しろくまたたくはくしゅんさん
2019-08-14 21:07:43
1541文字
Public
 

【フェルシェヘ】千夜幾夜【未完】

※FGOのフェルグス×シェヘラザード
久々にファイル開いたら残っていたフェルシェヘ。おねショタでもよかったけどやっぱりどついて欲しいんですよね。尚未完だしこの続きは既に忘れた

※アガルタの女プレイ済推奨




 シェヘラザードはとうとう、最後の敵を倒してしまった。きらきらと光る胸の光はこれ以上ないほど虹色に輝く。まるであの時のように。いや、あの時ほど苛烈な虹の光に比べれば、彼女の胸内の輝きは、小さいと言える。もにょもにょ何か考えていると、魔法陣に飲み込まれた。
「お疲れ様~」
 レイシフトから戻ると、ダヴィンチの声で目を覚ます。各々部屋に戻っていくなか、シェヘラザードは一人、溜息をついた。
(ああ、これですることがなくなってしまいました・・・・・・)
 レベル、力、体力、絆。すべてが限度に達してしまった。以降、余程強敵に出会わぬ限り彼女はマスターに喚ばれることはないであろう。もちろん、やることすべてが無くなってしまったわけではない。ここにはおとぎ話をせがむ子どもたちがたくさんいる。大人たちも時々耳を傾け、戯れに聞いている。時折大人だけが集まり、酒と紫煙に飲まれた部屋でしっとりと語る時もある。それは、シェヘラザードにとって平穏そのものであった。

   ◆ ◆ ◆

「ふっ! ふっ! ほっ!」
 廊下の先でスクワットをしている英霊など、カルデア内では一人しかいない。
「む!?」
 フェルグスは漂ってきた佳い女の匂いを嗅ぎつけた。以前から知っている匂いであり、名前を聞いてはいるが、見たことのない中東の美女。余程出会いたくないと見たが、それでも美女は一度眼中に収めておきたいあわよくばこの腕の中に――と思っているが、今日もダメなのだろう。そう思った時であった。
「あ、・・・・・・」
 瑞々しい褐色の肌、あるべき場所にある豊満な肉、柳のように撓ったくびれ。長い睫毛の奥に隠れた瞳は光を揺蕩わせ、この世ではないどこかを遠く見つめている。
「ふむ」
 フェルグスは考えた。この女性と邂逅したことはこれが初めてだ。だが香りは随分と慣れている。時折遠くから漂わせては、追えば姿なく消えている。今回は逃げることなく、だが隅っこの角でふるふると体を震わせているこの美女は、間違いなく彼がいままで追いかけてきた美女である。
「初めまして、か。俺はフェルグスという」
 す、と無骨な手が伸び、それを避けるようにシェヘラザードはさらに壁へと自身を埋めた。余程嫌われているか、フェルグスは手を握り、開いて、降ろした。生憎と、ここには相手をしてくれる女人はそれなりにいる。目の前のアジアンビューティーを無理矢理抱くほど、乾いているわけでも飢えているわけでもない。しかしこの滅多な機会を逃すほど、野生が鈍ったわけでもない。
「ところで、今夜俺の部屋にこないか?」
 上も下もない、寧ろ下品(した)しかない明け透けな誘いに、頷くはずもない。事実、フェルグスの目前の女――シェヘラザードは、しゃらりと首を振る。フェルグスは拒絶に慣れている。豪胆に笑い飛ばすと、その場を立ち去ろうとした。だが、フェルグスを捉える瞳とわななく唇は、彼をその場から退けるどころか縫い絡めて離さない。
「・・・・・・、っ」
 一度その浅葱を瞼に仕舞い込み、そして再度開いたとき、言葉は紡がれた。そのあまりの煌めきに、フェルグスは思わず言葉を聞き逃してしまった。
「うん? すまんがもう一度」
 ぷるる、と震える胸に視線がいくが、すぐにフェルグスはシェヘラザードを見つめなおした。
「で、ですから――
 まともに発された彼女の声は、深い夜に誘う囁きであった。
「今宵、私の部屋に・・・・・・ッ」
 そのあとはごにょごにょと聞こえなかったが、フェルグスが呆けているうちに目の前の美女が消えてしまっていたので聞き返すわけにもいくまい。風に巻かれた香が、甘く彼の体を締め付けるだけであった。