一部なのだろうな』
ピ!
『肯定するのか?それとも、そうなるのが嬉しいのだとしたら……。君は作り手にそっくりだよ』
ピポ!ピポ!
『喜んでいられるのも今のうちだ。そのうち俺は老いるし、君のことがわからなくなって追い出そうとするかもしれない。それでも、君は庭で花が咲くのを待つというのか?』
ピポ!
『よろしい。ならば、次の種を蒔こうか』